書き漏らしたのが耳だけだったとは、なかなかすごい
名古屋から千歳へ向かう飛行機の中。
この上ないやかましい群衆の中から救い出された私は、そのあとはゆっくりと過ごすことができた。
本も読んだ。
といっても、電子書籍だ。
半年ほどこれを使って思うに、確かに電子書籍端末は軽いが、なんだか本を読んでる!って気にならない。
ちゃんと紙を束ねたものを手にして読む方がいいなぁと思うのは、年齢的なものか?
今回読んだのは有名な「耳無芳一の話」。小泉八雲(=Lafcadio Hearn)の作品である。
ダウンロードしたものは戸川明三訳の青空文庫。無料だ。
「耳無芳一の話」をちゃんと読むのは、恥ずかしながら初めてである。
ストーリーは、琵琶法師の芳一を壇ノ浦の戦いで滅亡した平家の霊から守るために、坊さんが彼の全身にお経を書く。ところが、耳にだけ書くのを忘れる。その結果、霊からは芳一の耳だけが見え、それをもぎ取ってしまう。
ただそのオチは、“その後耳無芳一と呼ばれるようになった”というものだ。ユーモアのある終わり方と取れなくもない
琵琶じゃなくビウエラ
で、琵琶法師とは直接関係ないし、間接的にも関係ないのだが、なんとなくビウエラのための曲を。
ビウエラはルネサンス期にイベリア半島などで使われたギターのような形をした楽器。
ミラン(Luis de Miran 1500頃-61以後 スペイン)の「エル・マエストロ(巨匠)と題されたビウエラ曲集(Libro de musica de vihuela de mano intitulado El maestro)」(1535-36出版)。
この曲集はスペイン最初のビウエラ曲集で、この楽器の奏法の教本となっている。
50のビウエラ曲(ファンタジア40曲、パヴァーヌ6曲、ティエント4曲)と、22のビウエラ伴奏独唱曲から構成される。
今日紹介するナクソス盤(エル・マエストロ第1巻)の帯には次のように書かれている。
ルイス・ミラン(1500頃-1561頃 ルイス・デ・ミランとも)は、スペイン・ルネサンス期のビウエラ奏者、作曲家です。その生涯については不確かなことが多く、バレンシアで活躍し、一時期はポルトガルに行っていたであろうと推測されるのがせいぜいです。その理由の一つに、当時彼がいたバレンシアの宮廷には、少なくとも同じ名前の男性が3人存在したため、混乱をきたしているようです。しかし、彼は当時用いられていたビウエラ・ダ・マーノのための音楽を出版した最初の人物であり、また音楽にテンポを指定した最初の作曲家の一人ともされています。この「エル・マエストロ」は1536年にバレンシアで出版された史上初のビウエラ曲集で、恐らく学習者のために書かれたとされています。なぜなら、曲が段階を追って並べられ、最初は易しく、曲が進むに従って難しくなっていくという形式が取られ、その中にはポリフォニーの練習や、超絶技巧のパッセージなども組み込まれています。NAXOSでは、この「エル・マエストロ」を最初から曲順通りに録音していきます。実際には初心者にはとても手がでないと思えるこれらの典雅な作品たち、ぜひ楽しんでみてください。
収録作品はファンタジアの第1番から第22番までと、パヴァーヌの第1番から第6番。
軽やかで気持ちがプチ弾けるような曲から、ちょっとおセンチになるような哀愁ある作品まで、変化に富んださまざまな表情を持った曲が耳を楽しませてくれる。
ビウエラを演奏しているのはエスコバル。
2014年録音。ナクソス。
千歳に着いた私は、この日は帯広に戻らず自宅へ。
翌土曜日の動きについてはまた明日。
その後も見事な琵琶と歌を披露し続けたようですので、ちゃんと聞こえていたみたいですよ。