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「こな雪のタンゴ」(8ページ)がどんな曲か気になる
私にとって、R.シュトラウスの交響詩「ドン・キホーテ」は高校生活が始まった当時のさまざまな思い出――それは明るく希望に満ちたというものではなく、不安と疲労の塊だったが――と強く結びついたいる作品だ。
というのも、ここに書いたように、それまでの中学生活では自宅から中学まで徒歩2分だったのが、朝6時には起きてバス→地下鉄→バスと、遠距離通学する生活にかわり、朝の目覚まし時計代わりに使っていた曲の1つが「ドン・キホーテ」だったからだ。
カセットテープに録音したこの曲。デッキを再生状態にしてタイマーを ON。つまり、強制的にカセットデッキへ電気の供給を止めるわけで、朝に動き出すまでデッキのゴム製のピンチローラーはキャプスタンに押しつけられたまま。ピンチローラーが変形する恐れもあったわけで、なんともひどいことをしていたものだ。
この日、初めて「ドン・キホーテ」を生演奏で聴くことができた。が、このように私には心に響くものがなくて残念だった。