20190325Doshin  私も『貧しい』が……
 出張で自宅に帰っているときに目にした北海道新聞朝刊の読者投稿欄。
 いやぁ、これを読んでまったくその通りだと感心してしまった。

 この投稿の内容と、薄~く関連するのだが、もう平成も終わりだというのに、あいかわらず、このところ『昭和』についての本を読んでいる。

 これこれに続き、今読んでいるのはまたまた半藤一利の著書。
 「昭和史 戦後編 1945-1989」(平凡社ライブラリー)である。

 日本の歴史には興味がないというか、高校生のころに、意味不明の出来事の名称と無味乾燥とした年号とを無理やり接着したうえで暗記しなければならなかった不遇の人生を送った私にとって、日本史はどうも苦手(加えて世界史も)。

 しかし、事象の羅列ではない歴史の裏事情がわかると、がぜん意味あるものとして興味深いものになる(もちろん筆者の推測も入っているが)。

  めざすは改憲、再軍備
 このなかで、かつて独裁的な政治を行なったとされる岸信介総理大臣について書かれているところを少し(でもないが)ご紹介。

HandouShowashi1945 ……昭和32年2月25日、岸さんは、なりたくてなりたくてしょうがなかった総理大臣にやっとなりました。念のために申しますと、彼はA級戦犯として巣鴨に入れられました。けれども、いわゆる東京裁判で被告としては裁かれず、準A級戦犯として巣鴨に入っていました。でも、GHQの政策の変更で多くの人が間もなく出てきたんですね。岸さんはそのなかの一人です。……27年の講和調印まで公職追放されていました。……そして講和条約の発効による追放解除を待って、昭和28年4月の総選挙で政界復帰したのです。
 何べんもふれましたが、鳩山さん以上に強力な憲法改正・再軍備論者です。ですから、吉田さんが敷いた軽武装の通商国家路線など目もくれず、あんなものは愚の骨頂であるとして、「戦前の大日本帝国の栄光を取り戻すこと」を政治目標とし、対米従属関係を一切払拭して「自由独立」体制を確立するという壮大なる政策目標を掲げました。そして鳩山さんが苦心惨憺して作った憲法調査会の会長として憲法改正・再軍備に懸命に取り組みます。さらに、吉田さんが一人で結んできた安保条約は憲法と同様、アメリカに押し切られたものだから、日本の立場がもっと強く出るように変えるべきであるとして、安保条約の改正まで言い出すんですね。……

 ……岸さんは、最初はかなり低姿勢でした。ただし防衛問題と、とりわけ憲法解釈に関しては低姿勢をかなぐり捨てて、猛烈なタカ派になるんですね。……

 ……まあ岸さんが総理大臣になった頃から、「ちょっと待てよ」の空気が生まれていたのは確かでした。それがこうも大々的にやってくれると、平和主義が精神の基底に根づきつつある日本人のなかに、どうも岸さんのやり方は危ないんじゃないかといった雰囲気が広まっていったのです。……


 このあと、話はもっと興味深い内容になり、今の日本の政治の強引さに似てね?って思わざるを得なくなる。

 ……(安保闘争に参加した)学生たちは本当に真面目でした。白紙状態に、かつての軍国主義、大日本帝国時代への嫌悪や反発を叩きこまれて育っています。あの東条内閣の閣僚であり、それもA級戦犯で本来もう表に出てこなくていい岸さんが、議会政治を無視して軍事化路線を突き進むような法案を強行採決するのを見たのです。岸さんその人への嫌悪感、感情的反発は非常に膨らんでいたと思います。何となれば、新安保条約をひっそりと結んだ当の藤山外務大臣への怒りの声は一切なかった。それはすなわち軍事大国日本への決別の思い、平和国家日本への強い祈願であったでしょう。

 「引用しすぎ」って叱られたら困るので、引用強行はこれぐらいにしておくとするが、いまの日本の総理大臣は、ご存知のように、岸信介の長女の子ども(次男)である。

KodalyKertesz  あの調べは「戦争とナポレオンの敗北」
 ところで、下のリンク記事でも書いているのだが、『おかあさんといっしょ』だと思うのである。
 「ハーリ・ヤーノシュ」の一部のメロディーを初めて耳にし、しかも繰り返し聞いていたのは。

 クラシック音楽を聴くようになってから、「ハーリ・ヤーノシュ」なる曲を最初に聴いたとき、私は思わず「ママ!」と叫んでしまったのだった。

 その、コダーイ(Kodaly,Zoltan 1882-1967 ハンガリー)の歌劇「ハーリ・ヤーノシュ(Hary Janos)」Op.15(1925-26/改訂1952)。

 舞台はナポレオン時代のウィーン。
 ハーリ・ヤーノシュは、ハンガリーの詩人G.ヤーノシュの詩「老兵」に登場する主人公の名。
 実在した人物で、とにかく言うことが大きい『ほらふき男爵』。コダーイは、彼が語るありえない話の数々を喜歌HeiseiHaitz劇に仕立てた。

 歌劇のなかの6曲を管弦楽組曲にしたもの(1927。Op.35a)が有名だが、たまには全曲を楽しもう(言葉がわからないから、ストーリーはちっとも楽しめないけど)。

 で、平成も終わるのである。

 新しい元号は何?って、なんでみんな大騒ぎしてるのか私にはよくわかんないけど。

♪ 作品情報 ♪
【初演】 1926年・ブダペスト
【構成】 プロローグとエピローグをもつ4幕(約1時間40分)
【本作品について取り上げた過去の記事】
  この貝、実はほら貝だったんです♪コダーイ/ハーリ・ヤーノシュ

♪ 作曲家情報 ♪
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♪ 紹介したディスク ♪
 ケルテス/ロンドン交響楽団,エジンバラ祝祭合唱団,ワンズワース・スクール少年合唱団,リーチ(ツィンバロン),コムローシ(A),コズマ(T),セーニ(Ms),パローツ(Br),ユスティノフ(語り)。
 1964 & 68年録音。デッカ。