さて、ネットワーク・オーディオ・プレーヤー(NAP)と無線LANディスク(NAS)の仲をとりもたなくてはならない。それが仲人としての私の任務だ。
まず最初にやること。それはNAPと無線LANルーター間の開通である。
しかし、この作業はNAP(NA6005)のマニュアル通り進めると、なんの問題もなく完了した。
NA6005はわが部屋のルーター(アイ・オー・データのWN-AC1167DGR3)をすぐに認識し、パスワード(ルーターの暗号キー)をNAPのリモコンで入力すると、問題なく意気投合してくれたのである。
NASのDLNAを有効にする
次はいよいよ、ルーターに接続されているNAS(アイ・オー・データのHDL-AA3)へNA6005が音楽ファイルを読みに行けるようにする設定だ(つまり、NA6005は無線でルーターにアクセスし、ルーターとLANケーブルで接続されているNASを読みに行く)。
その前に……
NASであるHDL-AA3は、初期状態では、NA6005などがミュージック・サーバーとして利用できるためのDLNAが無効になっている。DLNAが無効なら私がどんなに嘆き悲しもうが、NA6005はこのNASを認識できない。
HDL-AA3には必要な機能だけを追加できるパッケージ(追加機能)が用意されており、そのなかの1つに『メディアサーバー』というのがある。この機能を追加しないとDLNAに対応しない。追加は無料だ。『メディアサーバー』を追加し、さらに音楽データが保管されている共有フォルダ―に適用することで、ネットワーク・オーディオからの利用が可能になる。
容量の関係から専用の共有ファイルを作る
だが再び「その前に」、である。
現時点で所有しているCDのリッピング作業はようやく3合目付近まで到達したくらいなのだが、それでもデータ(FLAC形式)の容量は237GB、ファイル数は7,900、フォルダー数は3,460になっている。
『ファイル数=取り込んだCDのトラック数』であり、フォルダーに関して言えば私が設定している規則は『作曲者名』→『ジャンル』→『作品名』→『演奏者』という階層になっており、その分のフォルダーが存在する。最下層の『演奏者』のフォルダーの中に音源のファイルがある。
例えば、マーラーの交響曲第9番のバーンスタイン/ベルリン・フィルの音源だとすると、フォルダーは『マーラー』→『交響曲』→『交響曲第9番』→『バーンスタイン/ベルリン・フィル』という階層になり、『バーンスタイン/ベルリン・フィル』のフォルダーの中に第1楽章から第4楽章までの4つのファイルが存在する。
リッピングしたこれらの音源はHDL-AA3購入時にあらかじめ導入されている『disk1』という共有フォルダーに保管しているが、このままリッピングが進んでいくと、最終的にはファイル数は2万から3万になってしまう計算だ(私の寿命が尽きないうちに作業が終わるのだろうか?)。
ところがである。『メディアサーバー』機能には制限があるのだ。それは、“公開フォルダー内のファイル数は、合計1万ファイル以内でご利用ください”というものだ。
『合計』と書いているということは、1つのフォルダーあたり1万ファイル以内ならいいってことではなくて、いくつかのフォルダーに分散させて保管したとしても、合計で1万ファイル以上ならばダメだということだろう。
それなら共有フォルダ―『disk1』をDLNA対応のミュージックサーバーとして使うことはできない。『メディアサーバー』機能が保証するファイル数をオーバーしてしまうことは時間の問題だからだ。
あるネット情報によると、『メディアサーバー』でファイル数が1万以上になってしまうと、NASそのものが完全に固まってしまうらしい。いと、恐ろし。
そこで、NA6005でサーバーとして利用する共有フォルダーとして、おおもとの『disk1』とは別に、いうならば『disk1』のセレクト集を作って利用することとした。
またその方が、NA6005で使う際にも大量のデータによって楽曲の検索に時間がかかる(かもしれない)ってことも回避できると考えた。
そこで別な共有フォルダーを作成(仮に『disk2』とする)。この『disk2』フォルダーに対して『メディアサーバー』を有効とした。
ミュージックサーバーの確立
『メディアサーバー』の機能追加は、HDL-AA3の導入時にインストールしたソフト『LAN DISKコネクト』の設定画面で、『共有』→『メディアサーバー設定』と進み、『メディアサーバー機能』の『有効』をチェックする。
そのうえで『disk2』を適用対象とするために、『公開フォルダー一覧』で『disk2』だけを選択して『適用』をクリックする。
これでNASのなかの『disk2』という共有フォルダ―のDLNAが有効になり、NA6005で利用可能になったはずである。
『disk1』から『ベートーヴェン』や『ショスタコーヴィチ』などのいくつかのフォルダーを『disk2』にコピー。
これでNA6005へ音源を供給する体制が整った。今度はNA6005側の設定である。
なんなく通信成功
NA6005のリモコンの『MUSIC SERVER』ボタンを押して(写真1枚目)、さらに方向キー▶を押すと、1行目にルーターの『WN-AC1167DGR3』の名前が表示された(写真2枚目)。2行目には小さくNASである無線LAN ディスクの名前も表示されているので、方向キー▼でそれをメイン表示(写真3枚目)。決定ボタンを押したあと、方向キー▼を何度か押し、『ミュージック』、さらに『フォルダ』を選ぶ(写真4~5枚目)。すると『disk2』の中に保管されている『作曲家名』のフォルダーが表示された。あとは方向キー(▶と▼)と決定キーを押しながら、『ジャンル』『作品名』『演奏者名』のフォルダーへと辿っていき(写真6~8枚目)、無事、曲を再生することができた。
案ずるより産むが易し
なんてことだ。
まったく行き詰まることなく設定作業は終わってしまった。
2人は旧知の仲のようにすぐにつながった。
しかも一部のレビューにあったような、NA6005のファイルの読み込みが遅いということもまったくなかった(ルーターとNA6005の距離が近いということもあるのかもしれない)。
私の購入前の悶々とした悩みはなんだったのでしょう?
タイケ(Carl Taike 1864-1922 ドイツ)の行進曲「旧友(Alte Kameraden)」(1886)。
有名なマーチだが、いざCDを買おうとなると、案外見つからない。
私が聴いているのは、古い録音だが、シュテファン大佐/ドイツ連邦軍司令部軍楽隊の演奏によるもの(1958年録音。フィリップス)。
しかし、これは入手困難状態(事実上廃盤)。
順調に進みすぎてなんだか怖い私。
と、帳尻を合わせるように、新たな、それもけっこう深刻な問題が発生。
それは「あなたはだぁれ?」問題である。