国が介入するほどの事件?
しっかし、中国って国の思考回路というか腹の中ってどうなってんだろう?
もちろん国民のすべてのがそうじゃないだろうが(マスコミが激情している中国人の画像ばかり選んでいるせいもあるだろうし)、火がついたら集団ヒステリー状態になるって感じだ。
しかも民間企業のやることに、政府までが介入して来るとはレベルが低いのか、あるいは過激な連中に迎合しご機嫌をとろうとしているのか……
APAホテルの件である。
1月24日の“YAHOO!ニュース”(出典:朝日新聞デジタル)の記事はこうだ。
アパホテルの利用中止要求 中国政府、国内旅行業者に アパホテルの客室内に南京事件などを否定する本が置かれ、中国で反発が強まっている問題で、中国の国家旅遊局は24日、自国内の旅行業者や宿泊予約サイトに対し、同ホテルの利用中止や広告の撤去を要求したことを明らかにした。国営新華社通信のニュースサイトなどが伝えた。大手予約サイトでは、すでに同ホテルの予約ができなくなっていた。
同局は「日本事務所を通じて、日本側に厳正な申し入れをした」としており、観光客にも同ホテルを利用しないよう呼びかけている。広報担当者は「中国の観光客に対する公然の挑戦であり、旅行業界の基本道徳に反する」と話した。
ホテルを経営するアパグループは「日本には言論の自由が保証されており、一方的な圧力によって主張を撤
回するようなことは許されてはならない」との見解を示しており、本の回収は考えていないとしている。
(北京=延与光貞)
仏教徒は心静かに眠る
これって、“中国の観光客に対する公然の挑戦”なの?
そんな気全然ないと思うけど……
話を都合のいいように膨らませ過ぎじゃない?
この本に書かれてあることが正しいか正しくないかは別として、経営者である元谷氏が自分の著書を客室に置くのは自由。嫌なら黙って利用するのをやめればいいだけの話。
例えば、「ウチは全室禁煙。いやなら他のホテルをお探しください」と言われて、喫煙族に対する公然の挑戦ってことにならないですよね、たぶん。
しかも国までが一緒に声を上げるなんて、国家としてのどんな感性・感度なのかと思ってしまう。
そもそも、客室にある本を真剣に読む人なんてそんなにいるのかね?
ホテルの客室に聖書を置いてあることも多いが、他の宗教を信仰している人がそれで騒ぎを起こしたという話は聞いたことがない。
熱狂的なタイガース・ファンのオヤジが経営する“居酒屋・虎王”に入って、「俺はジャイアンツ・ファンだから壁の旗を下せ」なんていう奴がいるだろうか?
ヤマト運輸に殴りこんだ奴とか、店員に土下座させるとか、そういう困った人たちと同じに見える。
つまり客(消費者)なんだから、何をやってもいいっておごりだ。
また、APAホテルのサイトにサイバー攻撃をするというのも、気に入らないから刺した、みたいな自己チューに匹敵するものがある。
また、この件に関して中国人漫画家の孫向文氏が書いていることは、説得力がある。
多少硬くなってもいいからよく焼きたいのっ!
私はAPAホテルをしばしば利用する。
しばしば利用するが、APAホテルが好きかというと、特に気に入っているわけではない。
宿泊料が安いホテルを探すとAPAになることが多い。それだけだ。
同じ料金で他があったら、そちらのホテルにする可能性が高い。
部屋に置いてあるいくつかの本。そのなかの妙な漫画本は一度読んだ。
読んでやれやれって気になった。
いま問題となっている本のことは知らないが、漫画本にしろ何にしろAPAグループの経営者の成功秘話や経営哲学などの紹介だ。
自己主張が強いのは、私は好きではない。
要らないというのに「美味しいですから」と執拗に温泉まんじゅうを勧める宿のおかみ。
よく焼きたいのに、「もうじゅうぶん焼けてますよ」とまだ真っ赤な牛ロースを勧める焼肉店の巡回女店主。
いやだと言っているのに、私たちと一緒に祈りましょうと声をかけてくる帽子をかぶったおばちゃん。
いずれも苦手だ。あっ、自己主張というのとはちょっと違うか……
だから経営者の姿が前面に出ているAPAホテルは好きではない。
だが、ただ泊まるだけのことにそれがどれだけ支障になるというのかと考えると、私の場合はならない。
だいたいのパターンは、酒を飲んで10時ぐらいに部屋に戻り、朝の8時にチェックアウト。
1泊6000円のAPAと、1泊9800円ののビジネスホテルがあったとしたら、APAを選ぶのが自然な判断というもの。
要するに、たとえ記述内容はどうであれ、国家レベルで文句をつけることじゃないような……と思ったってこと。
繰り返すが、いやなら利用しなければいい。無言の抗議が広がってホテル運営に支障がでたら、そのときはそのときで経営者が対応策を考えることだろう。
ビジネスの成功事例として元谷氏の著書を参考にしようとする人もいるだろうが、でも、そもそも日本国民に広く存在が知れわたっている本ではないはずだ。
なお、今回のAPAホテルの毅然とした態度は立派だと思っている。
メンデルスゾーン(Felix Mendelssohn[-Bartholdy] 1809-47 ドイツ)の「無言歌(Lieder ohne Worte)」(1829-45)。
全8巻48曲からなるピアノ作品集である。
今日はアスケナーゼのピアノによる3曲の録音を(ショパンの「即興曲」とのカップリング)。
収められている3曲は、
第1番ホ長調Op.19-1「甘い思い出(Sweet remembrance)」(1831。第1巻第1曲)
第2番イ短調Op.19-2「後悔(Regrets)」(1832。第1巻第2曲)
第34番ハ長調Op.67-4「紡ぎ歌(Spinnerlied)」(1845。第6巻第4曲)
なお、この3曲のタイトルはいずれもメンデルスゾーンがつけたものではない。
1968年録音。グラモフォン(TOWER RECORDS UNIVERSAL VINTAGE COLLECTION +plus)。
いえ、はじめっからです
ところで、昨年の12月に私は富山のAPAホテルに泊まった。
APAホテルらしくない造りで、どこかのホテルを買収したのだろうと書いた。
その何日か後に若園課長が富山に出張に行った。
彼は現地からこうメールを打ってきた。
いま、富山駅からタクシーに乗ってます。運転手さんに「このAPAホテルは元は何だったんですか?」と聞いてみたら、「できたときからAPAですよ。どうしたんですか?」と素っ気なく言われました。
すまん、若園課長。
私の勝手な思考によるブログ記事を読んだ純粋な若園課長は、私の推察をすっかり信じ込み、富山の街で恥をかいてしまったのだった。
が、ありがとう。
もやもやしていた疑念が解け、すっきりすることができた。
泊まりたくなきゃ利用しけりゃいい。ただそれだけですよね。
わがままもいい加減にしてほしいです。