名曲かなぁ?
 1989年10月の第307回定期は秋山の指揮。

 「日本ではあまり演奏されない名曲を積極的に紹介する」を有言実行。メインプログラムはR.シュトラウス交響的幻想曲イタリアより」Op.16。

SSO307th

 この曲では終楽章である第4楽章に、デンツァの「フニクリ・フニクラ」の旋律が引用されている(ここに書いたように、シュトラウスはこれを民謡と勘違いしたのだ)。

 個人的にはそこが唯一楽しめるところ。で、「イタリアより」を生演奏で聴くという貴重な機会を得たが、生で聴いてもそれなりの曲だった。これに関して言えば秋山の『名曲』という思いには賛同できなかった。

 が、秋山はリベンジしてきた。私に。

  名曲だぁ~!
 2か月後の12月の第309回定期。

 こんなすばらしい曲があったのかと思い知らされた。
 叩きのめされ、曲が終わったあとはしばし呆然、頭の中はピーマンなのかウニなのか自分でもよくわからず。

 メインで演奏されたグリエール(Reingol'd Moritsevich Glier 1875-1956 ロシア)の交響曲第3番ロ短調Op.42イリヤ・ムーロメッツ(Il'ya Murometz)」である。

SSO309th

 曲についてはここに書いているが、たくましいが、常にどこかもの悲しさをたたえた音楽。
 だが、4つの楽章の中でも、ちょっと表情が違う異色の第3楽章は愛らしい。

 イリヤ・ムーロメッツは石になってしまったが、私が最初に買ったこの曲のCD-当時この曲のCDは探しても見つからず、東京に出張したときに石丸電気でようやく発見した-はこんなふうに腐ってしまった。チーズじゃあるまいし……(←グリエールってことね)

 この作品のCDの発売点数はいまでもあまり多くない。というか、悲しいほどない。

 いまならまだ入手できるオーマンディ/フィラデルフィア管弦楽団の録音を。

 1971年録音。RCA。

Ilya

 ところで、この第309回定期の前の月の11月。
 札響ではなく、北海道交響楽団の話になってしまうのだが、その第16回定期演奏会があった。

 出し物がマーラーの交響曲第2番「復活」だったので行ってみた。

 プログラムノートの中身は、文科系サークルのノリがどうもなぁというもの。
 演奏はともかく、私が「復活」を生で聴いたのはこのときが最初だった。

 このときも指揮台に立ったのは、ずっと北海道交響楽団の常任指揮者を務めた川越守氏。
 氏が昨年の12月に亡くなった。

 『お別れの会」は2月18日に行なわれたそうだ。関係ないが、私の誕生日なんだけど……