太陽の黒点じゃないっす
 あれから1週間経った。


 あれってどれだ?


 コバエがホイホイと誘い込まれる仕様のドーム型トラップ。それを観葉植物の鉢の間、正確に記すとGW中の水不足ですっかり葉を落としてしまい、私の期待に反してその後も新芽が息吹いてこないレモンスーカリと、けっこうな乾燥に耐えて元気を失っていないが、かといって成長著しい兆候も見せないオリーブの間に置いてから1週間が経ったのである。


 遠目からは何の変化もない。
 中の黄色いスポンジが、相変わらず黄色いままだ。

 効果が持続するのは1か月というから、あと3週間で逆にコバエたちの憩いの場になってしまうかもしれない。

 そんなことを思いながら、赤いふたにあるコバエ入場用の穴から中をのぞいてみると、な、な、なんと、コバエが横たわっているではないか!たった、たった、たった1匹であるが、昼寝ではなく、スポンジの上でお亡くなりになっていたのである。


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 1匹でも私はうれしい。
 喜びのあまり不整脈になりそうなくらいだった。


 こいつは目にもまぶしいレモン色の、上質なふとんのように柔らかい、そして夜の蝶が放つような妖艶な香りに引き寄せられ、自主的に喜んで中に入り、しまったと思ったが時すでに遅しで、命を落としたのだ。
 コバホイを設置した本来の目的が達成できたし、効果も確認できたわけだ。


 たくさん入っていたらそりゃうれしいかもしれないが、反面、そんなにたくさんのコバエがあたりにいたとするとそれまたけっこう気持ち悪いものがある。


BerliozOp15 それにコバホイを置いてすぐのときに、そんなの知らんもんねぇ~とばかり飛んだり散歩していた奴らを、空中作戦(スプレー殺虫剤)、地上作戦(オルトラン粒剤)、しらみつぶし作戦(手で叩き潰す)という陸海空ならぬ化学・物理両面の作戦を繰り広げたのだ。

 そうしたなか生き残った最後の1匹がコバホイに入ったと思えば、捕獲数1匹でも納得がゆく。


 私は、うそっぽい悲しみに包まれたあと、喜びを派手過ぎなくらい発散する音楽で、こいつを弔うことにする。


  この曲を2回も録っているドンディーヌに感謝
 ベルリオーズ(Hector Berlioz 1803-69 フランス)の「葬送と勝利の大交響曲(Grande symphonie funebre et triomphale)」Op.15,H.80(1840)。

 作品についてはこちらの記事をご覧いただきたいが、吹奏楽のための作品で、弦楽と合唱を任意で加えることができるようになっている(合唱の詞はA.ドシャン)。


BerliozLombard ドンディーヌ指揮パリ警視庁音楽隊の演奏を。吹奏楽のみの編成による演奏である。


 1976年録音。カリオペ。ディスクは廃盤。


 ドンディーヌはこの録音の18年前にも同じくパリ警視庁音楽隊とこの曲を録音しているが(apex。原盤:エラート)、そちらの演奏は合唱が加わっている(合唱はコラール・ポピュレール・ド・パリ。


 この曲、大編成吹奏楽曲ということで演奏される機会もないようだし、録音も少なくので聴く機会もあまりないが、日本楽譜出版社からスコアが出ているのは驚きであり、またベルリオーズ・ファンとしてはうれしいことだ。