
この作品については、2009年10月17日付の「読後充実度 84ppm のお話」の「盆踊りのあとのお楽しみといえば……」で詳しく触れているが、簡単な説明を。
そそのかされて書いた「ピアノ組曲」
「日本組曲」は1933年に「ピアノ組曲」という名で作曲された。三浦淳史にそそのかされて、アメリカのピアニストのジョージ・コープランドに送る作品を書かねばならなくなったのだ。
それが1991年に「管絃楽のための日本組曲」として3管編成オーケストラ用に編曲されたのだった。
盆踊/七夕/演伶(ながし)/佞武多(ねぶた)の4曲からなる。
管弦楽版の初演は井上道義/新日本フィルによって行なわれ、そのライヴ盤が出ている。
とにかくガンガンやってくれている、血が騒ぐものだ。
今は残念なことに廃盤となっており、聴いたことがなくて「あぁ、どうしても数日以内に聴いてみたい!でなきゃ、がまんできない」という人は、値は張るが中古品を手に入れるしかない↓。
深い日本的味わいの本名徹次盤。「タプカーラ」も名演
私の愛聴盤も長らく井上盤だったが、本名徹次の演奏は井上よりはパワーはコントロールされているものの、井上には不足気味の日本情緒のようなものが全編に色濃く漂っており、なんだかよくわからないうちにジーンとさせられてしまう。
私はほかに小林研一郎/新交響楽団によるCDも聴いているが、3種のうちいちばん、文字通り日本的かつ伊福部パワーも十分に表現されているのは本名盤だと思う。
このCDには「シンフォニア・タプカーラ(Sinfonia Tapkaara)」(1954/改訂'79)も収められている。

第2楽章のテンポもほかの演奏に比べると遅め。「文藝別冊 伊福部昭」のなかで、井上道義は伊福部作品を演奏する場合に「いつももっと遅くと(伊福部先生)に指示された」と語っているが、本名がここでとっているようなテンポこそが作曲者の望むものだったのかもしれない。
第1楽章や第3楽章の、テンポが速くオケ全体が鳴り響くところは大爆発の連続。最後は狂乱の舞。が、「日本組曲」の演奏と共通して、ただ音量が大きいだけではなく味わい深さがある。
2007年ライヴ。キング。
本名のタプカーラでは、第3楽章しか収録されていないが、その第3楽章について言えば、2004年ライヴ(今月15日の「読後充実度 84ppm のお話」をご覧ください)の狂おしさが、このライヴ以上にすばらしい。
私が本名の指揮を初めて聴いたのは彼がデビューしたてのとき。
良い指揮者になったなぁ。
でも、かわいそうに。
このチラシに書かれてる名前、字が間違っている……
へぇ、そうなんですか!そして、まんじゅうを揚げるというのも、思いもしなかった手です。ありがとうございます。