LloydWebberReqiem   マゼール追悼のために彼の録音が唯一のレクイエムを
 10日前に肺炎による合併症のため84歳で亡くなったロリン・マゼール。

 マゼールの残した録音を、私はすごくたくさん聴いてきたわけではない。
 むしろ氏の演奏に魅かれるようになったのはここ10年ほどのことで、それまでは特に好きな指揮者というわけではなかった。

 そのマゼールの録音で、これまで私がいちばん繰り返し聴いてきたもの。
 それはおそらく、ロイド・ウェッバー(Andrew Lloyd Webber 1948-  イギリス)の「レクイエム(Requiem)」(1984)だ(ロイド=ウェッバーと表記される場合もある)。

 この曲(そして唯一の録音であるマゼール盤)については「現代人のためのレクイエム」というタイトルでここに書いているが、秋山和慶/札響の定期演奏会で最初に耳してすっかり気に入り、ずいぶんとこのCDを聴いてきたのである。
 マゼールの追悼=レクイエムというのも安直だが、そこはご勘弁。

LloydPieJ   作曲動機となった究極の選択の記事
 曲に関してはお手数でも上記リンク先をご覧いただければ幸いだが、ロンドン・ミュージカルの超人気作曲家であるL=ウェッバーが、シリアスな「レクイエム」を作曲したきっかけは、父親の死と、ポルポト政権下のカンボジアでの“手足を失った姉を殺すか、それとも自分が死ぬか”という少年の決断を書いた新聞記事だった。

 極めて美しい“ピエ・イエス”(掲載譜。HAL・LEONARD社刊のヴォーカル・スコア)が特に有名で単独でも演奏されるが、ぜひとも全曲を聴いておきたい傑作だ。
 なお初演は、この録音の方が公開演奏に先行して1984年に発売され、公開初演は翌85年である。

 演奏陣は、マゼール指揮イギリス室内管弦楽団、ウォンチェスター大聖堂聖歌隊、ブライトマン(ソプラノ独唱)、マイルズ=キングストン(ボーイ・ソプラノ独唱)、ドミンゴ(テノール独唱)である。

 1984年録音。EMI。Dvorak SlavonicMaazel 

   これもぜひ聴いておきたい1枚
 マゼールのCDで、まだ聴いたことがなければ是非!、とお薦めしたいのはベルリン・フィルとのドヴォルザークのスラヴ舞曲集。こんなに攻撃的、破壊的なスラヴ舞曲を、私は他に知らない。

  嫌なことがあった日の夜なんぞは、ご近所迷惑にならないよう音量に配慮しつつも、この爆演でストレス発散するのも悪くない。