おもしろそうなふる~い本を発見
 自宅の納戸(近ごろはサービスルームとか言うらしい)にある本棚のなかを整理していたら、こんな本があった。
 写真を見れば日本語の読める人ならわかるのであえて書く必要もないだろうが、そうでない人もいるだろうから、丁寧に(しつこくとも言える)書くと、三浦綾子(Miura Ayako)の「孤独のとなり(Kodoku no Tonari)」(角川文庫)である。

MiuraAyako_KodokunoTonari 1975(昭和50)年前後に雑誌などに寄稿したエッセイを集めたもので、この文庫本には“昭和58年9月10日 初版発行”とある。

 私が買った本ではないことは確かだ。
 また、BOOK OFFのシールも貼られていない。

 ということは、独身のころに妻が買ったものと思われる。

 “あとがき”で三浦は、

 私がこの拙い随筆集に、「孤独のとなり」と題したのは、つまり、
 「孤独のとなりに神がいる」
 という、誰かに聞いた言葉を、人々に伝えたかったからだ。

と書いているが、果たして彼女は、孤独なふりをして神を呼び寄せようという壮大な計画を考えていたのだろうか?

  えぇ、誰も褒めてくれないので、自分を叱ることもしませんの
 この本の第1章「夫婦関係長続きの秘訣」に、次のようなことが書いてある。

 ……人間とは、先ず第一に、甚だ自己中心的な存在だということを、わたしたちは忘れてはならない。
 わたしはよく例に出すのだが、もしここに、自分の大事にしている皿なり茶碗なりがあるとする。それを他者が割った時、わたしたちはその粗相を(とが)めて怒る。たとえそれが愛する自分の子であったとしても。
 「どうしてそんなに不注意なのか」
 と、いわずにはいられない。しかし、もしその同じものを自分が損なったとしても、わたしたちは決して、他の人を叱るようには自分を叱らない。咎め立てもしない。
 (ああしまった、惜しいことをした)
 と内心思っても、鋭い語調で自分自身を責めはしない。……

WebernRicer はい。そのとおりです。
 ベランダの雪下ろしをしているときに、投げた雪が庭木を直撃し枝が折れました。
 私はそれも運命と思うことにしました。枝が折れたことは誰にも言ってません。幸いまだ、家人にも気づかれていません。

 ヴェーベルンの「2つの歌」Op.8。

 室内声楽曲(という分類の仕方もあるのね)で、第1曲は「あなたには言わない」、第2曲は「あなたは私を孤独にする」。

 アーノルドのソプラノ、クラフト/21世紀古典アンサンブルの演奏を。

 2008年録音。ナクソス。

 昨日の朝、ほんのうっすらと新しい雪が地表を覆っていた。
 雪かきで積んだ雪山に犬の足あとが……
 いや、あんな場所に散歩中の犬が上るわけがない。じゃあ野良犬か?まさか、いまどき野良犬なんてアライグマを見かけない以上に珍しい。
 ということは、キタキツネだろうか?
 狐独の足跡の公算が強い。

♪ 作品情報 ♪
 Anton von Webern(1883-1945 オーストリア)
  2 Lieder Op.8
   1. Du,der ich's nicht sage
   2. Du machst mich allein
 【作曲年】 1910年/改訂1921,'25年
Webern 【構 成】 各曲約1分
       詞はR.M.リルケの「マルテの手記」による。
 【編 成】 S,室内orch(8楽器)

♪ 作曲家情報 ♪ 
 シェーンベルクに学び、師と共に20世紀初頭の無調音楽、第1次大戦後の12音主義の開拓者となる。とくに精緻な論理的構成による音列技法は、第2次大戦後の前衛音楽の出発点となり、多大な影響を残す。(井上和男編著「クラシック音楽作品名辞典」(三省堂)による)