
以前取り上げたことがある、畑川剛毅の「線路にバスを走らせろ」(朝日新書)。
内容は、DMV開発の話を中心として、JR北海道がもつ高い技術力を紹介している。
そのなかに、冬季間に列車の窓ガラスが割れるという事故についての話がある。
トンネル内を列車が走行中に車体に付着している雪や氷の塊が落下して、バラスト(小石)を跳ね上げる。その跳ね上げられた小石がトンネルの壁にぶつかり、はじき返され窓ガラスに衝突し、ガラスが割れる現象である。
JR北海道ではその防止策として窓ガラスに飛散防止フィルムを張りつけた。
この話は、私が小学校のころにコカ・コーラの瓶が炭酸ガスの内圧で破裂する事故が相次ぎ、瓶を透明のフィルムで覆うようになった出来事を思い出させる。
さらにJR北海道は「絶対に割れない窓ガラスを」と、ガラスの200倍の強度をもつポリカーボネイトを採用することにした。ただポリカーボネイトは細かな傷がつきやすく、視界が悪くなりがちになる。そこで表面をシリコンでコーティングしたそうだ。
外からは混み具合がわからない
とはいえ、かねてから私が指摘しているように、それでも透明度は高くない。
そしておととい乗った普通列車。
731系電車(上の写真は見ての通り冬に撮ったもの)の窓は、とりわけひどかった。
これじゃくもりガラスだ。
知らない人が見たら、外は濃霧と思うだろう。
私が聞き分けのない大人だったら、「お外が見えないよぅ!」ってだだをこねるだろう。
上の本によると、ポリカーボネートをシリコンでコーティングした窓は、120km/h で運転する車両に導入されたという。ということは、特急列車の車両が対象で、この通勤・近郊型電車の窓はフィルムを張ったものなのかもしれない。
それでも、これはひどすぎる。
これじゃ ↓ こんなことなんてできやしない。
グラナドスの「窓ごしの語らい(Coloquio en la reja)」。
ピアノ組曲「ゴイェスカス(Goyescas)」(1911。全2部6曲)の第2曲である。
♪ 作品情報 ♪
【作曲】 1911年
【初演】 1911年・バルセロナ
【構成】 単一楽章(組曲のなかの1曲。約12分)【編成】 p
【本作品について取り上げた過去の記事】
≫ 顔? 私には樹皮の模様としか……

エンリケ・グラナドス(Enrique Granados 1867-1916 スペイン)。
マドリード音楽院でF.ペドレルに師事し、ピアニストとして活躍。歌劇、ピアノ曲、歌曲にスペインの民族色の濃い作品を残す。第1次大戦中、イギリス海峡で乗っていた船がドイツの潜水艦に沈められ死亡。
(井上和男 編著「クラシック音楽作品名辞典」(三省堂)による)
♪ 紹介したディスク ♪
エッセール(p)。
エッセール(p)。
1992年録音。エラート 8573 88046 2(輸入盤(廃盤))。