KibeIfukube  伊福部の平和への願い
 『ゴジラ』(54・本多猪四郎)を見るたびに、私は『ビルマの竪琴』(56・市川崑)を思い出す。戦争という抗いがたい運命の前に、人間がいかにはかなく、哀れなものであるかという、存在することの哀しみを感じる。ゴジラの襲撃から一夜明けた東京で、女子高校生たちが平和を願って歌うコーラスの、何と清らかで、深いことか。「やすらぎよ、ひかりよ、とくかえれかし。いのちこめて、いのるわれらの、このひとふしの、あわれにめでて……」。『ビルマの竪琴』のテーマ曲には、その女子高生のコーラスと同じ旋律が使われている。『ゴジラ』と『ビルマの竪琴』に共通するのは、伊福部自身の、平和への祈りだ。

 木部与巴仁は「伊福部昭 音楽家の誕生」(新潮社)のなかでこのように書いている。

 映画「ゴジラ」の音楽では、あの有名な「ダダダ、ダダダ、ダダダダダダダダダ」のメロディーばかりが話題となっているが(さっ、ダがいくつあったか瞬時に答えなさい!)、エンディングの女子高生たちのこの歌は美しくて切なく、胸がしめつけられるような感動を与えてくれる。ゴジラ音楽が持つもう1つの顔、静の表情である。

 戦争で日本は原爆を落とされた。
 そしてまた、ゴジラは水爆実験の犠牲者である。

Ifukube100Ura 木部が指摘しているように、これは伊福部昭の平和へのメッセージだろう。
 反戦映画である「ビルマの竪琴」。そこにも同じメロディーが使われていることから、それは間違いない。

  ホントに女子高生?……違います
 「伊福部昭 百年紀」(齊藤一郎/オーケストラ・トリプティーク。2014年ライヴ。スリーシェルズ)に収められている「ゴジラ組曲」では、この曲が合唱入りで演奏されている(写真はCDブックレット裏面)。
 ちょっと女子高生の声っぽくはないけれど、この曲をステレオ録音で聴けることはとてもありがたい。

 日曜日の北海道新聞。集団的自衛権の記事。

 戦後の平和憲法が、世間の関心がワールドカップに向いている隙に覆されてしまうかもしれない。
 そう書いてあった。

 これが戦術なら、あまりにひどいと思う。

  賞味期限切れの炭酸水は泡を吹くのか?
 その日曜日。
 散歩がてら近くのスーパーに行くと、レジそばのワゴンに在庫処分品が寂しげに置かれていた。
 そこに大手メーカーの炭酸水が半額で売られていた。
 賞味期限が7月5日と迫っているのだ。

 炭酸水って賞味期限が過ぎるとどうなるのだろう?
 一気に気が抜けるってことはないにせよ、放っておくと徐々に水へと変化していくのだろうか?
 期限まで2週間。もしかしたらすでに少し炭酸が弱っている恐れもある。が、これを買わねば少なくとも半日は気になり続けるだろう。
 私はそこにあった6本すべてを買った。
 夜、その炭酸水を使ってハイボール作った。
 ちゃんと、ふつうにシュワ~っとした。
 かなりうれしかった。
 作っただけではない。もちろん飲んだ。
 ふつうに美味しかった。
 うれしさは二重になった。