20160114Kouryouan  なんと2店舗展開だった。
 隠していたわけではないが、実は荒涼庵には姉妹店がある。
 その名も“ビストロKouryou”という。世間に向かって喧嘩を売るような大胆な名前である。

 なぜ喧嘩を売るような大胆さなのかというと、私も何度か受動的に利用したことがあるが、確かにステーキやポタージュを出すが、どっこい十勝名物・豚丼もある。そういう店だからだ。

 そのくせ、ストラヴィンスキーの「プルチネッラ」がBGMで流れていたりもする(店のスタッフが選曲しているわけではないと言い切れるが)。
 
 Kouryouの方が姉、荒涼庵が妹にあたる。まっ、どっちでもいいんだけど。


 そのKouryouが閉店したという。理由はわからないが、文字通り店を閉めたのである。
 が、荒涼庵は営業を続けている。ということは、経営難で閉店ということではないようだ。


 そしてビストロKouryouの閉鎖によって、荒涼庵は陸の孤島のように世間ずれしたまま安穏とし続けることが許されなくなった。
 Kouryouで働いていたコックがこの店に加わったのだ。

  これからはおサレな洋食メニューに???
 どうやらバイキングが100円上がったのはそのためらしい。

 風のうわさによると、洋食を(たぶん)得意とするコックが来て、今まで以上に(以下になったらこっちも閉店しなきゃならないことになるだろう)バイキングのおかずを充実させた(もしくはさせるべく取組中)。だから値上げは当然であるということらしい。人件費も上がるわけだし。


 さらにそのコックの提案か、あるいはもともと荒涼庵にいたおやじかおばちゃんのどちらかが気づいてしまったのかわからないが「毎日黒板にメニューを書くのはめんどくさい。いっそのこと“メニュー豊富”とだけしときゃいいだろう」と、楽すること、いや、実に合理的な行動に出たわけである。


 つまり、日付だけ変えればコトが足りる。


 それからというもの、開店前も昼過ぎの閉店後も“メニュー豊富 バイキング”と書かれた黒板が置かれたままだ。道に迷った旅人が日の出とともにこの店の前にたどり着き黒板を見て空腹を満たそうとしても、店にはだぁれもいないのである。

 営業中とか準備中の札をかけるとかいう発想はまったくないのだろうか?


 という指摘がされるのを予期していたかのように、数日前から午後になると黒板を片付けるようになった。
 良いことである。


 私はといえば、新価格になってからこの店には行っていない。

 というのも、何かわからないのは不安だからだ。
 豊富といっても、焼き魚に煮魚、ツナサラダにアジフライという豊富さだって考えられる。
 一度店に入ったら逃げ出しにくい雰囲気だから、冒険する気にはなれない。


 魅力あるメニュー、心地よい雰囲気の店に変わることを期待したい。実に良くなったという噂を耳にした時点で私も行ってみようと思う。


  意外となかった“姉妹”
 私がCDを持っている楽曲で、名に姉妹とつくのは呉祖強(Wu Tsu-Chiang 1927- 中国)の琵琶協奏曲「草原の小姉妹」だけである。
 このコンチェルト、以前は一時的にけっこう熱狂して繰り返し聴いたが、いまではウソのようにすっかり飽きてしまった。

 一方、演奏者のほうを調べると私が持っているのはラベック姉妹だけだった。
 このピアノ・デュオ姉妹は、いまから30年以上前にウイスキーのコマーシャルで連弾している様子が映し出され、それで知っている人もいるかもしれない。
 現在、妹の方はビシュコフの奥さんなんだそうだ。どうでもいいことだけど。


StravinskyFerlyKiss  ビストロKouryouの思い出のために
 そこでストラヴィンスキー(Igor Stravinsky 1882-1971 ロシア→アメリカ)のバレエ「プルチネルラ(プルチネッラ/Pulcinella)」(1919-20/改訂1947)。

 ペルゴレージ他の作品を素材に用いた、ストラヴィンスキーが新古典主義の姿勢を明確にした最初の作品。
 この曲については過去にラトル盤ブーレーズ(以上全曲版)、バーンスタイン盤クレンぺラー盤(以上組曲版)を取り上げているが、今日はクラフトによる全曲盤を。

 昨年の11月に92歳で亡くなったクラフトは若いころにファンだったストラヴィンスキーの弟子になったが、逆にストラヴィンスキーにも少なからぬ影響を与えた。

 ハロルド.C.ショーンバーグの「大作曲家の生涯」(共同通信社)にはこう書かれている。

 かつてストラヴィンスキーは、十二音音楽に好意的な言葉を吐いたことはなかった。ところが、クラフトによってこの種の音楽、とりわけウェーベルンの音楽を紹介されると、彼は自分の意見を修正した。1952年のインタビューで、彼は自分自身は十二音音楽を書くことに興味はないが、「私が尊敬する規律性を持っているのは、十二音作曲家だけである」と述べた。

 クラフト指揮フィルハーモニア管弦楽団による「プルチネルラ」は1997年録音。
 独唱はモンタギュー(Ms)、レゲイト(T)、ビーズリー(Bs)。
 ナクソス(ロバート・クラフト・コレクション/ストラヴィンスキー作品集第5集)。

 「大作曲家の生涯」ではストラヴィンスキーを風刺したシェーンベルクが書いた詩が紹介されている。

 だが、このドラムを叩いているのはだれだ?
 それは小柄なモンキーダンスだ。
 ……

 今年は申年。
 これを取り上げない手はないと思ってもう一度読んでみると、実は

 だが、このドラムを叩いているのはだれだ?
 それは小柄なモダンスキーだ。
 ……

 私がこの本を購入したのは35年以上前。今に至るまでずっとこのように読み違えていたのだった。
 やれやれ、いとはずかし。