Virture and Vice  信じてなかったわけじゃないんです
 先週、人間ドックの結果が郵送で送られてきた。

 ドックを受信した日の午後に、すでに医者からは丁寧な説明があり、心配するような異常はなかったことは伝えられていたが、書面は一切渡されず口頭のみ。
 「あなたには異常がなかったですよ」というのは、いわば口約束。
 やはり結果が詳細に記された紙が来ないとちょっと心配である。

 しかし届いた結果表の内容とあのときの医師の説明との間に差異はなかった。

 つまり、あのとき言った言わないというような、たとえば「センセ、膵臓には異常がないっていったじゃないですか」「そんなこと言った覚えがないなぁ。あなたの聞き間違いじゃないの?」とか、「この胃の入り口の盛り上がりは年齢による筋肉の緩みで心配ないといったじゃないですか?」「そんな話は知らないな。これはどう見ても再検査だな」みたいな、後味の悪いトラブルが起こりうるというのは杞憂に終わった。

 ごめんなさい。ちょっと、ほんとにちょっとだけだけど、あなたを信じきれなかった私がいけなかったの。

  なんだかムムムな内容?
 ゼンフル(Ludwig Senfl 1486頃-1543 スイス)の「彼が彼女に何を約束したか私は知らない(Ich weiss nit, was er ihr verhiess)」。

 ゼンフルはルネサンス期のドイツ音楽の最大の作曲家とされる人物で、イザークに師事した。
 ミサ曲やモテット、リートを残しており、最近もこちらのブログで彼のリート作品を取り上げたが、「彼が彼女に何を約束したか私は知らない(彼は彼女に何を約束したのだろう)」もゼンフルの作品としては比較的よく知られているリートである。

 ここで紹介するCDのライナーノーツに書かれている歌詞の対訳(英語)は次の通り。

 I do not know what he promised her,
 as so many times before,
 so that she unlocked the door
 and a little bit more
 as so many times before.
 Heigh-ho,heigh-ho!
 (The list of aphrodisiac herbs continues,as before)
 Heigh-ho,heigh-ho!
 She wants to become my lover.

 ベルガー/アンサンブル・ヴィラネッラの演奏で。

 1994年録音。ナクソス。


 あら、いやだ。
 このタイトルったら……
 私は彼の彼女じゃないっていうのに……

  腹八分目のために……
 昨日の昼はFANNYに行った。

 いつも弁当を頼むので、たまには違ったものをとも考えたが、やっぱり弁当にした。
 しかしFANNY弁当はやめて、おかずの構成は同じながらご飯の量が少なく、容器も一回り小さなヘルシー弁当にした。


 ドックの結果に喜んでいるようでいて、実は落ちていない血糖値やヘモグロビンA1cの値が気になるので、2年前の初心に戻って炭水化物の食べ過ぎに注意しようと思ったからである。

 この日は池中さんと2人で行ったのだが、4人掛けのテーブルに案内され、並んで座るように言われた。
 最初から相席前提であるが、こういうのって名曲喫茶でスピーカーに向かって座るような感じだ。
 その直後におじさんとベテランっぽいOLのペアが向かいに座った。

 これがOL2人連れだったら、フィーリング・カップルのように(古くてすまない)趣味はなぁにとか将来子供は何人欲しいのかとか質問するのがマナーだが、私には職場の女性と2人で食事に来るなんて発想はまったくないのでよくわからないが、とにかくそういう2人だったので気を遣わずに済んだ。

 で、そんなことはどうでもいいのだが、私たちにヘルシー弁当が運ばれて来たすぐあとに、向かいにも料理が運ばれてきた。
 おじさん(言っておくが私より若い)がFANNY弁当でOLがヘルシー弁当だった。

 自分のヘルシー弁当を見て、あぁなんて少ないんだろうと内心嘆いていたのに、それをあざ笑うかのように向かいは堂々たるFANNY弁当。

 失敗したと思った。私も素直にFANNY弁当にすればよかった。

 が、食べ終えるとけっこうな充足感。
 やっぱりFANNY弁当なら食べ過ぎなのだ。私の年齢なら。
 そのあと、すごく正しい選択をした自分に満足した。