20190913WhiteKyubin  色あせた看板にヘンなキャラ
 私の家がある場所は、いまから20数年前に分譲が始まったところだ。
 私が土地を購入し家を建てたのは、この分譲地内では比較的早い方で、ここに移り住んで20年ちょっとになる。

 家がやや増え始めたころ、この地区の家が描かれた看板が設置された。
 設置者が誰かは知らないが、そのあとに家が増えていくスピードが加速しても、その看板に追加記入されることはなく、要するになんの役にもたたないシロモノになってしまった。

 そしていつの間にか張り付けられていた道沿いの誰かの物置の壁から脱落し、その物置に立てかけられたまま残骸化している。

 そこに書かれている広告が時代を感じさせる。

  金がないときゃ《同時》じゃなくて現像だけだったこともあった私
 デジカメが普及する前の時代のことだ。だからDPEと書いている。

 DPEというのは現像・焼き付け・引き伸ばしのこと。
 フィルムを持って行って現像してもらうと同時に、プリント-つまりいわゆる写真-してもらうのである。

 それが1枚5円ってことだ。

 コダックって書いてあるのは、コダックのフィルムの現像・焼き付け・引き伸ばししか扱わないというのではなく、フジやコニカのフィルムを持ち込んでも、コダックのラボで現像から焼き付けまで行なうって意味だ。

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 だから、ここ『ホワイト急便』にコニカのフィルムを持ち込んでもコニカカラーの百年プリントはやってくれないってことになる(これ、百年どころか20年くらいで色あせたけど)。

 逆に言えば、コダックのフィルムで撮ったものならバッチリのプリントになる可能性は高いが、コダックのフィルムはプロやこだわりのある人はともかく、日本ではあまり使っている人はいなかった(私は大学生のころは、リバーサルフィルム、すなわちスライド用のフィルムはコダックにこだわっていて、コダクロームやエクタクロームで植物写真を撮っていた)

Kodachrome

  百年プリントはなくなったが、伊福部昭は永遠に不滅です
 それにしても、世はデジタル。
 フィルム写真のことを知らない人が増えて来てるんだろう(でも、《レンズ付きフィルム》の人気が再び起こっているという話も聞く)。

 そしてまた、あの看板、台風なんかで煽られると危険だから撤去した方がいいと思う。
 この『ホワイト急便』の店舗-といってもプレハブ-はもうないし、住宅地図に書かれている初期居住者のなかにはもう転居した人もいるわけだし……

 じゃあ、「伊福部昭 百年紀 Vol.3」でも聴こうではありませんか。

Ifukube100th3

Ifukube100vol3

 このアルバムの中でいちばん良い演奏と思うのは、「キングコング対ゴジラ」の組曲である。

 齊藤一郎/オーケストラ・トリプティーク、伊福部昭百年紀合唱団の演奏。

 2014年ライヴ録音。THREE SHELLS。