老女の文句先日実家に立ち寄ったとき、老婆=老母が私に文句をつけてきた。
あんたがこの家に置きっぱなしにしているサボテンが大きくなってきて、植え替えなきゃならないと思うがトゲがひどくてできない。なんとかしろ。
かいつまんで言うと、あるいは詳しく言っても、こういうことだった。
私の記憶では、中学生時代に通販で買い集めた苗たちも、枯れてしまってもうほとんど残っていないと思っていたのだが、2階の一室に置いてるというそれをみると、「おぉっ!こんなのが生き延びていたのか!」と、そもそもその存在すらすっかり記憶から消え去っていたものがあった。
連れて帰ることに1つは金鯱。メサイアが王の王だとすれば、金鯱はサボテンの王である。
それが15cm×15cmの大きさになっていた。その立派に成長した姿に思わず触ってしまい、いきなり指先をトゲに刺してしまったほどだ(出血量はわずか)。
もう1つはマミラリア属の1種。こちらは高さが17cm、直径は12cmにもなっていた。
こんな立派に育ったサボテンをこのまま価値観不足の老母のもとに置いておくのは猫に小判、老母に仙人掌だ。
これ以上多肉系の鉢を自宅に増やさないでいただきたいと主張している妻に懇願し、持ち帰ることの許しを得た。
『メモ』は存在した
自宅に帰り、私がサボテン栽培に最もお熱を上げていたころの、1974年に-しっかし、友人が少ないかった理由がいまだからはっきりわかる。サボテンを愛でる中学生と親しくなりたいと思う中学生はきっと変わり者だ-購入し、バイブルとして大切にしてきた松居謙次著「サボテンと多肉植物」(文研出版)を開くと、これが5月7日-何年の5月7日かわからないが、常識的に考えて1974年なのだろう-に山城愛仙園から通販で9.5cm大の苗を400円で買ったというメモがあった(と考えると、たった5cmしか成長していないことになるが)。
また、マミラリアの方は、同じ日に『黄神丸』の親株を購入したというメモがある(親株っていうのも実にあいまいだ)。
『黄神丸』……確かに記憶にある。また、私はマミラリア属のサボテンをいくつも購入したことはないので、今回実家の2階の一室で発見したものも『黄神丸』に違いないだろう。ただ、気になるのは全身を覆う毛髪上のトゲが黄色くない-『黄神丸』はマミラリアの黄刺系品種-ことだ。
まっ、いいけど。
それにしても私が実家を出てから30年以上経つわけで、その間たまには水を与えてもらったにせよ、よく逆境に耐え抜き育ったものだ。感心してしまう。って、今回持ち帰って来て、すぐに枯れたらシャレにならないけど……
やっぱり、サボテン(に限らず植物)は、あまり猫かわいがりすぎないほうがいいのかもしれない。
ところで、今の私はこの本のメモのままの拙い字ではないことを強く主張しておく。金鯱ほどではないが、私だって少しは成長したのだ(と思い込んでいる)。
また、山城愛仙園のことを知ったのも、この本の巻末にある通信販売業者のリストからだった。
王の王!万軍の主!
ヘンデル(Georg Friedrich Handel 1685-1759 ドイツ)のオラトリオ「メサイア(Messiah)」HWV.56(1741)。
聖書によるC.ジェネンズの詞を3部にわたって歌い上げるヘンデルの最高傑作とされる作品。有名曲も数多く含まれるが、なかでも第2部終曲(第23曲)の「ハレルヤ・コーラス(Hallelujah!)」は突出して有名。この映像を観ると、歌詞がよくわかる。さて、「メサイア」をクレオベリー/ブランデンブルク・コンソート、ケンブリッジ・キングズ・カレッジ合唱団他の演奏で。
1993年録音。デッカ。
中学の卒業式-札幌市立手稲東中学校-の卒業式で、卒業生だった私たちおよそ500名は(12クラスまであったのだ)「ハレルヤ・コーラス」を歌わされた。いや、歌わせていただく機会を得た。
もちろん歌詞は日本語である。「王の王ぅ~」とか「万軍の主ぅ~」と歌ったのである。
だから、ヘンデルのメサイアというよりは、「救世主」の「神をほめたたえよ合唱」を歌ったって感じである。
あらためてきちんと考えてみると、う~ん、卒業式にふさわしい曲と言えるのかなぁ……
なお、このとき指揮者を務めた小林君は、いまはオーボエ奏者として活躍しているそうな。




ええ。私の手元に戻った直後に枯れてしまわないよう気を付けます。