ブロッコリーはお嫌い?
庭でバラや野菜を育てている私にとって、最大の敵は害虫である。
しかし、一口に害虫と言っても、アブラムシやサンゴジュハムシ(オオデマリの葉を食い荒らすイモムシ)、アブラナ科の野菜にやって来るナガメなんかに対しては、私はお情け無用で駆除作戦を遂行するのだが、アオムシ、つまりモンシロチョウの幼虫に対しては、それがモンシロチョウの子どもであると思うと、なんとなく退治するのが申し訳ない気持ちになってしまう。モンシロチョウが好きだというわけではないのだが、それでも殺すには忍びないと思ってしまうのである。
それでも、昨年はダイコンの葉を食い散らしているアオムシどもを退治した。あたりが糞だらけになっているのが耐えられなかったのである。
しかし、今年はアオムシは駆除しないでおこうと私は決めた。
というのも、お孫ちゃんが好きな本のなかに「はらぺこあおむし」というのがあるのを知ったからである。
それなのに、わが家庭菜園に潜む腹ペコなアオムシを駆除するなんてことが、私にできようか!
ストーリーは、葉っぱの上にあった小さな卵からちっぽけなアオムシが生まれ、食べ物を探しては食べ続ける。そして、すっかり大きくなってアオムシはさなぎになり、やがてきれいな蝶になる、というもの。
アオムシが食べたあとのように、ページに穴が開けられた造りとなっている。
この絵本は、たくさん食べたら大きくなれるということを子どもに示唆しているし、また食べ過ぎておなかが痛くなったあと緑の葉っぱを食べたらおなかの具合もすっかり良くなったという、野菜を食べるといいんだよ、ということも訴えており、短いながらも奥深い話になっている。
半年ほど前に、お孫ちゃんがわが家に遊びに来たときに、廊下に飾ってある絵を指さし、つたない言葉で「あ お む し」と言った。
「えっ?」と私がその絵を見ると、なんとそれは「はらぺこあおむし」のものだった。
いつも目にしているのに、まったく「はらぺこあおむし」という認識が私にはなかった。なんてこったい……。それにしても、この絵はいつどこで買ったのだろう?妻が一人で買って来たってことは考えられないから、一緒にいるときに買ったのだろう。けど、記憶にない。
さて、今年はダイコンを植えていないし、アオムシが好むアブラナ科の野菜はルッコラとコマツナを収穫したあとの今はブロッコリーだけだ。
で、ブロッコリーは葉が食べられても食用にする花蕾まではアオムシに食べられないだろうし(だったらダイコンだってそうじゃないか!)、どっちにしろ収穫のピークは過ぎた。ということで、もしアオムシを発見したとしても、温かい目で見守ることにした。
葉を見ると、いた。アオムシが。でも2匹だけだ。
5日後。
ちっぽけなアオムシは、少し大きくなった。
ところが、その数日後に観察しに行くと、アオムシの姿はなかった。
葉の穴も広がっていないし、糞も見当たらない。
誰かに連れ去れたのだろうか?
ブロッコリーの葉は見るからに硬そうなので、おいしいものを求めてどこかに行ってしまったのだろうか?
今年の夏は仲よく付き合おうと思ったのに、いまのわが家の家庭菜園には、アオムシはいない。
「12の練習曲(12 Etudes)」Op.25(1832-36)の第9曲。







