居場所を失ったボ

 今日は『サボテンの日』である。
 なぜか?
 ちょっと苦しいが()テン(10)だからだ。なんだが、身の置き場に困っている『ボ』がかわいそうだ。
 なのに『サテン』(織物の一種。アンダーソンの作品に「サテンを着た女」っていう曲がある)の日とか、『喫茶店』さてん)の日にはなっていない。

 これは大阪のマンションの一室に暮らす私が育てているサボテンたち。



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 数が増えたんじゃないかって?すいません。妻には内緒にしといてください(妻はこの先自宅にいくつもの鉢植えを持ち帰られ増やされることを危惧している)。

 駅とマンションの中間地点にあるかわいらしい花屋さんで、かわいらしいという言葉はふさわしくない店主のおじさんに「プレゼントですか?」「いえ、私が育ててあげます」と毎回買うたびに同じ会話をしているうちに、多肉植物も含めて6鉢を買い集めてしまった。つまり、こんなやり取りを6回したわけだが、私の印象ってそんなに薄いのだろうか?


  ンもボと同じ立場
 今日はサボテン以外にも、『佐渡(310)の日』であり『ミント(310)の日』であり『水戸(310)の日』であり『砂糖(310)の日』だ。
 盛りだくさんだ。

 その『佐渡の日』が誕生日である作曲家に、サラサーテオネゲルがいて、『水戸の日』が命日の作曲家はライネッケである。

IbertSado そんなわけで、今日はイベール(Jacques Ibert 1890-1962 フランス)の「祝典序曲(Ouverture de Fete)」(1940/改訂1941)。

 なんでかって?

 「佐渡裕をご存じない?……佐渡裕をご存じない?……」(←ソニー損保のCMの松本白鸚の語りのように、私は言いたい)。

 皇紀2600年祝典のために大日本帝国からフランス政府を通じて作曲の依頼を受け書かれた曲である。

  零はなんの『ゼロ』?
 ところで、ゼロ戦が戦闘機として正式に採用されたのは昭和15年のことだそうだ。

HandouShowashi1926_1945 半藤一利の「昭和史1926-1945」(平凡社ライブラリー:2015年電子版発売)に、次の記述がある。

 ……今はまったく使いませんが、かつて日本は年号として紀元というのを神武天皇即位を元年として使っていまして、ちょうど昭和15年が紀元2600年に当たるので、その最後の「〇」をとって「零戦」というのです。

 私、ちっとも知らんかった。

 紀元(皇紀)2600年には、東京でオリンピックや万国博覧会を開催する計画もあったそうだ。
 同じ「昭和史1926-1945」から。

 しかしヨーロッパでは大戦が行なわれ、アジアでは日中が戦争をしているといった世界情勢のため、オリンピックも万博も中止になりました。けれども、国民のなかに鬱屈した思いがありますから、紀元2600年のお祝いだけは盛大にして景気をつけようじゃないかということになり、11月10日、宮城前広場で大式典が催されました。……


 ……(国民は)裏側ではそんなふうに「お目出度くもないよ」と毒づきながらも、表では盛大なお祝いに天皇皇后がお出ましになり、宮城前広場に約5万人が集まって「君が代」を斉唱し、総理大臣近衛文麿が寿詞(よごと)(お祝いの言葉)を申し上げ、ラジオが中継で全国に放送しました。また花電車やイルミネーションで飾られた電飾市電が走り、もちろん提灯行列も華々しいものでした。新聞も大々的に報じました。……


 ……いずれにしろ、これは太平洋戦争がはじまる前の昭和日本のもっとも輝ける日であったと思います。そして式典が終わると、一斉に街頭にポスターが張られました。
 「祝いは終わった、さあ働こう」……


 やれやれ……


 皇紀2600年といえば、伊福部昭がその記念イベント(札幌市と小樽市が主催。小樽新聞が推進役となった)のために交響舞曲「越天楽」(1940)を作曲している。


 その野外大聖舞頌楽祭は同年7月7日の夜に札幌外苑総合グラウンドで開催され、総勢600名の出演者によって初演された。


 なお、松田聖子の誕生日も今日3月10日だそうである。

♪ 作品情報 ♪
【初演】 1940年・東京(改訂版は1942年・パリ)
【構成】 単一楽章(約15分)
【編成】 orch(picc 1, fl 3, ob 2, E-H 1, cl 2, b-cl 1, A-sax 1, fg 2, C-fg 1, hrn 4, trp 4, trb 3, tuba 1, timp, 打楽器各種(小太鼓, 大太鼓, シンバル, タムタム, グロッケンシュピール), hp 2, Str)
【本作品について取り上げた過去の主な記事】
  諸事情があって多少固まっているときもある

Ibert♪ 作曲家情報 ♪
 

 パリ音楽院に学ぶ。第1次大戦で海軍に従軍。印象主義と新古典主義の技法を生かした、フランス風エスプリの作風で広く愛好された。

 (井上和男編著「クラシック音楽作品名辞典」(三省堂)による)

♪ 紹介したディスク ♪
 佐渡裕/ラムルー管弦楽団。
 1996年録音。NAXOS。
 佐渡のイメージと違い、案外とおとなしめな(よく言えば上品な)演奏。