2016021006190000 (2)  浜松と言えば……
 先日浜松に行って来た。
 取引先に着任のあいさつに伺うためである。

 午前中に出発し、ヒルイチにその会社を訪問することになっていた。
 ということは、浜松で昼食ということになる。

 私は悩んだ。

 というのも、その翌日は札幌から来客があり、すでに昼はひまつぶし、じゃなくて、ひつまぶしを食べることになっていたからである。これは動かしがたい綿密かつがんじがらめに組まれた予定であり、私の一存では変更はできない。する勇気もない(周囲に困惑され、ひんしゅくを買い、挙げ句の果てに嫌われるのは間違いないから)。

 浜松といえば、たぶんうなぎである。

 ここでうな重を食べると、翌日がひつまぶしであるから、幼稚園児が考えたとしても2日続けてうなぎを食べてしまいましたって結論に至るしかない。

2016020912370000 (2) これは危険だ。

 というのも、大阪にいたときに昼に2日続けてうな重を食べ、3日目の朝はひざ裏に激痛が走り、立ち上がるのもやっとで救急搬送された経験が私にはあるからだ。

 その激痛の原因はわからずじまいだったが、私がうすうす思うには、そしてそのときの医者も何となくピンときたのは、痛風発作じゃなかったかということである。

 それを思い起こしながら、不安と期待が入り混じる中、伏草(ふせくさ)課長が運転する車は浜松に向けて走り始めた。池中さんも一緒だ。

  へぇ、餃子も有名なんですか……
 最初の信号待ちのときに伏草課長が軽く振り向きながら、後部座席で片田舎から都会に出てきた老婆のようにかしこまって座っている私に言う。

 「今日の昼はギョーザにしようと思うんです。浜松餃子、有名なんですよ!」

 ハマ、マツギョウザ?
 意表を突く展開だ。
 私は聞きかえした?
 「浜美枝が仰天こえたあげく挫折したのか?」

 ってのはうそで、浜松餃子っていうのがあるの?と尋ねた。

 「はい。美味しいですよ」と、伏草課長は浜松餃子大使のように答えてくれた。

 でも、あぁ、よかった。ちょっぴり残念だけどよかったぁ。

 その店は築何十年かわからないほど、はっきり言ってボロ家だった。申し訳ないが。しかも写真の写り方も変だ。何かのパワーが働いたかのようなムラのある画像になっている。

 しかし、入口のイメージとは打って変わって、なかはけっこう広い。
 中央にコの字型のカウンターがあり、その両脇にも席がある。30名以上は収容できそうだ。
 その広い店内が寂しげかというと、否否、酸欠になりそうなくらいあふれんばかりの客。建物が高気密性だったらホントに酸欠になるところだ。うまくできている。しかも、店の辺りは閑静でほとんど人通りもない。この中だけが別世界だ。

 運良く私たちはすぐに席に着くことができたが、そのあとも続々と客がやってきてたいへんな状態。

2016021006190000 (3) 浜松餃子も、例えば札幌ラーメンのように、あるいは十勝清水の牛玉ステーキ丼のように、店によって味が違うらしい(当たり前か……)。

 そして浜松餃子が一般の餃子とどう違うかはよくわからないが、伏草課長がいうにはドラキュラも食べられるようにニンニクが入っていないので臭わないし、あっさりしているのでけっこう数が食べられるということだった。

 私は中皿を頼んだのだが、15個の餃子がのった皿が運ばれてきたときには思わず後ずさりしかけたものの(幸か不幸か席が狭くて「ずされ」なかった)、おやおや完食してしまった。確かに重くない。ライトな美味しさだ。

 この店(少なくとも私が見たサイトでは)、ランキングで第4位となっている。
 なるほど、混んでいて当たり前なのだ。
 そして伏草課長は私に最大限のおもてなしをしてくれたというわけだ。
 ありがとう。
 今度はラーメン(これまた安い!)も食べてみましょうね。だって、カウンターの端っこでビールを飲みながら2人のおじいさんが食べていたラーメンも美味しそうだったんですもの。いえいえ、あの人たちのようにおみやげに餃子を持ち帰るなんてことはしませんから……

 そのあと取引先を訪問したが、「おやっ、昼は餃子を食べてきましたね?」と気づかれることもなかった。臭わないというのはホントのようだ。単に気づいても指摘しなかっただけかもしれないが……

BachSchiff  こちらも15
 バッハ(Johann Sebastian Bach 1685-1750 ドイツ)の「2声のインヴェンション(Inventione a 2)」BWV.772-801(1723)。

 長男ヴィルヘルム・フリーデマンのために作られた15曲からなるクラヴィア練習曲である。


 この曲は好きだ。この際はっきり言っておく!


 練習曲とは思えない複雑な音の絡み合いと印象的なメロディー。かといって、バッハとしては仰々しくないライトな感触が魅力だ。過去、コープマン盤レオンハルト盤を取り上げたときに楽曲についても詳しく書いているので、餃子が焼きあがるまでの間にでもそちらをご覧いただければと思う。


 この曲はぜひともチェンバロ演奏で聴きたいところだが、たまにはピアノによるものを血迷って紹介しておこう。
 
 って、私はピアノ演奏による録音はシフのしか持ってないんだけど。


 シフのディスクは1977年録音。DENON。


 ちなみに珍宝楼(=美珍楼)の焼き餃子は1皿6個である(と記憶している)。でも、これがいたってふつうの個数だろう。