こぼれたタネを拾い集めましょう 
 シューマン(Robert Alexander Schumann 1810-56 ドイツ)のピアノ小品集である「色とりどりの小品(Bunte Blatter)」Op.99(1836-49)。

 出来上がるのに10年以上の時間が費やされているのにはワケがある。

 日々考えて完成まで13年間苦しみ続けたわけではない。

 実はこの期間にシューマンが作曲したものの、没にした曲を集めたものだからである。
 なんとなく(ってことはないか)書いた曲もあれば、ほかの曲集のために作曲したものの結局は使わなかったものもこの小品集に拾われている。

 次の14曲からなる。

 1-3. 3つの小品(3 Stucklein)
 4-8. 5つのアルバム(5 Albumblatter)
   9. ノヴェレッテ(Novellette)
 10. 間奏曲(Praludium)
 11. 行進曲(Marsch)
 12. 夕べの音楽(Abendmusik)
 13. スケルツォ(Scherzo)
 14. 速い行進曲(Geschwindmarsch)

 シューマンがそのまま捨てるには惜しいと思った曲たちだけあって、どれもまさに“捨てがたい”魅力を持っている。

  こちらも色とりどり
 伊勢駅から伊勢神宮の外宮(げくう)へ通じる参道。

 この参道に名前とは正反対の外観、つまり全然若々しくない歴史の重みを感じさせる、というか言ってしまえば単にぼろぼろの建物がある。

 伊勢神宮といえばパワースポットである。
 パワースポットといえば、神秘的な、あるいは怪奇的な現象が起こることがあるといわれる。

 例えば、そこにある石碑を撮ってみたら緑色に輝いていたとか、お地蔵さんの背後に赤く光るものが写っていたとかいう現象である。

 1か月ほど前に浜松餃子の店を紹介したが、その1枚目の写真の建物の屋根も何か神秘的である。
 単に撮影に使った携帯電話の調子が悪かった、もしくは光の加減による異常だが、見る人によっては「ここはパワースポットに違いない」と主張するのかもしれない。まっ、餃子はスタミナがありそうだから間違いじゃないかもしれないけど……

 そしてこの“若草堂”という食堂のショーケースを目にしたとき、神秘を超越した怪奇的見本に私はしばし見入ってしまった。

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 あなたはこれが日常的と言えるだろうか?

 拡大してみよう。

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 うなぎ丼の安さに目が奪われる。……って話ではなくて、まるで太古の時代から置かれているような高貴ともいえるオーラが放たれている。

 見よ、このキャベツの色を!(まさかキャベツではなく亀ではあるまい)

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 野菜炒めなのか、それ以前に店の人はこれが料理見本として効果的と思っているのかかなり理解に苦しむところであるが(食べすぎたあとの……って様相ですらある)、現代にはない色彩美であることは確かだ。

 科学では説明できない恐るべきパワーでこのようになったとしか考えられない。
 乱雑なようでいて、実はやっぱり整然としていない。
 って、バカなこと書いてすいません。長年放置されているだけです、間違いなく。
 
 でも、なぜ蓋だけが置かれてるんだ?あっ、丼や椀を置くと、肝心のおかずが見えにくくなるからか……

  早朝からツルツルできるらしい
 実はここ、廃業した店だろうって?

 そう思うあなたは正常な感性の持ち主だ。
 もし営業している店なら、かえって客を遠のかせるようなサンプルを飾ったりしないだろうから。

 しかし驚くべきことに、この日もちゃんと営業していた、と思う。営業中って札が出ていたから。
 採算が見込めないと旭川西武が閉店を決めたというのに、この店は営業し続けているのだ。

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 この店、メインメニューは#を、じゃなくて、伊勢うどんらしい。

 で、食べログなんかを見るとけっこう知られているらしい。
 店の壁にはどこどこのテレビ取材が来たとか書いた張り紙も。
 ショーケースの奥の壁には“優良施設”と認定された証も置かれている。

 やっぱり秘めたるパワーをもった恐るべき店なのかもしれぬ。

 そしてまた、6:30開店という早朝から伊勢参りを始める人にとってはありがたい店なのだ。きっと。

 ところでシューマンの曲についてはビレットの演奏で。

 1983年録音。IBA。

SchumannBiretBox