Under the Greenwood  看板に偽りあり?
 先週の話だが、外に出たついでに“ほ〇〇なんとか”という、つまりは出来立て弁当屋に立ち寄った。

 時刻は10時半すぎ。来るべき昼どきの戦場さながらの混乱などまったく感じられない静かで落ち着いた店内。
 床も洗浄したてで、うっかり八兵衛なら滑って転んでしまいそうだ。

 私はカウンターの上に写真が立てられていた日替わり弁当を頼むことにした。
 それまでカツ丼にする予定だったのに、瞬時にして日替わりに方針を変更したのだ。

 だって、生姜焼きにミックスフライなのだ。ミックスの正体が何かは知らないが、生姜焼きという言葉に私はひどく弱いし、ミックスという言葉も嫌いではない。

 弁当が出来上がり、手渡され、出口に向け右向け右!をしつつ、ちらっと袋の中を見ると、え、えぇ~っ!

 透明のふたごしに見えたのは、どう見ても生姜焼きではなく、かといって出血大サービスの豚塊り肉のあぶり焼きでもなく、文様が縄文的なサバの塩焼きの半身。
 なかなか大きなサイズで、ご飯の上に堂々と横たわっている。サバの塩焼きの半身好きにはたまらない一品だろうが、個人的には絶対選択しないメニューだ。

  クレーム対象になるか?
 でも、なぜ生姜焼きがサバに化けたのだ?何がミックスしたのだ?
 生姜焼きっていうのはサバの半身の生姜焼きで、ミックスフライっていうのは横に置かれた鶏のから揚げのことを、場違いに仲間入りさせましたってことか?

 もう一度カウンターの上の写真を見る。
 と、“月曜日 本日の日替わり”とある。今日は火曜日だ。

 ちっ!

 開店してすぐだったので、札を換えるのを忘れていたらしい。

 けど、そんなことで騒ぎ立て、ぶーたれる私ではない。
 何事もなかったようにそれを受け取り、出口専用の自動ドアへ向かった。

  しゃべられたら困るので監禁?
 出口専用の自動ドアは開かなかった。
 私を帰さない気か?

 いや、これまた開店すぐで(って、もう30分は経ってるんだけど)、単に解錠し忘れてたらしい。

 青魚は体にいいのさ。しかも、サバって漢字で書けば魚へんに青。ヘルシーの極致に違いない。

BerliozFaust そう言い聞かせ、私は正真正銘の本日の日替わりである、サバの塩焼き弁当を物憂げに食べたのだった(もちろん生のメス羊の風味は皆無)。

 ごはんにしみ込んだサバの脂の味がちょっといやだった。
 しくしく……

 でも、500円でこれならコスパは高い!

 「ロビン・フッドと皮なめし工(Robin Hood and the Tanner)」。作曲者不詳(Anonymous)の曲である。

 このような曲を取り上げるなんて(しかも季節はずれだし)、ヤケになっていると思われるかもしれないが、それは誤解だ。
 ただ、行き詰っただけだ(サバティーニがテノールで参加している、C.デイヴィス指揮ベルリオーズの「ファウストの劫罰」も有力候補だったが、廃盤なので断念した)。

 デリック主宰のエスタンピの演奏で。

 この古楽作品集は、ここでも取り上げているので興味があればご覧いただきたい。

 1995年録音。ナクソス。

 ちなみに、この弁当チェーン店の“鮭幕の内弁当”は、う~ん、この値段の割にはなぁ。コスパは低い。
 FANNYの弁当より高いわけだし……