道新の粋な企画
 さて、この2つの定期の前の84年6月に、北海道新聞社などの主催による、ある特別演奏会を札響は行なっている。

 指揮は石井眞木(そのときの表記は石井真木)。
 司会は伊武雅刀と、ぜいたくにもおしりを洗って欲しがっていた戸川純。さらにゲストは井上誠。

 司会にゲスト?

 そうなのである。
 『シンフォニック・ファンタジア」。

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 伊福部昭の交響ファンタジー3曲と「ロンド・イン・ブーレスク」。前年、日比谷公会堂で行なわれた『伊福部昭 SF特撮映画音楽の夕べ』が札幌でも実現したのだ。

 北海道新聞社とそのグループによる主催だが、開催に当たっての企画・制作は勇崎企画。

 伊福部ファンならピンと来ただろうが、伊福部昭夫人の旧姓は勇崎。その勇崎家の人々(関係までは知らない)が運営している会社がプロモートした(当日のプログラムノーツに広告も出稿している)。

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 第1部は東宝特撮映画ハイライトシーン(予告編)メドレー上映と、司会とゲストによるトークタイム。テーマは『ぼくたちは、なぜ、伊福部音楽にこだわるのだろう』。
 で、なぜだったかのか話し合いの結果は覚えてない。

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  大喝采ってわけではなかったのは客層のズレ?
 メドレー上映も魅力的だが、な、な、なんといっても、純然たる伊福部音楽のファンである私のお目当ては4曲の生演奏を聴くこと(伊武雅刀や戸川純見たさに来ている人も多かったのではないかと思われる)。

 石井眞木といえば、まったくもって『第1部』になかなか縁のない私だが、このときは第1部なんてなくてもいいのにと思ったものだ。

 もちろん演奏-いやこの曲が生で響いていること-が、私を興奮と陶酔のブラジャー丼状態にしたのは言うまでもない(ただ、札響の演奏が良くなければ、いくら生演奏だからとはいえ、そうはならない)。

IfukubeCyu 幸せな一夜だった。

 この4曲(SF交響ファンタジー第1~3番と「ロンド・イン・ブーレスク」)の録音は、広上淳一/日本フィルハーモニー交響楽団がある(1995録音。ファイアバード)。

 また、この広上の演奏を含む限定販売BOXには、汐澤安彦指揮による初演時ライヴのディスクも収録されている(はずだ)。

 以上、本日の札響の定期ではなく特別演奏会の感動話を終えることとする。