2019taspo  私がタバコを吸うようになったワケ
 5月26日(日曜日)の夜、パッケージの中に残っていたセブンスターの最後の1本を吸い、私の生活空間からタバコがなくなった。

 そして私は、人生初めての禁煙生活に突入した(大学1年生のときに1度「やめてみよーかなー」と Kbys 君に宣言したことがあるが一晩で断念した。私はお騒がせした迷惑料として学食で230円のカツカレーを Kbys 君にごちそうした)。

 私は不良少年ではなかったものの、クラスメートの谷山君とか悶魔君たち-彼らも不良とは縁のない、ただただタバコを吸い始めるのがたまたま早かった正統的な高校生だった-に勧められ高校1年生の秋からたばこをいたずらで吸うようになり、2か月後には No Cigaret,No Life になってしまった。

 最初に吸ったのはセブンスターだったが(当時は確か120円)、1年ほどかけて全銘柄をひととおり味見、そしていちばん口に合うセブンスターに回帰、現在に至っている(途中、ソフトからボックスに替えたが)。
 当時セブンスターはとても人気のある銘柄で、のちにマイルドセブンが発売されるまではしばしば売り切れになって、ただでさえこっそりと買わねばならない身なのに、手に入れるのにしばしば困難を要したものだ。
 なお谷山君はセブンスターを、悶魔君は『峰』を吸っていた。

  なぜかあまり煙を欲しなかった先週
 その私が禁煙である。これまでの人生のおよそ4分の3の期間、せっせとたばこ税を払ってきた私が、急にもう払いたくなくなった、っていうのもちょっとあるが、先週1週間、たいして吸いたくなくなったのである。原因は不明だ。もちろん体調が悪かったわけでもない。
 1日に10~15本吸っていたのに4~5本でも吸い足りないと思わなかったのだ。

 5月20日の週。
 月曜日と火曜日は夜に取引先と会食もあったが、酒の席でも1~2本しか吸わなかった。
 水曜日は東京に出張したが、夜の会食で1本吸ったのみ。泊まった部屋も禁煙ルームだった(それしか予約が取れなかったってことなんだけど)。
 木曜日は昼過ぎに羽田空港でタバコを吸ったが、半日以上ぶりの喫煙は私に酸素不足と一酸化炭素過剰をもたらし、クラクラした。
 金・土も吸うたびに「こりゃあ体に悪い」って実感するほど、クラクラした。
 いつもなら、予備の1箱を買っておくのだが、今回はそれもせず、上に書いたように日曜日(26日)の夜に最後の1本を吸い、意外とすんなりとタバコと縁を切ることにしたのだ。このように吸う間隔が開いてしまい、気持ち悪い思いをするっていうのも功を奏したようだ。

 そして運命の1週間が始まった。

  1日目~27日・月曜日(友引)
 目覚めのときはそうでもなかったが、出勤してからタバコを吸いたい衝動にかられた。というか、意識して注意しておかないと、喫煙所に行きそうになってしまう。その衝動の波に何度も襲われ、「喫煙所はもう用事のない場所なのよ」と自分に言い聞かせた。また、タバコを吸わないということは、とっても大切な特権を失ったような気持ちになった。

  2日目~28日・火曜日(先負)
 目覚め爽快。ところが出社後に異常な眠気に襲われる。
 調べてみると、これは離脱(禁断)症状の1つだった。
 ニコチンが脳を覚醒していたのに、覚醒物質であるそのニコチンが徐々に体外に排出され眠気やだるさを感じるんだそうだ。非喫煙者の場合は体の中で覚醒物質であるアセチルコリンが生成されているが、喫煙者はニコチンが体に入ってくるためアセチルコリンの生成を休止するらしい。早くアセチルコリンの生産体制を確立せよ、私の体!
 この日の夜も取引先と20人規模の会食。出席者の喫煙率も高かったが、特に苦しくなかった。

  3日目~29日・水曜日(仏滅)
 相変わらず出社後2時間ほどは強い眠気に襲われる。
 だいたい離脱症状のピークは3日以内に来るというが、その3日目である。
 右手を鼻のところに持って行って、しみついたタバコの匂いを嗅ぎ恍惚になる。
 いかん、いかん。その予防のために、おしっこをしても手を洗わないでおこうと決意する(←冗談です)。

 また離脱症状の1つに便秘になる人がいると書かれていたが、私の場合は便秘にはならなかったものの、おなかが張った。

  4日目~30日・木曜日(大安)
 いつ妻に、彼女が喜ぶに決まっているこの報告-腹が張ったことじゃなく、禁煙したこと-をするか思案する。
 これは FLAC、つまり可逆であってはならない。不可逆じゃなきゃだめだ。
 だが、古今東西多くの人々が禁煙に失敗し、また吸い始めているらしい。伏草課長もかつては喫煙者だったが、やめるのに何度か失敗したという。
 私は弱い乙女に負けないくらいか弱いおっさんなのだ。戻ってしまう可能性は低いとは言えない。
 報告のタイミングが非常にむずかしい。
 まだ言わないでおこう。
 大安のせいか、この日は強烈な眠気はなし(日常レベルの眠気はあり)。おなかの張りもなかった。離脱症状の峠を越えたのではと期待が持てるが、もちろんしばしば喫煙所に行きそうになってしまう。

 帰宅後もときおりモーレツに吸いたくなるが、部屋にたばこは無し。あれば危なかったかも。

taspoKigen  5日目~31日・金曜日(赤口)
 昨日の金曜日。
 taspo を処分。
 って、あれ?今年の2月で有効期限が切れてたんだ。なかなか良いタイミングではないか!「taspo まで私の禁煙を応援してくれてるのね」と不機嫌そうな顔をしているカードの10年前の自分の写真に話しかける。

 でも変だ。
 2月以降、自販機でタバコを買っていないわけがない。

 気になってネットで調べてみると、写真のようなからくりになっていた。

 喫煙者にとって便利ではあるものの、なんか姑息だ。taspo の期限切れによるタバコ離れを防止するための、実に身勝手な規約変更だ。
 もしタバコを吸い続けるなら、死ぬまで若き日の顔写真がプリントされた taspo を使い続けるってことになる。
 
BachMagdalena バッハ(Johann Sebastian Bach 1685-1750 ドイツ)のアリア「私はしばしばパイプによいタバコをつめて(So oft ich meine Tabackspfeife)」BWV.515a。
 「アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳第2巻(Das zweiten Notenbuch fur Anna Magdalena)」のなかの1曲(2声のクラヴィーア曲とアリアの2種がある)。

 と書いた直後に申し訳ないが、実際の作曲者はJSBではなく、JSBと先妻マリア・バルバラの第4子で若くして亡くなったヨハン・ゴットフリート・ベルンハルト・バッハ(Johann Gottfried Bernhard Bach 1715-39 ドイツ)ではないかと考えられている(アンナ・マグダレーナは2度目の妻)。

 アメリング(S)他による演奏を。。
 1966年録音。ドイツ・ハルモニアムンディ。

 って、いかんいかん。こんな歌を聴いていては!
 この土日も気を緩めないようにしなければ!(タバコを買いさえしなければ大丈夫だ)

 それにしても、初挑戦で5日間タバコを吸わずに過ごせたのは-いまでものどの渇きに似た、強い喫煙渇望状態にあるが-自分でも信じられないほどだ。
 その間、セブンイレブンの『お好み幕の内』は2回も食べているというのに……

 なお、本日は本館の記事も更新。そっちもチンにまつわる話題だ。