朝、ネットで目にしたニュースは、ミヒャエル・ギーレンが亡くなったという訃報だった。
プレヴィンに続き、ギーレンも逝ってしまった。
亡くなったのは8日だという。もう91歳になっていたのか……
ギーレンの指揮する海外での演奏会の録音が、NHK-FMでけっこう放送されていたのは、1976年あたりから1980年ころまでだったろうか?
当時は“機械的な演奏”などと言われていたような気がするが、私はそのアプローチ、けっこう好きだった。
あのころの自分の『録音帳』を開くと、エアチェックしてずいぶん繰り返し聴いた、ギーレンの懐かしい演奏が記されていた。
・1976年8月6日 FMコンサート ギーレン/シュトウットガルト放送交響楽団
バルトーク/弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽
・1980年9月25日 FMクラシックアワー ギーレン/オーストリア放送交響楽団
マーラー/交響曲第7番
また、1977年10月30日には『NHKホールアワー』で放送された、ギーレン/N響によるマーラーの交響曲第7番もエアチェックしている。しかし、この演奏については不思議なことに記憶がない。
複雑な曲も音の塊にならない
その後、CD時代になっても何枚か-特にマーラー-ギーレンのCDを買って聴いたが、ギーレンが振ると、それまで聴きなれていた曲でも、その響きの中に新たな発見をさせられることが多かった。
その後、CD時代になっても何枚か-特にマーラー-ギーレンのCDを買って聴いたが、ギーレンが振ると、それまで聴きなれていた曲でも、その響きの中に新たな発見をさせられることが多かった。
むかしの冷たさはやや弱まったものの、分析的で、複雑な音楽も響きをきちんと交通整理し、あまり感情におぼれないところは変わらなかった。
それなのに無味乾燥とした演奏にならず、説得力があるところが不思議でもあった。
たまたま9日の土曜日に、私はギーレンがベルリン放送交響楽団を振った、マーラー(Gustav Mahler 1860-1911 オーストリア)の交響曲第3番ニ短調(1893-96/改訂1906)を聴いた。1984年のライヴである。
このところの私は、大きな曲を通しで聴くことがめっきり減ってしまったが、この日はそこそこの音量で-ずっと聴くことに集中し続けたわけではないけど-この演奏に浸った。
もしかして、虫の知らせだったのかしらん?
もしかして、虫の知らせだったのかしらん?
曲が終わり熱狂的な拍手。
それほど感動的な演奏。
むかしのギーレンが冷静な科学者だとすれば、このギーレンは冷静な力士のようだ(いえ、わかってもらえなくてもいいんです)。
むかしのギーレンが冷静な科学者だとすれば、このギーレンは冷静な力士のようだ(いえ、わかってもらえなくてもいいんです)。
部屋で独り拍手?いえ、それはしませんでしたけど……
♪ 作品情報 ♪
【初演】 1902年・クレーフェルト(全曲初演)
【構成】 6楽章(約100分)。
第4楽章の歌詞は、ニーチェの「ツァラトゥストラはこう語った」による
第5楽章の歌詞は、「子供の不思議な角笛」による
【編成】 orch(picc 4, fl 4, ob 4, E-H 1, 小cl 2, cl 4, b-cl 1, fg 4, C-fg 1, hrn 8, ポストホルン 1, trp 4, trb 4, tuba 1, timp(奏者2), 打楽器各種(小太鼓, 大太鼓, 軍隊用小太鼓, シンバルつき大太鼓, タンブリン, シンバル, トライアングル, タムタム, グロッケンシュピール, テューブラーベル 6), hp 2, Str), アルト独唱, 児童合唱, 女声合唱【本作品について取り上げた過去の主な記事】
≫ 〔Σ(学生歌)=大交響曲〕の変貌≫ 壮大なスケール∧精緻。インバルのマーラー/第3
≫ 勢いでフィラデルフィアって書いちゃった。めんご!
≫ すっごい演奏見ーつけた!♪ギーレンのマラ3。84年ライヴ
♪ 作曲家情報 ♪ ⇒ こちらをご覧ください。
♪ 紹介したディスク ♪
ギーレン/ベルリン放送交響楽団,リアス室内合唱団,ベルリン国立大聖堂少年合唱団,シュレッケンバッハ(A)。
1984年ライヴ録音。Alutus。
ええ、まったくです。