似顔絵を描いたわけではない?
今回の出張で泊まったのもAPAホテルである。
部屋に入ると、テレビが置いてあるカウンター状のデスクの上には、折り鶴とあのコミック本が置かれていた。
窓から外を見ると、さすがはAPAの街・金沢。すぐ近くのビルの屋上にもAPAの看板が立っている。
コミックと看板を見比べると……この漫画家、似顔絵が下手だな……なんて思ってはいけないと改心した。
これは似顔絵ではないのだ(きっと)。
漫画家が頭の中でストーリーをもとに世間に広く披露するにふさわしいと考えた想像上の姿なのだ。
だいいち、顔の傾け方の角度が違うではないか!
そんな真剣に考える意味がないことを、ちょっぴり真剣に考えてしまった。
もちろん部屋には、中国人が泊まってやらねーぞと騒いでいる本もあった。
もっとも、ホテルはすごく混んでいたようだし、混んでいてもワケのわからない言葉で大声を発している集団がいなくて、こちらはよかった。
漆黒の空に飛び交う漆黒の塊り
夜明け前。
ほんの少しだけ空が明るくなったときに、窓の外を見て驚いた。
無数ともいうべきカラスが飛び回っているのである。こんな暗いうちに飛べるなんて、カラスは鳥目じゃないのか?
だから、最初はコウモリかもしれないと思ったほどだが、大きさはどうみてもカラス。
窓越しにかすかに聞こえる声もカァカァのようだったが。実際は私の頭の中での想像上の鳴き声だったかもしれない。
こいつらはパチスロの看板の上に大集合。
いったいそこに何があるのだろう?
そして空がすっかり明るくなるころには1羽もいなくなった。
不思議かつカフカの世界のような不気味な出来事であった。そしてまた前日の3人組のことを思い出してしまった。
デイヴィス(Peter Maxwell Davies 1934-2016 イギリス)の「時と大鴉(Time and the Raven)」(1995)。
ここで紹介するナクソス盤の帯によると“スコットランドの画家ジョン・ベラミーの絵画からインスピレーションを得た”という管弦楽曲である。
なお raven を英和辞典で調べると、“大がらす”とか“ワタリガラス”という訳が書かれているが、そもそも“鴉”は“からす”と読むのである。
作曲者自身による指揮ロイヤル・フィルの演奏で。
1996年録音。ナクソス(原盤:Collins Classics)
ほんとにそんな気分になれますか?
そんな明るくない私の気持ちを慰めてくれたのは、金沢駅にほど近い仲小路で見かけた居酒屋の看板。
こういう名前の店でお酒を飲んだら、日常のストレスを忘れることができそうだ。
が、常連ばっかりで、居てはいけない場所に入り込んでしまったという別なストレスに襲われたりして。
おぉ、本物の北鉄
金沢駅の地下で、北鉄の駅を初めて見た。
北鉄といえば、おバカな私が子どものころ「鉄道会社を作りその社長になってやろう。会社の名は“北鉄”だ」と考えたのと同じ名前だ。
へぇ~。こんな電車が走ってるんだ。
なんかレトロ……
空気椅子一歩手前
金沢駅の中で、いままで気づかなかったがちょっぴり怖い置物を発見。
気丈な子どもも、気弱な大人も、この顔にはビビる。
郵太郎ねぇ……
むかし(1965年のことだそうだ)、山田太郎という人が、
♪ 僕のアダナを知ってるかい 朝刊太郎と云うんだぜ……
って歌う「新聞少年」って歌が流行ったそうですが、その影響を受けてますかね?
郵太郎氏の股が巧みに隠されているのが残念に思いましたです……
はい。私なら絶対投函しません。