BernsteinSym  10日の正午前のルルルンルン
 誤解してはいけない。

 ルルルンルンというのは心躍るような気持ちを表しているのでは決してない。
 ガラホのメール着信音がそんなようなものというわけだ。

 前日の昼過ぎ、当支社の某氏が「どーもおなかの調子が悪い」と言って、近くの病院に行った。

 しばらくしてから戻って来て「風邪だと言われた。インフルエンザではなかった」と言っていた。おなかに風邪の菌が入ったということだろうか?

 私は「明日は無理しないで休んだらいいよ」とアドバイスした。もちろん彼の身を案じてのことだ。が、それ以上にわが身を、そして他の社員のことを案じてのことだ。だって、風邪をうつされたら困るではないか!

 翌日の朝。
 1回目のルルルンルンが鳴った。
 彼からのメールだった。今日1日休ませてもらい、病院にももう一度行ってみるという。
 もちろん私は「お大事に!」と返信した。

 そして『小見出し』に書いた2回目のルルルンルンが鳴り、しかも震えたのだった。ガラホが。

  くしゃみ3回ルル……じゃなくフル?
 そのメールの内容は目を覆いたくなるようなものだった ↓。

 インフルエンザでした

 なんでも、前夜から高い熱が出ていたという。「連休明けから出勤する」と書かれていた。5月の連休のことではない。今日が中日(なかび)である、この連休のことである。

 私は「会社の決めにしたがってください」と返した。
 彼は医者から5日間は出勤しないように言われたそうだが、会社の規定は“熱が下がってから(原則として)2日間は出てこないこと”ということになっているからだ。

 そのメールを送ったあと、なぜか連発してくしゃみが出た。

 まずい!

 予防接種をしているとはいえ、絶対に罹らないという保証などない。
 彼とは年明けの業務が始まった7日以降、けっこう行動を共にしていた。私の感染リスクは全然低くない。
 
 インフルエンザの潜伏期間は1~2日だというから、彼は発症した9日の2日前の7日には隠し持っていたことになる。周囲にうつす恐れがあるのは発症する1日前らしいので、8日から危険状態だったことになる(なお、発症後は5~7日ごろまでうつすリスクがある)。

 8日といえば……、私は彼と車で外勤している……じゅうぶんにまずい。

 まずいと思いながらも、私は朝の出勤途中に買ったセブンイレブンの幕の内弁当をおいしく完食した。
 不安でも食欲があるのはありがたいことだ。

  活力のなさはいつものこと 
 バーンスタイン(Leonard Bernstein 1918-1990 アメリカ)の交響曲第2番不安の時代(The age of anxiety)」(1947-49/改訂'65)。

 独奏ピアノとオーケストラによる協奏曲のような交響曲。
 1947年に出版されたイギリスの詩人W.H.オーデンの詩「不安の時代」に触発され、また指揮者クーセヴィツキーからの新作委嘱もあって作曲された。

 曲は2部6楽章からなり、詩の内容に沿って音楽も進む。

 時代は第2次世界大戦末期。ニューヨークに暮らす3人の男と少女の話。
 第1部(第1楽章「プロローグ」、第2楽章「7つの時代」、第3楽章「7つの段階」)では、4人がバーでそれぞれのこれまでの生き方や、これからのことを語り合う。
 第2部(第4楽章「挽歌」、第5楽章「仮面舞踏会」、第6楽章「エピローグ」)では、強力なリーダーが不在の今の世を嘆き、また4人でパーティーを開くものの、それが終わりそれぞれが寂しく現実の世界へ戻る。

 フォスのピアノ、バーンスタイン/イスラエル・フィルの演奏で。

 1977年録音。グラモフォン。

  予防接種のありがたさをかみしめる
 そして……10日も、11日も、12日も、そして本日は私は恐ろしい症状に襲われなかった。
 いつもどおり、体がだるく、やる気がない、ごく当たり前の体調だった。
 もう安全宣言を出してもいいような気がしてならない。
 それに、そもそも上のリンクしたサイトには、インフルエンザの症状に『くしゃみ』という語句が見当たらない。

 これは予防接種を受けた賜物以外の何ものでもない。
 チクっと痛かったけど、泣かずにがまんしたかいがあったってもんだ。
 それに加えて、なるべくヒジキやワカメやエノキダケやごま油や亜麻仁油を摂取するようにしたことも(気持ち的に)良かったのかもしれない(10日は終業後早々に帰宅し、オレンジジュースを飲み、湯豆腐を作り、それにはホウレンソウとワカメとエノキダケと長ネギもぶっこみ、おろし生姜をたっぷり入れた『味ぽん』で食べた。さらに、ニンニク入りのソーセージともやしの炒め物を作り、ごま油と亜麻仁油を回しかけたのを食べた。加えて何とかという乳酸菌を加えたタレ付きの納豆にキムチを混ぜて、無理やり食べた。フジッコのひじきの煮物も食べた)。
 
 もちろん、部屋に置いてある石たちのパワーも(そういうものがあるとすれば)援護射撃となってくれたに違いない。


 インフルに襲われた彼も金曜日には熱が下がり楽になったという情報が入った。

 休み明けには清らかな身となって出社してくることだろう。


 話は変わるが、いろいろ試行錯誤したものの、年明けに来たmasaさんからの「今年は短く簡単に、とありましたが、複雑で、長文で構いません。もうすでに慣らされてますから~」というメッセージを鵜呑みにして、元日の決意はあっけなく翻すことにした。

♪ 作品情報 ♪
【初演】 1949年・ボストン(改訂版は1965年・ニューヨーク)
【構成】 2部6楽章(各部の3つの楽章は、それぞれ続けて演奏される。演奏時間約30分)
【編成】
 独奏p, orch(picc 1, fl 2, ob 2, E-H, cl 2, b-cl 2, fg 2, C-fg, hrn 4, trp 3, trb 3, tuba, timp,打楽器各種, hp 2, cel, アップライトp, Str)
【本作品について取り上げた過去の記事】
  この巨泉の言葉には共感する♪バーンスタイン/不安の時代
  7/19 PMFO演奏会を聴いて
  名曲喫茶で不安を煽る猛女の話
    
BernsteinSym2LP♪ 作曲家情報 ♪
 

 ハーヴァード大学、カーティス音楽学校で学び、さらにクーセヴィツキーの指導を受けた。指揮者として世界的名声を博すと同時に、クラシック、ポピュラー両面にわたる作曲で知られる。
 (井上和男編著「クラシック音楽作品名辞典」(三省堂)による)