IMGP1135  こ、こういう店構えなの?
 夢にまでは見てないが、JR北海道の車内誌の紹介記事を読んだ後、ずっと気になっていた当別のそば屋へついぞ行ってきた。

 その名は“そば切り 高陣”。

 JR当別駅の横にある“ふれあい倉庫当別赤れんが6号”の奥手にある。

 この倉庫、何が触れ合っちゃってるのかというと、地元野菜などの直売をやっているわけで、触るのではなくコミュニケーションが図れるのである。きっと。

 さて、“高陣”であるがこの倉庫の中の一角にあるが、四方を壁で区切られた独立したスペースにはなっていない。
 すべて個室という居酒屋に行ってみたら、隣とはロールブラインド1枚で仕切られているだけみたいな感じで、通路を行き来する人が気になるし、なんとも居心地が良くない。

 倉庫の中央の通路にのれんがかかっており、それが入り口。というか、のれんが下がった開口部。向かいは別店舗。
 高速のパーキングエリアのレストランよりも、良く言えばオープン。はっきり言えば逆に閉塞感をおぼえる。

 これが立ち食いそば屋だとか、あるいは食券を買う店なら納得も行くが、ざるそばで930円という首都圏並み、もしくはそれ以上も取るのだから、まずそこで失敗感のメーターが上がる。

IMGP1134  この虚しさは何?
 店主は今はなき札幌の藤そば(有名だったが、私は行ったことがない)で修業、奥さんは野菜ソムリエ。

 それゆえ、ここはそば屋であり、奥さんが担当するスープカレーの店であり、ついでにピザもある。

 私はざるそばを、妻は野菜スープカレーを頼む。

 妻の野菜スープカレーは980円。
 おすそ分けしてもらった一口の感想は、なかなかおいしく、これならコスパもまあまあだ。

 が、問題は私のざるそば。

 実はざるそばを頼む気はなかった。かしわそばとか天ざる(ただしここには海老天はない)なんかを目標にしていたのだが、ざるそばの値段を見ただけで萎えた(アスパラ天ざるが1580円!)。

 だって、永坂更科の生粉打ちそばよりも高いんですよ!わか杉なら650円で食べられるんですよ!

 回転寿司屋に入ったはいいが、一番安い皿でも540円であるという、逃げ場のないつらさに通じる。

 さて、そのそばだが、コシがあり味もさすが。
 
 が、つゆが薄っぽい。

 漫画「美味しんぼ」の中松警部じゃないが、「そばの強さにツユがついていってねえ。ツユが弱すぎるのよ!」(第2巻「そばツユの深み」)って感じだ(かといって、江戸のおそばのような醤油っぽいつゆが好きなわけではない)。

 それよりも、私と妻が店に入った(というか、店舗スペースに入り込んだ)ときの先客は4名。そのあとに来たのが4名。
 なのに、私が注文した時から店は混乱状態。
 注文は取りに来ないし、頼んだあともなかなか出来上がって来ないし、出来上がったのがどこの誰の注文かわからなくなってあとから来た客のところへ運ばれそうになる危機も(井瀬詩麻子さん、その後お元気ですか?)。

 テーブルも椅子もテキトーなもの。荒涼庵といいとこ勝負。
 通路も狭苦しく、料理が無事運ばれてくるかとハラハラした。
 いくら直売所の一角で営んでいるとはいえ、もう少しなんとかならないか?
 かえって、L字型にカウンター席にしちゃった方がいいかも。

 価格は本場並みに全然安くないわけなのだから(量も私には少ない)、味の良さは認めるものの、値段相応の店づくりが望まれる(口コミを読むと、熱烈なファンもいるが)。

 あと、水を湯のみ茶碗で飲むのは、私、大嫌いである。なぜグラスじゃなく、湯飲みなんだろう?

IMGP1136  勝手なアドバイス
 そばもカレーも美味しいのだから、倉庫内での改装が無理なら、近くできちんとした店を出して引っ越す方がいいと思う。

 店構えが変わると、この価格でも高く感じなくなるかもしれないし……

 文句が多くてすまないが、“わか杉”のときのような、満足感がないままこの倉庫を後にした。

 ようやくここに来られたというのに……

 悲哀感も味わった私は、意味もなく少し浦臼方向に進み、意味もなく、置き忘れられたような“本中小屋(もとなかごや)”駅の写真を撮り(自転車までが孤独を訴えているようだ)、帰って来た。

PoulencBiches サティ(Erik Satie 1866-1925 フランス)の「パラード見世物小屋。Parade)」(1916)。

 ディアギレフ率いるロシア・バレエ団のために書かれた1幕もののバレエのための音楽。台本はJ.コクトー。

 オーケストラにはサイレンやタイプライター、ピストルに発電機、飛行機の爆音も加わる。

 「クラシック音楽作品名辞典」(井上和男編著:三省堂)によると、パリの見世物小屋の旅芸人たちの悲哀を扱ったもので、パラードは芸人が人寄せのために街頭で行うパレードのこと。

 1917年のパリのシャトレ座での初演では、ピカソが舞台装置と衣装を担当した。

 そのときは未来的だとセンセーションを巻き起こしたという。

 ヴァーレク指揮チェコ・フィルの演奏で。

 1985年録音。スプラフォン。

 今日は午前中会議。
 午後は機上の人になる。