その日、つまり昨日書いたように本棚を粗大ごみとして収集していただく日は、前夜からの雪がそれなりに積もっていた。
私は朝のうちに雪かきをしたが、そのあとも降り続いたので9時ころに、その後再びうっすらと積もった雪をかいていた。
と、バンボディ(平ボディではなく、荷台が箱型)のトラックがゆっくりとやって来て、わが家の前に停まった。
そして作業服を着た人が降りてきた。
私は「おはようございます」と紳士的に話しかけた。
相手も「おはようございます」と言い、「引き取らせていただきます」と続けた。
そして荷台の横(後部ではなく)の扉を開け、その本棚を積み込んだ。
あまりにもあっけなく、あっという間に作業は終わり、トラックは静かに去った。
トドックのトラックの扉の開け閉めほどの音もしなかった。
これなら到来に気づかなくても無理はない。
どうやらこの日最初の収集場所がわが家だったようだ。9時前に出動してきたとしか思えない。
そして、厄介な雪のおかげで、私は謎を解く機会を得たのであった。
こっち運搬車は恐ろしいもの
「そっか。中が見えないようになっているこのトラックをなら、粗大ごみを回収、運搬中だとはわからないな」と思いながら、私はソルジェニーツィンの小説「煉獄のなかで」の最後を思い出した。

いま護送車に乗りながら、ネルジンは隙をうかがってわきへととび出し、そこから《Meat》という字を読みとった。
そして、この長編小説はこう終わる。
中にぎっしりと詰めこんだ人間の体を上下左右にゆさぶりながら、明るいオレンジ色と空色の縞の車はもう町の通りを走り、駅の一つを過ぎ、交差点にきて止った。この交差点では『ディナモ』スタジアムのホッケーの試合を見にいく『リベラシオン』紙特派員運転の暗紅色のきれいな車が信号待ちしていた。特派員は貨物運搬車の脇腹につぎの文字を読んだ。
Мясо
Viande
Fleisch
Meat
特派員は今日モスクワのあちこちでもそういう車を一台ならず見かけたことを思い出した。彼はノートをとりだし、暗紅色のペンでこう書きつけた。
『モスクワの通りを走っていると、衛生上から見て非の打ちどころないたいそうこぎれいな食料運搬車にしばしばゆきあう。首都の食料供給が非常にうまくいっていることを認めないわけにはいかない』
私の家にやってきたトラックの荷台(箱)は光り輝くシルバー。
横の後ろ側の下部に会社名と江別市から収集の委託を受けているという表記が黒い文字で書かれていたが、とても控えめである。
ボーっとしてなくても、なかなかこのトラックが粗大ごみを運んでいると気づく人はいないだろう。
ショスタコだって一歩間違えればお肉のトラックに乗せられて……ってことになりかねなかったのだ。
はい!とてもうれしいです!
MUUSAN
が
しました