
年明けの正月休み中に『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』を観に行った。
テレビCFの予告編などで流れている、タイトルにもなっている、夜更けにバナナを買いに行かされるシーンは最初のうちに出てくる。ここでぐっと観る者を引きつけるわけだ。
それはそれでいいのだが、正直なところ、そこからストーリーが進むにしたがってディミヌエンドって感じ。
緩慢に盛り下がっていく。私にはそんな気分が否めなかった。
その10日ほど前に、同じ『イオンシネマ江別』で『ボヘミアン・ラプソディ』を観たのだが、あちらはどんどん映画に引き込まれて-このロックなんて聴いたこともない私が!-尿意も忘れるほどだったのに、『バナナ』は『ボヘミアン』より上映時間が短いにも関わらず、間延びしてしまってとっても長く感じた(尿意は終演までがまんできたが)。

なお、このところ私は、ほぼ1日に1回は「ボヘミアン・ラプソディ」を聴いている。
映画に引き込まれなかったのは「バナナ」の主人公の強烈なわがままぶりが、私に拒否感を抱かせたのかも知れない(その点、大泉洋は憎らしさを見事に演じている)。
あのわがままこそが、鹿野という主人公の人物の生き方だ。その描写がこの映画の見どころでもある。
しかし、彼の強烈な個性と発露がどこまで実像に忠実なのかはわからないものの、いくら重症難病患者であろうと(そのつらさは

結局、救いは札幌市内・近郊の映像?
唯一の救いは、高畑充希のバイト仲間の女の子の1人-古川琴音というらしい-がかわいかったことだが、彼女のほかのネット上の写真を見ると、もっと化粧や表情がシャープで、良い意味での素朴な感じがなくて……結局救われなかった。
なお、映画の最後のクレジットには協力先として江別市の名もあった。
鹿野氏が住んでいた住宅(レンガ壁の平屋)は江別の古い市営住宅に似てなくもなかったが、そう言い切る自信はない。
さて、レスピーギの交響詩「ローマの松」。
盛り上げられているのはわかっていても、心臓バクバク、ドーパミン大放出になってしまう、じつにツボを押さえた音楽である。
ムーティ/フィラデルフィア管弦楽団の演奏を。
イタリア人指揮者と、作曲家自身もここで指揮をしたフィラデルフィア管弦楽団との組み合わせ。
いまさらそれがどうしたって話ではあるが。
1984年録音。EMI。
♪ 作品情報 ♪
・レスピーギ(オットリーノ)/Ottorino Respighi(1879-1936 イタリア)
交響詩「ローマの松」(Pini di Roma〔伊〕/Pines of Rome〔英〕)
【作曲年】 1923~24年,初演:1924年(ローマ)
【構 成】
全4楽章(各楽章切れ目なく続けて演奏される。約23分)
I. ボルゲーゼ荘の松(I pini di Villa Borghese)
Allegretto vivace~Vivace 8/2拍子
II. カタコンバ付近の松(Pini presso una catacomba)
Lento 4/4拍子
III. ジャニコロの松(I pini del Gianicolo)
Lento 4/4拍子
IV. アッピア街道の松(I pini della Via Appia)
Tempo di marcia 4/4拍子
レスピーギは1926年にフィラデルフィア管弦楽団を自ら指揮する際、この曲について、次のように記している。
「ローマの松」では、私は、記憶と幻想を呼び起こすために出発点として自然を用いた。極めて特徴をおびてローマの風景を支配している何世紀にもわたる樹木は、ローマの生活での主要な事件の証人となっている。
「ローマの松」では、私は、記憶と幻想を呼び起こすために出発点として自然を用いた。極めて特徴をおびてローマの風景を支配している何世紀にもわたる樹木は、ローマの生活での主要な事件の証人となっている。
【編 成】 orch(fl 3(第3奏者はpicc持替),ob 2, E-H, cl 2, b-cl 2, fg 2, C-fg, hrn
4, trp 3, trb 4, timp, 打楽器各種, Str, p, cel, org, 録音されたナ
イチンゲ-ルの声)
舞台裏のtrp
ブッキーナ(舞台外の別動隊のバンダ)
近代イタリア復古主義の一翼を担った作曲家。ボローニャの音楽学校で学び、ヴィオラ奏者として活躍。1913年よりローマのサンタ・チェチーリア音楽院で教鞭をとる。流麗なオーケストレーションと甘美な旋律を特徴とし、中世、ルネサンス、バロックのイタリア音楽の要素と民族主義的立場を結びつけた。
(井上和男編著「
クラシック音楽作品名辞典」(三省堂)による)