震えたりはしません
こんな道具を買った。
健康的な美しいフィルム、いやフォルム。
だが、器具に書かれていることに惑わされてはいけない。
これは健康器具ではない。
内腿にはさんでもブルブルしてくれないから筋肉は鍛えられないし、片足で乗ってバランスをとることで体幹を鍛えようとしても、乗った瞬間にミシ、ミシミシ、バッキーンとつぶれてしまうだろう。
Kenkoとは、知るひとぞ知る、泣く子の涙も星のように輝いて写るクロスフィルターなどを製造している光学機器メーカーである。
いまではデジタル一眼レフカメラそのものに、いろいろなフィルター効果をつけることができる機能もついているが、むかし一眼レフを使っていたときには、“カメラ用品ショー”のカタログを見ては、Kenkoが誇る豊富なラインナップのフィルターを全部欲しいと思ったものだ。
そしてこの15センチ四方の荘厳な白い箱は、濃いオレンジ色をしたカラーネガフィルムをスキャンできる優れものなの。
気分がキャンキャンしちゃいそうだ。
よくぞまぁ、こんだけ撮ったものだ
デジカメが登場する前は、写真というものはフィルムに写し込むものだった。
撮影済みのネガフィルムがわが家には、小さめではあるがダンボールに1箱分ある。
それらは現像と同時にプリントもしたものがほとんどだが、長年フエルアルバムにはさんで圧着されたことで写真が台紙の糊で張りついてしまったりしている。
だから今さらながらはがして保管しようと思っても、きれいにはがれてこない。
あるいはアルバムにはさまないでおいた写真は、色褪せたりしている。
だからといってこれらのネガをあらためて印画紙に“焼く”つもりはない。
そんなの、誰も望んでいない郷愁めいた自己満足である。金もいくらかかるかわかったもんじゃない。
かといって、ネガをそのまま捨ててしまうのは忍びない。
今後何か必要に迫られたときのために-何かが起こることは未来永劫ないと断言できるが-JPEGファイルとして保管しておき、整理整頓のためにネガは捨ててしまうことにしたのだ。
よみがえる青春時代?
残っているネガでもっとも古いものは、中学のときの修学旅行の写真のものだった。
近ごろ当時の西野界隈を知る人からコメントをいただいたが、発展著しい西野ではカスタムパルコの全盛期であり、西友進出前で生協やホクレンマーケットが大ショッピングセンターとして膨れ上がる近隣人口の胃袋を満たしていたころ、私は発展著しくなることを夢見ていた中学生だったのだ。
手稲東中学にもまだ校内暴力が荒れ狂っていない時代だ。
そのころはフィルムを現像に出すと、出来上がりはこういうスリーブに入っていた。
山口百恵ちゃんのなんとかわいく、かつ美しいことであろうか!
いまの若いモンはポケットモンスターは知っていても、ポケットカメラ用フィルムがあったなんて知らないことだろう。
いや、当時も知らない人がいた。
修学旅行にポケットカメラを持って来ていた女子の1人が、奥入瀬渓流の売店で何も知らずにふつうの35mmフィルムを買ってしまい、なんとかこじ入れようという努力もむなしく、途方に暮れていたのを私は覚えている。
カラーフィルムを買えなかった
ところで中学の修学旅行では、私はカラーだけではなくモノクロフィルムでも写真を撮った。
なぜなら、学校の決め事を忠実に守って決められた額の小遣いしか持って行かなかったからだ。
おみやげにキセル-父も祖父も、誰もが喜ばなかった-を買ったあとの私は、途中でカラーフィルムを買うお金がなくなり、安いモノクロフィルムしか買えなくなったのだった。
「写真はモノクロにこそ味わいがある」なんていう、こだわりのためでは全然なかった。
そしてまた、現像に出したはいいが、引き取りに行くお金も足りず、一部はそのままにしていた。
数か月経ったとき、同級生がホクレンマーケットのサービスコーナーで店員さんに呼び止められた。
「あなたここに写ってるわよね。現像を頼んだ人が取りに来るの忘れているみたいだから、伝えておいて」
はいはい。すまんことしたね、S川君。
君、ばっちり写ってたもんね。ピースサイン+チーズスマイル(っていうか、唇がタコのようにとんがっていたけど)で。
忘れてたんじゃありません、店員のおばさん。
でも、気を遣った言い方をしてくれてありがとう。
フランセの「少女たちの5つの肖像」を聴きながら、あらためて反省しているところです。
いえ、S川君は少女じゃなかったですけど……
ただ今になって疑問がわいてくる。
ふつうは現像を頼むときは電話番号も申告するはずだ。
でも、自宅に催促の電話はかかって来なかった。
十分な機能。私には
ところで、本格的なフィルムスキャナーはけっこう高い。しかも図体もでかい。
ネガを処分できても、それを入れていた箱以上のスペースを食ってしまうし、先に書いたように見返す当てがないものを本格的にスキャンする意味はあまりない。
そこで、5000円そこそこながらもKenkoという由緒あるメーカー製であるということでこの機械を買ってみたのだが、予想以上になかなかの優れものである。
ネガフィルムもポジフィルムも読み取れる。カラーもモノクロもOK。慣れると次から次へ読み込んでいける。
メーカーでは読み込みソフトはWindows10での動作を保証していないが、10でもきちんと動く(ただしときおり動作が止まり、起動しなおさなければならない)。
さて、取り込み実践編は次回に!
こんな道具を買った。
健康的な美しいフィルム、いやフォルム。
だが、器具に書かれていることに惑わされてはいけない。
これは健康器具ではない。
内腿にはさんでもブルブルしてくれないから筋肉は鍛えられないし、片足で乗ってバランスをとることで体幹を鍛えようとしても、乗った瞬間にミシ、ミシミシ、バッキーンとつぶれてしまうだろう。
Kenkoとは、知るひとぞ知る、泣く子の涙も星のように輝いて写るクロスフィルターなどを製造している光学機器メーカーである。
いまではデジタル一眼レフカメラそのものに、いろいろなフィルター効果をつけることができる機能もついているが、むかし一眼レフを使っていたときには、“カメラ用品ショー”のカタログを見ては、Kenkoが誇る豊富なラインナップのフィルターを全部欲しいと思ったものだ。
そしてこの15センチ四方の荘厳な白い箱は、濃いオレンジ色をしたカラーネガフィルムをスキャンできる優れものなの。
気分がキャンキャンしちゃいそうだ。
よくぞまぁ、こんだけ撮ったものだ
デジカメが登場する前は、写真というものはフィルムに写し込むものだった。
撮影済みのネガフィルムがわが家には、小さめではあるがダンボールに1箱分ある。
それらは現像と同時にプリントもしたものがほとんどだが、長年フエルアルバムにはさんで圧着されたことで写真が台紙の糊で張りついてしまったりしている。
だから今さらながらはがして保管しようと思っても、きれいにはがれてこない。
あるいはアルバムにはさまないでおいた写真は、色褪せたりしている。
だからといってこれらのネガをあらためて印画紙に“焼く”つもりはない。
そんなの、誰も望んでいない郷愁めいた自己満足である。金もいくらかかるかわかったもんじゃない。
かといって、ネガをそのまま捨ててしまうのは忍びない。
今後何か必要に迫られたときのために-何かが起こることは未来永劫ないと断言できるが-JPEGファイルとして保管しておき、整理整頓のためにネガは捨ててしまうことにしたのだ。
よみがえる青春時代?
残っているネガでもっとも古いものは、中学のときの修学旅行の写真のものだった。
近ごろ当時の西野界隈を知る人からコメントをいただいたが、発展著しい西野ではカスタムパルコの全盛期であり、西友進出前で生協やホクレンマーケットが大ショッピングセンターとして膨れ上がる近隣人口の胃袋を満たしていたころ、私は発展著しくなることを夢見ていた中学生だったのだ。
手稲東中学にもまだ校内暴力が荒れ狂っていない時代だ。
そのころはフィルムを現像に出すと、出来上がりはこういうスリーブに入っていた。
山口百恵ちゃんのなんとかわいく、かつ美しいことであろうか!
いまの若いモンはポケットモンスターは知っていても、ポケットカメラ用フィルムがあったなんて知らないことだろう。
いや、当時も知らない人がいた。
修学旅行にポケットカメラを持って来ていた女子の1人が、奥入瀬渓流の売店で何も知らずにふつうの35mmフィルムを買ってしまい、なんとかこじ入れようという努力もむなしく、途方に暮れていたのを私は覚えている。
カラーフィルムを買えなかった
ところで中学の修学旅行では、私はカラーだけではなくモノクロフィルムでも写真を撮った。
なぜなら、学校の決め事を忠実に守って決められた額の小遣いしか持って行かなかったからだ。
おみやげにキセル-父も祖父も、誰もが喜ばなかった-を買ったあとの私は、途中でカラーフィルムを買うお金がなくなり、安いモノクロフィルムしか買えなくなったのだった。
「写真はモノクロにこそ味わいがある」なんていう、こだわりのためでは全然なかった。
そしてまた、現像に出したはいいが、引き取りに行くお金も足りず、一部はそのままにしていた。

「あなたここに写ってるわよね。現像を頼んだ人が取りに来るの忘れているみたいだから、伝えておいて」
はいはい。すまんことしたね、S川君。
君、ばっちり写ってたもんね。ピースサイン+チーズスマイル(っていうか、唇がタコのようにとんがっていたけど)で。
忘れてたんじゃありません、店員のおばさん。
でも、気を遣った言い方をしてくれてありがとう。
フランセの「少女たちの5つの肖像」を聴きながら、あらためて反省しているところです。
いえ、S川君は少女じゃなかったですけど……
ただ今になって疑問がわいてくる。
ふつうは現像を頼むときは電話番号も申告するはずだ。
でも、自宅に催促の電話はかかって来なかった。
十分な機能。私には
ところで、本格的なフィルムスキャナーはけっこう高い。しかも図体もでかい。
ネガを処分できても、それを入れていた箱以上のスペースを食ってしまうし、先に書いたように見返す当てがないものを本格的にスキャンする意味はあまりない。
そこで、5000円そこそこながらもKenkoという由緒あるメーカー製であるということでこの機械を買ってみたのだが、予想以上になかなかの優れものである。
ネガフィルムもポジフィルムも読み取れる。カラーもモノクロもOK。慣れると次から次へ読み込んでいける。
メーカーでは読み込みソフトはWindows10での動作を保証していないが、10でもきちんと動く(ただしときおり動作が止まり、起動しなおさなければならない)。
さて、取り込み実践編は次回に!
南野陽子とか観月ありさのもあります。