IMGP1793  往復が超お得なのか、片道が高いのか?
 特急“サロベツ2号”は野生動物をはねてしまって緊急停車&遅延、というトラブルに巻き込まれることもなく、定刻に旭川についたわけだが、私が最初にとった行動は翌日の列車の切符を買うことだった。

 特急の自由席なので、翌日列車に乗る前に買えばいいようなものだが、自販機を見ると4,290円と書いてあってどうも腑に落ちない。というのも、旭川⇔札幌のSきっぷ(特急自由席往復きっぷ)が5,080円なのに、片道が4,290円というのは何かの間違いではあるまいか?
 頭の中がダルマイカのように混乱した私は、わざわざみどりの窓口に行って、翌日の切符を買うことにした。

 やっぱり4,290円だった。
 Sきっぷがいかにお得なのかがわかる。わかるがどうもすっきりしない。

 すっきりしないまま駅直結のイオンに行き、朝食兼昼食を食べることにした。

  北海道限定って?
 1階のフードコートに行くと、ラーメンの神が突如降臨してきた。

 旭川ラーメンの梅光軒がある。
 この店のラーメンは何度か食べたことがある。おいしいラーメンだ。だが、私は旭川ラーメンのちょっと粉っぽい感じの麺に若干の抵抗感がある。

 と、もう1軒別なラーメン店も出店しているのを発見。
 そちらにすることにした。

 醤油ラーメンに小ライスを頼もうと店員さんに聞くと、ライスは置いてないという。
 そのかわり醤油ラーメンに半チャーハンのセットはいかがでしょうと言う。
 ラーメンには白飯派の私だが、それがないとなるといかがも何もない。それを頼んだ。

 お金を払い、出来上がったらブルブルしながらピーピーいう受信機を受け取り、席を確保-といってもまだ11時になるかならないかだからガラガラだが-しに行こうと回れ右したとき、私は自分が頼んだ醤油ラーメン・半チャーハンセットのサンプル写真が貼られているのに気づいた(下の写真の範囲の、そのさらに右側)フレーム外。

 そこには“北海道限定メニュー”と書かれている。

 北海道…限……定………?

 ということは、この店は北海道以外にもあるということか?
 もっといえば、北海道のラーメン店ではないということか?

 ラーメンはおいしかった。チャーハンもおいしかった。

 あとから調べると、このラーメン店は北は北海道から南は広島まで展開しており福島が本社だと知った。

 その名は幸楽苑。
 私が知らなかっただけで、有名な全国チェーンらしい。

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 旭川で福島体験をさせていただいたのだった。

 なお、イオンモール旭川駅前のフードコートにあるこの店は朝の9:00からやっている。
 朝ラーをするにはもってこいと言えるだろう。

  汗だくで洗濯したくなくもなかったが……
 そのあと、買物公園のあたりをあてもなく汗をかきながら歩き回り時間つぶし。
 ちょっぴり刺激的だったのは、この建物ぐらい。

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 支社に行く前にホテルにチェックイン。
 なぜか部屋には電子レンジと洗濯機が備え付けられていた。
 どうやらホテルにリニューアルする前はレオパレスだったらしい。

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 でもおかげさまで翌朝は前の日の夜のうちに買ってあったコンビニ弁当を温めて食べることができた。

 旭川から札幌まではせっかくだから“カムイ”ではなく、北海道新幹線開業前は函館と新青森を結んでいた特急“スーパー白鳥”車両が投入された“ライラック”に乗った。

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 なお、3月のダイヤ改正で“スーパーカムイ”は“カムイ”に名称が変更になった。また、JR北海道ではL特急という呼称を廃止した。

  神秘的な尊厳さを感じるシンフォニー
 吉松隆(Yoshimatsu,Takashi 1953-  東京)の「カムイチカプ交響曲(Kamui-Chikap Symphony)」Op.40(1990)。

 吉松隆の最初の交響曲、つまり交響曲第1番である(現時点で吉松は交響曲を第6番まで書いている)。

 氏のホームページには以下の解説が掲載されている。

 タイトルの〈カムイ・チカプ〉はアイヌ語で〈神(カムイ)の鳥(チカプ)〉を意味する。それは人間の村の守護神であり、高い樹の枝から人間たちの生と死とをじっと見つめている森の最高神でもある。
  何回かの挫折の後、36歳でこの鳥の神の名を付した最初の〈交響曲〉を書こうと決めた時、それはどこか遺書を書く気分に似ていた。生き物がその死の直前に「自らの一生のすべてを走馬灯のように見る」ように、自分の頭の中に堆積している雑多で猥雑な音の記憶を俯瞰し、それをすべて楽譜に書き留めたいと、そう思ったからだろうか。
 そして、鼓動、風の音、鳥たちの歌、森のざわめき、星たちの響き、讃美歌、古びたピアノの音、クラシックや現代の音楽、ロックやジャズ、邦楽や民族音楽…などの音の記憶を、ジグソウ・パズルのように並べ、オーケストラという回路に入力して連画にしてゆく作業が始まった。それは自分という人間の音の記憶であるともに、人類という生物そのものの音の記憶でもあるような気がしていた。
  それゆえにこの交響曲には、五体(五つの楽章)がある。それは、〈創造〉〈保存〉〈破壊〉〈幻惑〉〈解放〉というシヴァ神の舞踏による五つの宇宙の姿とともに、地・水・火・風・空?という仏教における世界観〈五大〉をも模している。

 第1楽章.GROUND 発生し増殖してゆく歪(いびつ)なるもの。
 第2楽章.WATER 古風なる夢を紡ぐ優しきもの。
 第3楽章.FIRE 破壊しながら疾走する凶暴なるもの。
 第4楽章.AIR 死せるものたちを思う静かなるもの。
 第5楽章.RAINBOW 虹と光を空に広げる聖なるもの。

 作曲は1988年春から1990年春にかけて進められたが、第1楽章には19歳から23歳の頃書いていたオーケストラ曲、第3楽章には28歳の時に書いたロック曲などを一部使用したほか、二十代までに書いて破棄したさまざまな自作曲の破片が組み込まれている。また、GROUNDには森の神としてシベリウスの「タピオラ」が、FIREには原始の神としてストラヴィンスキーの「春の祭典」がエコーする。

  初演は、民主音楽協会の委嘱作品として1990年5月26日尾高忠明指揮大阪フィルハーモニー、同年6月2日東京フィルハーモニーにより行われた。op.40。


Yoshimatsu1Fujioka この曲は個人的には吉松隆の交響曲の中で最も好きなもの(ただし第6番はまだ聴いたことがない)。
 力強いところも、繊細なところも、すべてが心を揺さぶる。

 藤岡幸夫/BBCフィルの演奏で。

 1999年録音。シャンドス。

 ほぼ1年ぶりの旭川訪問を終えたが、この日もあと2つ打合せがある。