PB230230  内蔵無線LANは亀
 自宅のノートPCは2008年に購入したFMVである。Vistaである。

 無線LANは11a、11b、11gに対応している。
 それぞれの規格の速度の理論値は、11aと11gが54Mbps、11bが11Mbpsである。

 つまり無線ルーター側がどんなに高性能でも54Mbps以上の速度は出ない。
 実際、PCの“ネットワークと共有センター”で見ても、通信速度はいつも54Mbpsだった。

 そこでアイ・オー データの無線LAN子機を買ってみた。1ヵ月ほど前のことである。

 家族のスマホでWiFiが使えるようにとすでに親機はアイ・オーのものを導入しており(スマホを持っていないのは私だけである)、その最大速度の理論値は1300Mbps、子機の方は最高速度の理論値は11acで867Mbpsである。
 私の仮説、希望的観測、試論によれば、867Mbpsに限りなく近い速度が実現されるはずだ。

PB230232  かたくなに安全速度を遵守するFMV
 この子機のドライバをインストールして使ってみたが……はて?、変化がない。
 速度を確かめると、相変わらず54Mbpsだ。
 正しいLAN通信速度は試論では867Mbpsのはずなのに……

 一度マンションに持ち帰って、NEC機(ウインドウズは7)で試してみる。

 そして“ネットワークと共有センター”で確かめると500Mbps以上の値が表示されている。
 なのに、なぜ自宅のPCでは変化がないのか?
 ウソでもいい。たとえ55Mbpsという表示でもいい。変化を、向上を、たとえ実感が伴わなくても目にしたい。

  行ったり来たり、ご苦労さんなこって
 今回、自宅に持ち帰ってもう一度確かめてみた。子機というくらいだから、まあ持ち運ぶのに支障がない大きさだし軽いからいいようなものの、わざわざ特急に乗せてもらって行ったり来たりとはぜいたくなやつだ。

PB230231 FMVからいったんドライバをアンインストールし、ご丁寧に再起動し、深呼吸してから再インストール。
 インストールが正常に終了し、大いなる期待を持って子機をUSBポートにゆっくりやさしくいとおしく挿入したが、やはり速度は変わらず54Mbpsのまま。この不感症野郎めっ!

 夜明け前の暗い中(って、外でやってたわけじゃないけど)、私の格闘は続く。

 と、ふと思った。
 こいつ自体(子機のこと)が、仲間外れにされているのではないか?存在を無視されているのではないか?

 そこで新たな試みとして“ネットワークの接続の管理“画面で、PC内蔵の無線LANである“インテル ワイヤレス コネクション”を無効にしてみた。
 すると、おおおおお、子機のはかなくも美しい青色のパイロットランプが、それまではやる気のなさそうなゆっくりとした規則正しい点滅だったのに、ピピピピピと細かく点滅しはじめた。

 “ネットワークと共有センター”を開いてみると、速度は585.0Mbps~650.0Mbpsと表示されている。
 ようやくこの子機を介してネットがつながった。
 どうやらこれまではPC内蔵のものが優先されていたようだ。
 しかし、マンションのNEC機では、こんなことなくすんなり子機が働いたんだけど……

 確かに速くなった。
 ネットをやっていても画面の切り替わりなどが速い。マウスをクリックする前に替わることだってある(わけがないでしょ)。
  数字上ではいままでの10倍以上だ。
  
 ただ、速くなったというものの劇的な速度アップではない。

 そりゃそうだ。
 わが家の光回線はフレッツ・ネクスト ファミリータイプなので理論上の最大値でも100Mbps。

 つまり無線LAN親子同士がどれだけ速い口調でひそひそ話をしたところで、その先がつまる。
 交差点での先づまりみたいなものだ(ろう)。
 しかし、54Mbpsよりは速くなったのは間違いないようだ。かすかにそれを体で感じる私。

BachCPE63  こっちも“試み”
 C.P.E.バッハ(Carl Philipp Emanuel Bach 1714-88 ドイツ)の「6つのソナタ ― 正しいクラヴィア奏法の試み(6 Sonaten ― Zu Versuche uber die wahre Art das Clavier zu spielen )」Wq.63,H.70-75 (1753刊)。

 もともと18曲の練習曲を3曲ずつ、つまり3楽章構成にまとめ、6曲のソナタ(18÷3は6なわけね)とした作品。
 各曲は、ハ長調/ニ短調/イ長調/ニ長調/変ホ長調/ヘ短調である。

 また、1786年にC.P.E.バッハは初心者向けとしてこのソナタ集に単一楽章の6曲のソナティナ(ソナチネ)を加えた(H.292-297)。
 それらは、ト長調/ホ長調/ニ長調/変ロ長調/ヘ長調/ニ短調である。

 そして、これらを全12曲をあわせて(ソナタ6曲+ソナティナ6曲=12なわけね)、「正しい鍵盤楽器演奏のための試論」の名で呼ぶ場合もある(Wq.番号は12曲あわせてWq.63のまま)。

 鍵盤楽器奏法の可能性を追求した研究・学習用の作品だが、C.P.E.バッハの激しい感情の起伏と(ここで紹介するCDでは)クラヴィコードのひなびたような切羽詰まったような音の不思議な融合がおもしろい。

 ホグウッドのクラヴィコードで。

 1978年録音。オワゾリール。