SSO310th  名演なのに拍手はイマイチ
 ちょっと日にちが開いてしまったが、3月に名フィルとのジョイントで札響がマーラーの交響曲第8番を演奏した1990年の続き。

 マラ8が北海道で初演された画期的なこの年を顧みると、しかしながら、私はあまりコンサートに行っていない。
 定期演奏会で行ったのはマラ8より前の1月の第310回とその10か月後の第319回の2回だけである。

 第310回は小松一彦の指揮で、1曲目に置かれた伊福部昭の「土俗的三連画」を目当てに行ったのだが、あまりおもしろく感じなかったし、メインのショスタコーヴィチの交響曲第5番も印象に残っていない(2曲目のハイドンのチェロ協奏曲ハ長調(独奏:上村昇)は記憶欠落)。

 第319回は尾高忠明の指揮で、バルトークのヴァイオリン協奏曲第1番とR.シュトラウスの交響詩「英雄の生涯」。
 バルトークのソリストはシュロモ・ミンツ。
 バルトークの第1コンチェルトはあまり生で聴けるチャンスがなく、また私はこの曲が好きのなので楽しみにして行ったのだが、期待を裏切らない演奏。
 ただ、なじみの薄い曲のためか、お客さんの反応はイマイチだった。
 「英雄の生涯」は、尾高の特徴である、良くいえば破たんのない演奏。悪くいえば無難な仕上げ。
 音がどんなに鳴ろうとも、心にはどうも共鳴しなかった。

 この年、私が定期演奏会にあまり行けなかったのは、転勤で内部異動し仕事のスケジュールの関係上コンサートに行くタイミングがあまり合わなくなったことと、4月に長男が誕生し、早く帰れるときにはコンサートよりわが子の鑑賞優先という事情があった(ような気がする)。
 職場の人にチケットを譲り、プログラムノートだけはもらうということをしていた。

  PMFスタート
 なお、この年からPMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)がスタート。

 こちらの一連のコンサートでは、私は3つのオーケストラ公演に行っている(いずれもPMFオーケストラではなくロンドン交響楽団)。とにかく、このオーケストラから出てくる音の大きさ、厚みに驚いた。

PMF1990b

 また、8月には尾高/東京フィルハーモニー交響楽団によるマーラーの5番を聴いたが、まったくもって物足りなさが残る演奏だった

  良い企業イメージを持っていたのに……
 年が明けた1991年。

 3月に今度は仙台フィルとジョイントで、札響はマーラーの交響曲第6番を取り上げた。
 もちろん北海道初演。指揮は田中良和(現在は特定のオーケストラには携わっていない模様)。

 ホーム企画センターという地場のハウスメーカーが特別協賛したコンサートだが、その6年後、家を建てようと思った私は、この特別協賛に敬意を表しホーム企画センターの物件も検討した。
 ところが、セールスマンが言った価格が、翌日提示された見積書ではずいぶんと価格が上がっていて、それも前日に言ったのが間違いだったことを謝罪しないどころか、私も妻も小2の長男も3歳の次男も聞いているのに「そんなことは言ってない」としらばっくれたので、すっかり信用できなくなってやめた。
 私という顧客を失ったことは大きな悲劇だと言わざるを得ないだろう。

SSO_GM6

 さて演奏だが、あらためてこの曲の巨大さを実感。
 細かなところは覚えていないが、終楽章のハンマーを振り下ろすタイミングがバッチリで、そういうところに妙に感心してしまった(とはいえ、もしはずしたらボロクソに言うのだけど)。

 今日は映像でこの曲をお楽しみいただければと、シャイー/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のDVDをご紹介しておく。

Mahler06ChaillyDVD

 2012年ライヴ。Accentus。

 この、お世辞にも明るいとは言えない上に、長い作品。
 客層を見ると、招待客らしき姿の人も多く、たぶんかなり悲劇的な苦痛な時間を過ごしたのではないかと思う。