Kodachrome  ポジティブに生きようぜ
 自宅で本棚を整理していたら、20年ぐらい前まで使っていたスライド・ファイルが出てきた。

 スライド・ファイルとは上下左右にスライドする便利な(?)ファイルのことではない(そもそもそういうものがどんなものか想像不可である)。

 ポジ、つまりリバーサル・フィルムで撮影したスライド写真を保管するファイルである(その反対がネガフィルムである)。

 学生時代、私は植物写真を撮り続けていた。
 そして、私の愛機は絞り優先撮影のペンタックスのMEスーパーであった。

 フィルムはコダックのリバーサル・フィルムであるコダクローム(ASA64)。もう少し感度が欲しいときは同じくコダックのエクタクロームのASA200のものを使った。
 コダック、特にコダクロームにこだわったのは、ペンタックスのレンズにはコダックの方がフジクローム(富士フィルム)より発色が自然だと感じたことと、ASA64という低感度の方が大伸ばし(スライド映写など)したときに画質が有利と思ったからだ。接写で絞り込むためシャッタースピードが遅くなり苦労したけど……

 MEスーパーは20年ほど前まで使っていたのだがフィルムの巻き上げレバーが空回りするようになり、また撮るシーンも家族のスナップ写真が中心となり、加えて子どもの写真をスライドにするはずもなくネガフィルムばかり使うようになったので、もうコンパクトカメラで十分だと思いMEスーパーはしまわれたままになった。

 が、5年ほど前にオークションに出品してみた。もちろんレバーが空回りすることは明記して。
 1万円ほどで落札された。落札者の落札履歴からすると中古カメラ店のようで、きっと修理して中古市場で売ったのだろう。でも、きっと売れたに違いない。あのカメラは良いカメラだった。

 札幌駅の手荷物一時預かり所でバイトしてお金を貯めて買ったのだが、キャノンでもオリンパスでもなく(ニコンは高くて手が届かなかった)、どちらかといえば地味な存在のペンタックスにしたのは(めったに会わない)叔父の勧めだった。

 その叔父はカメラ好き、写真好きだそうで(そのときまでちっとも知らなかったし、それ以降も叔父の撮った写真を見たことがない。そしてもうその叔父は他界した)、ペンタックスのレンズはすばらしいと賞賛していた。

 ご存じのように今使っているオリンパスのコンパクトデジカメに、私は不満がある。
 画像がいまひとつ締まらない。ピントが甘いのだ。

 コンデジだからしょうがないといえばしょうがないのだが、その前に使っていたニコンのコンデジはピシッと決まってくれた。そのニコンの製品のおよそ3分の1の1万円で買えたから、もともと能力は低いのかもしれない(画素数やセンサー、画質の選択などいろんな厄介な事情が複雑に絡み合っているとは思うが)。

  やっぱりペンタが好き!
 先日札幌の某大型カメラ店“ヨドックカメラ”(仮名)で何気なしにカメラを見てみたら、私を引きつけるカメラがあった。

 ペンタックスのK-S1。やっぱり私はペンタックスが好きなのだ。
 価格は2本のズームレンズがついたセットで54,000円ほどである。

 5万超えか……。でも一眼レフがレンズが2本ついてこの金額で買えるのだから安いことは安い。
 一目ぼれしたものの、しかし衝動買いするのを何とか思いとどまった。

 その数日後に東京に出張した。
 空いた時間があったのでヨドックの某店舗に寄ってみた。
 なんとK-S1のあのWズームキットが“お値下げしました”と44,000円(税別)ほどで売っているではないか!
 やっぱ東京は安いのね。でもここでは買えないし、妻の許認可も下りてないし……

 でも、そのあとネットでヨドックの価格を見ると、全国送料無料で同じ価格で出ている。しかも在庫がある店舗に札幌店も入っている。ということは、44,000円で札幌でも買える。そう判断して間違いない。

 妻に「前回よりも1万円も下がったので、アタシはここで買わないと一生後悔するような気がする」と訴え許可を得、先週の札幌出張の際、早めに着くようにして出発し、会議が始まる前にヨドックに寄った。

20152020Ks1  店頭の価格変更が追いついていない?
 が……、価格は54,000円ほど(税別)。つまり最初に見たときと変わりない。こちらは“お値下げしました”じゃないのだ。
 これなら同じヨドックのネットショップで買った方が1万円も安いことになる。

 でも、店員さんに尋ねてみた。
 プリントアウトしてきたヨドックのネットショップのページを示しながら、「これって、ヨドックさんのネットショップでは44,000円ですけど、こちらではこの価格のままなんでしょうか?」。
 さらに「もし合わせてくれるなら購入したいと思うのですが」と大胆なことを言ってしまった。

 「ホントですか?ありがとうございます」とまずはお礼の言葉で私の気持ちを高揚させた店員さんはプリントアウトされたものを確認し「ちょっとお待ちください」と言って、奥に引っ込み、2分後に戻って来た。

 「ネットの値段と同じで大丈夫です」

StravinskySrtBoulez ということで、お互い笑顔で(支払いのことを考えるとやや憂うつではあるが)商談が成立した。
 でも、東京の店舗やネットでの価格を知っていたからこそこのように尋ね、そして値引きしてもらえたが、そうじゃない人は54,000円で買っちゃうってことか……。なんか気の毒。それとも買うか買わないか迷っている状態でお値引作戦にでるのかな?
 もしかすると自分も店頭価格そのままで、もしかしてもっと安くなるかもしれない可能性を知らないで高いまま買ってしまっていることもあるかもしれないな……

 と、この話はいったんここで中断して、今日取り上げる作品は、印象主義音楽のような浮遊感のあるストラヴィンスキー(Igor Stravinsky 1882-1971 ロシア→アメリカ)の「ヴェルレーヌによる2つの詩(2 Songs of Paul Verlaine)」Op.9(1910)。

 バリトンを独唱とする歌曲で、第1曲は「大いなる憂うつな眠り」、第2曲は「白い月影は」。


 まっ、私はぐっすり眠ったけど……


 シャーリー=カークのバリトン、アンサンブル・アンテルコンタンポランの演奏を。


 1980年録音。グラモフォン。


 昨日の昼は、天気が良かったせいもあって秋吉課長と大嵐係長と連れ立って久しぶりに珍宝楼に行き、“いつもの”担担麺+小ライスを食べた。
 おいひかっふぁ!