IfukubeTochigiso  私は老いた事務労働者
 コンビニ弁当のことを書いたばかりで、そしてまた今の私には昼食からコンビニ弁当を排除することは極めて困難だが、それでも月曜日に買った弁当は、代謝が低下した年齢層にある私にとっては無謀な選択だった。

 この日、いつもの398円幕の内を買おうと思ったのだが、その下の棚にあった弁当がなぜか気になった。

 ふだんなら「重いなぁ」と手にしないだろう。
もちろん弁当の重量が手にするには重すぎるのではなく、ボ」リュームがありすぎるという意味である。
 これを選ぼうとしているところを私の主治医が見たら、またこう言うに違いない。「若い肉体労働者じゃないんだからっ!」と。

  油たっぷり、酢ちょっぴり

 その弁当は“チャーハン&タルタルチキン南蛮弁当”である。
 恐るべき組み合わせだ。タタール人が南蛮渡来し中華料理店に攻め込む感じだ。

 でも買ってしまった。
 このとき私はかなり空腹だったんだと思う。選んだのは抗しきれない脳からの指令である。

 食後は血液の中性脂肪と血糖値が急上昇し、乳濁して流れが悪くなったことだろう。
 自覚症状はないが、一応大学卒なのでそのぐらいの仮説をたてることはできるし、仮説が正しいこともうすうす感じている。
 できて感じもしたが、だが食べててしまったあとだからどうしようもない。
 私の席のすぐ近くで仕事をしている女性社員は全然スマートなのに机の上にはカロリミット茶のペットボトルを置いている。それを目にするといっそう罪悪感に襲われる。

  販売エリアの怪
 この弁当もまた、セブンイレブンのサイトを見るとでは首都圏が販売エリアになっている。
 なぜこのような情報になっているのだろう?
 もちろん私は四ツ谷や五反田まで買いにいったわけではない。名古屋で買ったのだ。

 食べたあとの満足感、というか、満腹感は抜群だ。
 ガツンとくる。
 繊細さはなく粗削りだが、迫力とパワーは十分だ。
 や~まだぁのリトミカ@栃木のようだ。

 私は全部を食べきれなくて残したくらいだ(スパゲティを2本)。

 それにしても徹底して余計なものを排除し、若者に迎合するような内容だ。
 つまり衣に油が十分にしみ込んだから揚げにたっぷりとタルタルソースがかかり、主食は油を心ゆくまで吸い込んだチャーハン。そしてケチャップがからみついたスパゲティ……
 容器内では食物繊維が著しく欠乏しており、豊富な油分、糖分は即行で消化管内で吸収されてしまう。
 仕切りのバラン(プラスチック製のシート)を野菜代わりに食べた方がいいだろうのかと迷ったくらいである。

 若者は腹を満たし午後への活力を作りだすが、私の場合は腹を満たし活力になる前に内蔵脂肪になって蓄積してしまう。つまり39歳以上の方はお求めになってはいけない商品だと思う。
 

  激しい曲だからといっても粗いタッチはいただけない
 伊福部昭(Ifukube,Akira  1914-2006 北海道)の「ピアノとオーケストラのための『リトミカ・オスティナータ』('Ritmica Ostinata' per Pianoforte ed Orchestra)」(1961)。
 ↑ この曲名表記は今日紹介するCDに従ったものだが、私としては「ピアノと管絃楽のための『リトミカ・オスティナータ』」の方がしっくりする。古いニンゲンですいません。

 その本日の生け贄、じゃなく、CDは山田令子のピアノ、荻町修指揮栃木県交響楽団による演奏。

 このところ山田は伊福部弾きとしてすっかり定着した、かどうかはわかわらないが、伊福部のスペシャリストのように位置づけられている。

 指揮の荻町修については、前に書いた今井聡同様、私にとってはまったく未知の指揮者。
 ライナーノーツによると、

 ・1990年から栃木県交響楽団の指揮者を務めている
 ・2010年にも山田のソロで「リトミカ」を指揮し、大喝采を浴び、伊福部家ご遺族から支持を得た
 ・氏が吹奏楽指導をした学校はことごとく栃木県代表になった


ということである。

 さてこの演奏だが、同じく山田が弾いた井上道義/東京soのライヴと比べるとさすがにレベルの差を感じる。 
 アマオケというわりにはなかなかの演奏。だが、個々のパートではミスもけっこう聞こえる。
 そしてまた、指揮者の力量によるところが大きいのではないかと思われる。前のめりというか上ずっているというか……。ノリはいいんだけど。
 終盤ではオーケストラは空中分解寸前。まあ、よく崩壊せずに乗り切った。

 山田の演奏も褒められたものではない。
 粗暴な性格を持つ作品であり、山田はパワフルに弾くが、でも粗暴に聴こえるのはいただけない。ミスタッチらしきものも少なくない。
 
 このようにあらためて録音で聴くとアラが目立つが、ステージを目の前にして聴いていた会場のお客さんたちは、スリリングだったろうし、そのパワフルさに鼻血ブーの興奮状態に陥らされただろう。
 拍手がそれを物語っている。

  キャスター留めてます?
 録音にも「あれっ?」と思うところがある。

 曲が始まってすぐ、ピアノは“かぶりつき”で聴いているように目の前に迫るように響く。
 しかし、それがすーっと、まるで後ずさりする雪女のように、あるいは電波状態が悪いラジオ放送のように音が遠のく。私はそのように感じた。

 この引き潮、満ち潮(というのは大げさだが)が何度か起こる。ピアノの位置が安定しないのだ。

 秘技・遠近法だ。
 さまよえるKAWAIだ。

 でも、精神衛生上よろしくない。

 2016年ライヴ録音。ゼール音楽事務所。

 ところで掲載しているジャケット写真は私の操作ミスで90°右に回転してしまったのではない。
 プラケースにはこの向きで入れられているのだ(この状態で左側が冊子の綴じしろ)。 

 反省を踏まえ、チャーハン&チキン南蛮タルタル弁当はもう買わない。
 次回はハンバーグ弁当の挑戦だ!(←反省がたりない)