いえ、お客さまにお支払いが発生します
 先日、わが家の和室に置いてあったピアノを手放した。
 妻が子どものときに親に買ってもらったものだから、もう50年以上前の楽器ということになる。

 ウチの次男が小さいときにピアノを習い始め、そのときに再び活躍したが、ピアノを習うのをやめてからというもの、ここ10年以上は弾く者もおらず調律もしてこなかった。
 ということで、手放すことにしたのである。

 妻がいくつかのピアノ買取業者に電話して型番を伝えると、価格は様々だった。
 おっと、ここできちんとお伝えしておかなければならないのは、もう50年以上前のピアノなので買い取ってはくれない。逆に引き取ってもらうのに、こちらがお金を払うのである。
 つまり、『ピアノ買ってちょーだいぃ~』とお願いしても、答えは『No』。引き取り料を払っていただければ、お受けしますってことなのだ。

20240406Piano

 もう10年早かったら、こちらの持ち出しは無かったかもしれないという業者もいた。
 そしてまた、いまは世界的に景気が悪くなってきていて中古ピアノの需要が緩み価格も下がっているという事情もあるようだ。

 価格は業者にとってまちまちだった。
 電話をかけたなかで、いちばん高かったのは処分料と運賃とあわせて税別55,000円というもの。はっきりと『処分料』と言われると、なんとなく心が痛む。
 他には42,000円などがあったが、一番安かったのがタケモトピアノ。あの、タケモトピアノである。税込みで35,000円。
 さすが大手だけある(?)。それにタケモトピアノなら間違いないだろう(引き取り当日にピアノの状態が悪いなどと言って、支払い価格が大きく変わるというトラブルもあるらしい)。
 ということで、タケモトピアノに引き取りをお願いすることにした。

 電話口のタケモトピアノの担当者によると、このピアノは処分するのではなく再利用することになるだろうという。
 とはいえ、傷の修理や調律などをしなければならないので、タケモトピアノがこちらにお金を払ってはペイしないということだろう。
 でも、またどこかでこのピアノが使われるのなら、なんだかうれしい。

 妻に「ピアノと記念写真撮っておく?」と聞いたら、「いや、いいわ」と言われてしまった。
 まあ、そうだよなぁ。

 引き取り当日。
 輸送会社の担当者が実際にピアノの状態を確認し、タケモトピアノに連絡。
 反りがある箇所があって、すこし追い金することになったが、それでも最初に問い合わせたどこよりも安く済んだ。

 通俗的なピアノ曲を書いたピアニストのランゲ(Gustav Lange 1830-89 ドイツ)の「花の歌(Blumenlied)」Op.39を。

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