仏蘭西のことはよく知らないものの仏を感じる
モントゥー/ウィーン・フィルによる、ベルリオーズ(Hector Berlioz 1803-69 フランス)の「幻想交響曲(Symphonie fantastique)」Op.14,H.48(1830)。
作品の詳細についてはここいらあたりをご覧いただいても、決してとは言わないまでも少なくとも無駄な骨折りにはならないと自負しているが(自信はない)、今日ご紹介する演奏は古くから名演と言われているもの。
しかし、私はこの歳になるまで、実はこの演奏を聴いたことがなかった。
なぜ、私の人生ってこう回り道をするのだろう。
タワレコのオンラインショップでは、この演奏を次のように紹介している。
名人指揮者と名門オケが秘術を尽くした「幻想」唯一無二の名演!
……フランス人ながら、ベートーヴェンから強い影響を受け、革新的な作品を書いたベルリオーズの音楽は、モントゥーの芸風に最も相応しいものでした。
1958年にステレオ録音された『幻想』は彼の実に5度に渡るセッション録音中の4度目にあたります。ウィーン・フィルにとっては初の『幻想』録音でした。第1楽章冒頭のオーボエの一節から、奏者の絶妙な個人技に惹きこまれます。弦楽器群のシルクのような美しさと味わい深い歌、両翼配置による掛け合いの妙、柔らかく分厚い金管が高揚して輝きを放つ迫力など、名人指揮者と名門オケの驚くべき秘術が随所で披露されています。終楽章も強弱、緩急、音色対照、アクセント、特殊奏法など、様々な要素が有機的に結び付き生々しい迫力を生んでいます。
……録音は、1960年以前のものとはいえ、鮮明です。当時のDECCAの録音技術は驚くべきであり、今回の復刻ではあらたにアナログマスターから、ハイビット・ハイサンプリングでデジタル化しておりますので、これまでより鮮明できめ細やかな音質を再現することができました。蘇った音質にも注目ください。
前段を省略してしまったが、“最も相応しい”理由の1つとして、モントゥーが“生粋のパリジャンだった”ことがあげられる。じゃあパリジャンの指揮者ならみんなこうできるのかというと、決してそうなるものではない。おもしろいものですね……
この演奏を聴いていると、まさにフランス人気質のような雰囲気が漂ってくる。
輝かしくて激烈で麗しい。ときに暴力的でときに優しさに満ちる。
ベルリオーズの躁鬱的気質がみごとに表現されており、この異端的な標題音楽の本質を的確に表現してくれているように思える。
第1楽章の提示部の反復なし。
第2楽章のコルネット助奏なし。舞踏会の優雅な雰囲気が香り立つ。
第4楽章の反復なし。最後のファンファーレは、いかにも処刑が終わった合図のように響く。
第5楽章の鐘の音は、私にとってはほぼ理想的なもの。札響が所有しているような、「幻想」専用の鐘だろうか?だが、低い方の鐘のピッチがやや低い方にずれている(狂っている)。とはいえ、そういう鐘ならピッチの調整のしようはないんだろうけど。
また、鐘を打つタイミングも何度となく遅れ気味になる(もっとひどくズレた演奏も少なからず経験しているので、このことを責める気は全然ない)。
1958年録音だが、タワレコのコメントにもあるように、音は実に鮮明で色あせていない。
昔のステレオ録音でしばしば感じる、楽器の不自然な強調も多少あるが、耳につくほどではない。
デッカ(TOWER RECORDS UNIVERSAL VINTAGE COLLECTION +plus)。
トッピングしたらいけるかも!でも怖くてできなかった
先日“世界の山ちゃん”に行った。
火曜日のことだ。
とりたてて手羽先を食べたいわけではなかったが、火曜日だったので夢をかなえるために行ったのである。
そう。火曜日は限定で“まさかのカレーライス”が食べられる曜日なのである。
ちょこっと盛りを頼んだが、けっこうライスはぎゅうぎゅうに盛られていてけっこうなボリューム。
が、おや写真とちょっと違いませんか?ってことに気づいた。
ほとんど具が入っていないのである。
エッエーッ!?
看板に偽りあり?
いや、よく見るとメニューには“店舗によって具材は変わります”と書かれている。
どうやらこの店舗では、具材を変えたようだ。というか、ほとんど入れない決断をしたようだ。
まあいい。
一口食べている。
「おぉ、口に広がるこのスパイシーさ!」ということは一切なく、刺激がなく甘ったるいカレーだった。
具材は店舗によって変わることをしぶしぶ納得した私だったが、ルーの方はどうなんだろう?
これも店舗によって違うのだろうか?そうあって欲しいような気がする。少なくとも私が口にしたカレーは3袋198円で売られている特売レトルトカレーと大差ない。味も見た目も。
唯一の救いはお子様には向いているに違いないということだ。
焼き鳥をトッピングするとおいしいと言われる(というか、実際うまい)“福よし”の鶏だしそば(いまや独立したメニューとして焼き鳥が最初からトッピングされている“もつそば”がある。以前は、“鶏だしそば”と鶏串(元祖美唄のもつ)を頼み、客が串からはずしてそばに載せた)と同じように、コショウが効いた手羽先をカレーにトッピングすればスパイシーになるような気もしたが、カレーにまみれた手羽先を衣服が無傷なままで済むようにそのあとに食べる自信がちっともなかったので、そういう試みはやめた。
名古屋に来てからというもの、あのカレー、“まさか”と名付けられたカレーを、口にするのをずっと楽しみにしてきた。
しかし結末は悲しいものとなった。
こちらが「まさか!」と叫びたくなるように、自分が至福の表情を浮かべる光景は幻に終わったのだった。
少なくとも、あの店舗ではもうカレーは頼まないことにしよう。
いつだったか、ショウガの産地の農家の話だと思うが、あらゆる料理にショウガを使っているのをテレビでやっていた。
カレーにもふんだんにショウガを入れていた。
先日私もカレーにおろしショウガをかけて、混ぜ、口に入れてみた。
なかなかイケた。あの辛みが、またカレーにマッチした。
夏バテ防止にも良いに違いない。