着替える直前に、悪魔のささやきが
水曜日の朝。
つまり、塗装のために建てた足場のネットが撤去された日の翌日。
この日も勤勉な目覚まし時計が鳴るよりも早く目覚めた私は、当初予約していた時間での投稿をキャンセルしてその時間よりも早くブログを投稿し、髭をそり、目玉焼きを焼き、朝刊を読みながら食事をし、歯を磨いたあとシャワーを浴び、イチゴの鉢植えに水やりをした。
イチゴは、暑い日も涼しくない日も毎日私が勤勉に水やりをしているおかげで順調に食べられるに値する姿になりつつある。
そのあと家に入り、着がえようと思ったが、その前に持ち帰ってきている職場の PC を起動し、今日の出勤者の状況を確認した。
その体制を見ると、今日私が敢えて職場に在席していなければならない必要性はあまりないし、私が行くことの重要性はまったくないと感じ、急きょ在宅勤務に変更することを決意した。翌木曜日の在宅勤務日との交換である。
そして、そう思い立ったのは、もちろん足場解体が行なわれるこの聖なる地にリアルタイムで居合わせたいと思ったからに他ならない。
1時間半後に起きてきた妻に「今日は、在宅勤務に変更することにした」と言うと、そんなたわけたことでよろしいのか?という表情をしていたが、男に二言はない。
そしてまた、そのあとパソコンでインスタグラムを見ると、おいしそうなかつ丼の写真をアップしている人がいたので(蒲田の店だ)、私も「祝・在宅ワーク、足場解体記念」ということで、外勤という名目でセコマに HOT CHEF のカツ丼を買いに行って食べようと内なる闘志を燃やした(←表現、ヘンあるか?)。
カツ丼、40分待ち
10時過ぎになっても足場業者さんがくる気配がなかったので、先にカツ丼を買っておこうとセイコーマートに行った。
ちょっと早いのでまだシェフさんはカツ丼を作っていないかもしれないというかすかな懸念はあったものの、まあもう10時半だから大丈夫だろうと、私の心の中は「できているに違いない」モードになっていた。
セコマに着き、ホットシェフコーナーに行くと、カツ丼はなかった。
レジの学生バイトのお兄さんに「カツ丼はまだですか?」と、見知らぬ土地の大衆食堂で自分は忘れられているのかもしれないと不安になりながらカツ丼が来るのを待っている旅人の客のように尋ねると、お兄さんは厨房に向かって「〇〇さん、カツ丼はどれくらいでできますか?」と聞いてくれた。
ホットなシェフさんの〇〇さんはおじさんだった。
きっと違うだろうけど、料理経験のある職人さんっぽく見えなくもなかった。
「う~ん、まだ40分くらいかかるかなぁ」
私は「では、カツカレーにします」と、すでに出来上がって並んでいたカツカレーを手にして、バイトの兄ちゃんに渡した。
カツカレーの方がカツ丼よりも先に作られていることを、初めて知った。
暑いなか、ホットなカツカレーを手にして家に帰ってきたちょうどそのとき、トラックが家の前に着いた。
そう。足場業者さんだ。
謎なのは、最初のうちに階段のパーツを取り外してしまったことだ。
上の方を解体していた人は、そのあとどうやって降りてきたのだろう?
私にとってはこのとき以来の HOT CHEF のカツカレー。
子どもにはちょいと辛すぎる味。
私にもちょっと辛さが強すぎる味。
でもおいしかった。
カツカレーを食べ終えたころ、足場の撤去作業もすべて終わった。
組み立てるときは正味5時間ほどかかったが、解体・撤去は1時間半だった。
視界を遮るものがすべてなくなりあらためて家を見ると、壁の色は最初に思ったほど赤みは強くなく見えて、なかなか良い色合いだと満足した。
♪ MUUSAN の今日の一曲 ♪
リゲティ(Gyorgy Ligeti 1923-2006 ハンガリー→オーストリア)の「悪魔の階段(L'escalier du diable)」。
「ピアノのためのエチュード(Etudes pour piano)」第2集(1988-94.全9曲)の第7曲。
リゲティ(Gyorgy Ligeti 1923-2006 ハンガリー→オーストリア)の「悪魔の階段(L'escalier du diable)」。
「ピアノのためのエチュード(Etudes pour piano)」第2集(1988-94.全9曲)の第7曲。