ふたを開けると漆黒の繁栄が
先日、トイレの水を流し、タンクについている手洗いのところをなにげに見ると、その穴の下のへりに、なにかが付着しているように見えた。それはゼリー状のようにも見えたが、どっちにしろロクなものではない汚れに違いないと私は結論づけた(ロクでもある汚れというのを私は知らないが)。それがあったのがこの場所だが、あいにくデリケートなゾーンゆえ、写真にはその汚れ状のものは写っていない。
そのとき、私は(こんなことは何の気なしに及ぶ行為ではないが)何の気なしにトイレのタンクのふたを開けて中をのぞいてみた。
ひょえぇぇぇぇぇ~。
そこは黒カビ天国だった。「そば天国」には行きたいが黒カビ天国には近寄りたくない。
家を建てて25年余り。温水洗浄便座が壊れて便座を交換したことはあるが、他の箇所は故障もせずにこれまできた。だからタンクについては、交換どころか中を点検することもなかった。
こんなふうになるものなのね。
トイレのタンクの中の洗浄剤というものは無いのだろうか?
ネットで「トイレ タンク 洗浄」と検索してみると、だいたいがトイレ本体(便器)の洗浄剤が出てくる。いまの世を反映してか関係ないのか知らないが、小林製薬のブルーレット各種が上位に並ぶ。
まあ、ブルーレットだって洗浄剤が溶けた水がタンクにたまるのだから、タンクの中を洗浄する効果もあるのかもしれない。
そんななか、その名もズバリ「トイレタンク洗浄剤」というのを「ヨドバシ.com」で発見した。木村石鹸工業(株)という会社が製造している商品だ。
注文してさっそく使ってみた。
手洗いの穴から顆粒を入れて、待つこと2時間半。
水を流してみると……
おおっ!黒カビ色素で黒くなった水が出てきた。この写真は2回目の流水(初回は撮影失敗)。5回目ぐらいまで黒ずんだ水が出てきた。ということは、効果があるってことだ。
水に浸かっていない部分(浮球の上部や水面より上の内部)には洗浄効果が当然のことながら及ばない。それでもこれだけの汚れが流れ去ったことに、自分はとても善い行ないをしてしまったような充実感を味わった。
石渡日出夫(Ishiwatari,Hideo 1912-2001)の歌曲「汚れちまった悲しみに」。
この曲の LP レコードを持っていたが、いま私の手元に音源は無い(中村浩子のメゾソプラノ、三浦洋一のピアノ。ビクター)。
その LP には伊福部昭の「ギリヤーク族の古い吟誦歌」と「サハリン島土民の三つの揺籃歌」が収められていて(成田絵智子のメゾソプラノ、ピアノは三浦洋一)、それが目的で買った。伊福部作品のその音源はのちに CD 化され購入したが、石渡作品の方は、LP 処分後は再会しないまま現在に至っている。