Glass3  やぁ、穴子君!
 私があなごの押し寿司という食べ物を知ったのは、西友西野店がオープンしてからのことだ。

 テナントとして入っていた“ひかり寿司”で“あなごのバッテラ”として売っていたのだが、初めて食べたときにはなんと美味しいものなのだろうと舌が穴子のようにのたうちまわるかと思ったほどだ。
 同時に、サザエさんに出ている穴子君の正体(というか味)を知ってしまったのだった。


 “ひかり寿司”の店舗の方には行ったことがなかった。
 というよりも、家族で寿司屋に行ったことがなかった。

 というのも、父は酢が嫌いだったし、母は刺身が苦手だったからだ。それに加えて寿司は高い。
 このように好条件が重なって、わが家では家族そろって寿司を食べに行くという家計の実態にそぐわない行為に走らなくてすんだわけである。


  子の食は親の影響大
 私が刺身が好きではないのも、ひとえに子供のころから刺身を食べる習慣がなかったからだ。
 あなごの押し寿司を知る前にも、私は生寿司を食べてみたいと思わなかったし、実際お新香巻で完璧に満足していた。

 余談だが北海道でお新香巻といえば奈良漬を巻いたものが一般的である。
 大人になってから沢庵を巻いたお新香巻を食べたときには、なんて美味しいんだろうと思った。子供にはいいが、大人には奈良漬の甘さはちょいとくどい。


 なお、西友西野店はもうとっくにないし(西友西町店へと発展的閉店をした)、ひかり寿司本体もあとかたもなくない。

 グラス(Philip Glass 1937-  アメリカ)の「(The Light)」(1987)。22分ほどのオーケストラ作品。

GlassLight これをどうとらえたらいいのだろう。私は。
 グラスらしい音の進行はあるが(彼のヴァイオリン協奏曲を嫌でも想起させる)、ミニマルの影はない。が、彼からミニマル要素をとってしまったら失礼ながら骨抜きになってしまう。

 しかしこの曲は骨抜き作品には思えない。ということは、ミニマルなのかしらん?いや、どうかな……
 でも聴いていて、すっごく心地良いのは間違いない。

 CDの解説にはいろいろ書かれているが、その写しを載せておくので各自自己責任で訳して読んでいただきたい。

 D.R.デイヴィス指揮ウィーン放送交響楽団の録音があったが廃盤となってしまった。
 1996年録音。ノンサッチ。

  駅弁って高いですよね……
 先日、朝の列車で金沢から名古屋に戻るとき、駅の売店に“あなごの押し寿司”が売られていた。
 しかし1000円ほどと決してお安くない。

 しかも箱の大きさからいって、そうたくさん入っているようでもなさそうだ。中身が確認できるサンプルがあればいいのだが、そんなことをしなくても売れるのか、厚いベールに包まれた重量感のある売り物しか置かれていない。


 かなり迷った。相当悩んだ。
 今夜の食事はあなご寿司、という素敵な考えと、1000円も出して失敗したと打ちひしがれる自分の姿が交互に頭に浮かんだ。

 そして買うのをやめた。


 帰ってきてから近くのスーパーに買い物に行った。
 もやしとニラと豚肉(いちばん安かったこま切れ)を買った。
 これでおわかりのように、この日の夕食は湯豆腐にしようと思ったのではなく、野菜炒めにしようと考えたのだ。

 そして、レジに向かい途中総菜売り場をのぞくと、なんということでしょう!あなごの押し寿司が置いてあるではないか!それも1パックだけ残っている。

 私は本能的に、シュワッとそのパックを瞬時に奪いかごに入れた。
 5貫で298円。お安い。
 
 夜に食べたそれは実に満足のいくお味だった。
 駅弁のパッケージにはご飯の中にかんぴょうを入れていると書いていたが、こちらは海苔。
 かんぴょうよりも海苔の方が、個人的にはうれしい。


 多少分量は違うだろうが、駅弁とスーパーのパックとどうしてこんなに値段に違いがあるのか?


 モノが違うって?


 それはそうだろう。
 けど、あとからネットで口コミをみると、必ずしも駅弁の方が大好評ってことでもなかった。
 穴子君には悪いけど、あぁ、あのとき駅で買わないでよかったぁ。