私の鼻歌は役に立たなかった
何日か前の朝のこと、私は頭の中で執拗に繰り返すメロディーを聴きながら目覚めた。
ピアノ曲かピアノ・コンチェルトの一節だと思うのだが、そしてそれはロマン派以降の曲だと思うのだが、何の曲かわからない。
起き上がって頭の中で歌ってみるのだが、なぜかその一節から先のメロディー(展開)は浮かんでこない。
こういうのってヒジョーにいらいらする。
妻が出かけてから ――妻の前で、そんなことができようか!―― スマホの Google アプリを起ち上げ、スマホに向かって鼻歌でそのメロディーを歌ってみる。つまり、音声検索である。
うん、われながら下手だと思う。
わずか一節なのに音が狂う。
スマホの画面には『もう少し歌い続けろ』というようなメッセージが表示される。
けど、そこのフレーズしか思い出せないので、同じ部分を繰り返すしかない。
その結果がこれ。
ということで、わからずじまい。
そのうち、このメロディーも私の中から消え去り忘れてしまった。
ところが、数日後のこと。
昼食後(セコマのカップうどん)に昼寝に突入するべく、私がベッドに淫らに、いや、優雅に横たわっていると、突如またあのメロディーが頭の中で鳴り始めた。
そして、このときはすぐに、この曲はマーラーのピアノ四重奏曲断章イ短調の真ん中へんの盛り上がるところだということに気づいた。
当初思ったとおりピアノがらみの曲だが、そこのフレーズはヴァイオリンが弾き始めるものだ。
それにしても、天下の Google でもさすがにマーラーのピアノ四重奏曲断章イ短調のメロディーは把握していなかったようだ。
んっ?私が音痴でグーグルさんが識別・判断できなかっただけか?















































































