確かにパワーのあるアンプの方が『いざ』というときには頼もしいことはわかった。しかし、私が音楽を聴く部屋はせいぜい広くても10畳ほど。それも専用のリスニングルームじゃないのでスピーカーからリスニング・ポジションまでの距離で3mを確保するのも難しい。小腸の長さに遠く及ばない。となると、自分の耳がバカにならない程度の音量で聴くには、アンプの出力は10Wでも余すくらいということが、実験でも確かめられた。大パワーアンプの導入は、週に一度のスーパーへの買い物のためにポルシェを買うようなものなのだろうか?

CL_707S2  84dBのスピーカーものびやかに歌っていた
 最終的な音の確認のために、まずは『ビックカメラ札幌店』のオーディオ・コーナーへ。

 たまたま入り口近くにDENONのプリメインアンプPMA800NESP(出力は50W)にB&Wのスピーカー・707S2(写真←カタログに載っていたしゃれたもの)をつないだセットが置かれていたので、ボリュームを上げてみる。
 707S2の出力音圧レベルは84dBと、私がもっている686S2(生産終了)よりも1dB能率が低い。

 しかし、この低能(ごめん!)なスピーカーは50W出力のアンプによって、けっこう大きな音でも苦し気なところなどなく鳴っていた。

 次に『ヨドバシ マルチメディア札幌』へ。
 やはり私の使っている686S2(ちなみに、このスピーカーの推奨パワーアンプ出力は25~100Wである)に近い機種の707S2(といっても、税抜きメーカー小売希望価格は15万円と、686S2より7万円も高い)につないで、PM8006とPM-12を聴き比べる。
 スピーカーから私の立っている位置までは3m以上はある。
 しかし、どちらのアンプも堂々たる鳴らしっぷり。そして、やはり歴然とした音の差は、ここでは感じられなかった。
 スピーカーはほかにYAMAHAやDALIなどのブックシェルフに切り替えたが、スピーカーの出力音圧レベルの高低が2つのアンプによって違って聴こえるということは、やはり感じられなかった。

  スピーカーに合わせるのは本末転倒では?
 そして私はハタと思った。
 出力音圧レベルが低めのブックシェルフ型スピーカーのために、少しでも出力が大きいアンプをということで、無理をして30万のアンプを買うくらいなら、アンプは10万のPM8006にして、20万円を新たなスピーカー購入の資金にすべきではないかと。ペアで9万円の686S2に30万円のプリメインアンプとは、あまりにもバランスが悪すぎる(麻倉怜士氏はアンプとスピーカーとプレーヤーの予算の比率は3:5:2だと提唱している)。

 例えばB&Wの現行品なら、試聴したことはないが、606というブックシェルフは出力音圧レベルが88dBで、ペアで114,000円(税抜き)であるし、706S2はやはり88dBでペアで233,000円(同)である。クリプトンのKX-0.5も評判が高く、87dBでペアで185,000円(同)だ。
 とはいえ、30万円の予算が確保できないのでPM8006にしたってこともあり、スピーカーの買い替えはできないが……

 それに私は686S2の音が気に入っているのだし、今後も3m以上スピーカーから離れるような広い巻部屋という環境で音楽鑑賞することはない。今回、出力音圧レベルやアンプの出力に関して復習し、納得できたのは良い機会だった。
 あとは、自分が選んだオーディオ機器で自分の気に入った音を鳴らすことを考えれば良い。

 私がPM8006を購入したときの店頭価格は税込みで100,030円。
 さらなる割引とポイント還元で、実質、メーカー希望小売価格のほぼ半額で購入することができた。ヨドバシさんありがとう!

DSCN1691  余計なことはしないことに
 ところで、PM8006にはプリアウト端子があり、そこにサブウーファーを接続することもできる。そうすれば、バイワイヤリング接続で、B&W・686S2のハイ側をスピーカーA、ロー側をスピーカーBに割り当てられる。

 しかし、私が持っているサブウーファーのSL-A251はMONOのライン・インプット端子しかない。LとRで出力した信号を一緒にしてモノラル信号にしてしまうRCAケーブルを使えばつなげられるのだろうが、何か良からぬことが起きそうなので、そういう余計なことはせず、スピーカーB出力はサブウーファーに使うことにした。

 バルトーク(Bartok,Bela 1881-1945 ハンガリー)の「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽(Musik fur Saiteninstrumente,Schlagzeuge und Celesta)」Sz.106。
 モヤモヤと弦が絡み合い、音量を増していき最初に大太鼓が叩かれるところ。このブーレーズ盤の大太鼓の音のすばらしいこと!

BartokMandarin♪ 作品情報 ♪
【作曲】 1936年
【初演】 1937年・バーゼル
【構成】 4楽章(約30分)
【編成】 2群のstr, 小太鼓 2, シンバル, タムタム, 大太鼓, timp, シロフォン, cel, p
【本作品について取り上げた過去の主な記事】
  混合比率?焼酎1.6にお湯が1……?

♪ 作曲家情報 ♪
こちらをご覧ください

 
♪ 紹介したディスク ♪
 ブーレーズ/シカゴ交響楽団。
 1996年録音。グラモフフォン 。