
東京に住んでいた2年の間に、何度か都響のコンサートに出向いた。オケの雰囲気がどこか札響に似たところもあって、私はほとんど抵抗感や違和感をおぼえなかった。そして、すばらしい演奏を聴かせてもらった。
初めての生マラ7はインバル/都響
2007年12月14日に行なわれた都響第654回定期演奏会。
指揮はインバル。プログラムはマーラー(Gustav Mahler 1860-1911 オーストリア)の交響曲第7番ホ短調「夜の歌(Lied der Nacht)」(1904-06。その後たびたび管弦楽配置を変更)。
私にとって初めてGM7を生で聴く機会が与えられたのだった。。
この日は、家に帰って討ち入りのスペシャル・ドラマを観るのを楽しみにしている人も多いのだろうが、私としてはそんな場合じゃない(そんなドラマ一度も観たことないけど)。
前売りチケットを懐に忍ばせ、仕事が終わるとすぐに上野に向かった(そのせいで開場まで時間を持て余してしまった)。
そのときの感想は、同年12月17日の「読後充実度 84ppm のお話」に書いてあるので、ひどく面倒だろうが勤勉かつ我慢強い人はそこにたどり着いてくれることを信じたい。いや、無理しなくていいですけど……
まことちゃん、ごめんなさい
さて、その都響を若杉弘が振ったマラ7。
私がインバルの演奏を聴いた日からさかのぼること18.5年前、1989年6月のライヴ録音である。
この演奏はすばらしい!
第3番や第6番で若杉につまらなさを感じた私は、いくつもの爆発をともなう第7番にもあまり期待していなかった。
ところがどっこい、春雨スープだと決めつけて口にしたら実はふかひれスープだった、というぐらい期待していなかった期待が裏切られた。
なんといっても表情が豊かでオケが生きいきしている。抑圧されている集団って感じがない。
かといって、力まかせの集団と化すわけではなく、絶妙のコントロール。
この曲は第2楽章が「夜曲」、第4楽章が「夜の歌」ということで、全曲が「夜の歌」の通称で呼ばれるが、この演奏ではすべての楽章が、つまり5つの楽章が5つの夜の世界を描いているように聴こえる。
本当に見事な棒さばき。
ちょっと楳図かずおに似てるかもなんて、むかし思ったことがありました。ごめんなさい、若杉さん。