IMGP1122  驚くべき自立スピード
 わが家のナツツバキに営巣したキジバト(ヤマバト)。

 2羽のヒナがかえり、あっという間に大きくなり、巣から糞を垂れ流し、ぎこちなく飛行練習をし、庭を散歩するようになった。飛んでは巣に戻りを繰り返し始めたのはほんの1週間ほど前のことだ

 20日の夕方。
 妻が外出先から帰宅すると、2羽が庭で遊んでいたという(←シャレではない)。

 しかし、21日の早朝は、そして日中も、さらに暗くなっても、巣は空っぽのまま。
 妻が見たのが、この双子の最後の姿になったのだった。

PINBALL  ちょいと出かけたのではなく……
 マーラー(Gustav Mahler 1860-1911 オーストリア)の「ふと私は思う,あの子たちはちょっと出かけただけなのだと」のタイトルが頭に浮かぶ。歌曲「亡き子をしのぶ歌(Kindertotenlieder)」(1901,1904)の第4曲である。

 が、この曲は父親が死んでしまった子どものことを歌っているわけで、あのポーポーJr.たちは死んでしまったわけではない(きっと)。
 寒くなって来たので、習性通り南へと飛んで行ったのだろう。
 ナツツバキの茂みの中の巣は空き家になった。

 そしてまた、私は村上春樹の「1973年のピンボール」(講談社文庫)のなかのあるエピソードを思い起こす(この小説とマーラーの「亡き子」は、私の中でほのかに結びつくのだ)。

 “僕”に言わずに、勝手にゴルフ場に遊びに行った双子の女の子、208号と209号のことである。

 ……僕は心配になった。僕と一緒でなければゴルフ・コースに入らないように、と言いきかせてあったからだ。事情を知らないものには夕暮のゴルフ・コースは危い。何時ボールが飛んでくるかもしれないからだ。……

 ……丘を上ったところで双子をみつけた。……


 この双子は、物語の最後にはバスに乗り、“僕”に窓から手を振って去って行った。

IMGP1125 が、こっちの双子は家のひさしに“お印”を残して、最後の最後まで失礼し放題なまま姿を消した。

 ディーリアス(Frederick Delius 1862-1934 イギリス)の「去りゆくつばめ(Late Swallows)」。

 おまえのところのは、ツバメじゃなくてハトだろって?
 そうですよ。
 それが何か?

 弦楽合奏のこの曲は、弦楽四重奏曲第2番(1916)の第3楽章を、弟子のフェンビーが編曲したもの

 この弦楽四重奏曲は1916年に3楽章構成で作曲されたが、翌17年にディーリアスはスケルツォ楽章を追加している。

 デル・マー指揮ボーンマス・シンフォニエッタの演奏を。

 このディーリアス作品集は、ディーリアスのしっとり感を堪能できる隠れた名盤だと私は思っている。

 1977年録音。シャンドス。

   このCD(同一音源)の詳しい情報 【タワレコ】
   Delius: On Hearing the First Cuckoo in Spring, etc / Del Mar

DeliusCookoo

 昨日、22日の朝。

 近くの電線にヤマバトの姿が!

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 “ウチ”のポーポーちゃんJr.かと思いきや、結局わが家の庭に近づくことはなかった。
 きっとよそのお子さん、さしずめ210号ってものだったのだろう。

 この子の姿の上には月がぽっかりと浮かんでいた。
 それを見て、なぜかちょっぴりおセンチになった私である。

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