Newbabylon  イントロダクション
 “第九の季節”だのぅ、と書いたところだが、この「歓喜の歌」をしているのがショスタコーヴィチ(Dmitry Shostakocich 1906-1975 ソヴィエト)の「五日五夜(Five days - Five nights)」Op.111(1960)である。
 が、その前に私のこの5日間について。

 先週は社の中にいることが多かったので、この1ヵ月の間の間欠泉のような出張による疲れが少しずつとれた。

  1.水曜日
 昼食時と夕方に出かけた以外は支社内にいた。
 昼は“Piece of Cake”に行き、日替わりランチの1つである豚の生姜焼きを食べた。ここの生姜焼きはなかなか美味しい。
 ちなみにこの日の荒涼庵の日替わりバイキングは、トンカツと玉子焼きにタケノコの煮物と書かれていた。まぁ、定食らしくてけっこうなことだと思う。

 夕方になって市内某所での会議のため出かける。
 会議の後には懇親会があったが、そこのハイボールが驚くほどシュワッとしなくて濁った水道水で作った水割りのようだった。もちろんとても不味かった。
 ただし、2杯目からはまともになった。というのも、炭酸水をもらって自分で作ったからだ。
 未開封の炭酸水が出てきた。きっと作って持って来た1杯目の炭酸水は、2、3日前に開封して使いきれなかったものの残りだったんじゃないかと推測される。

  2.木曜日
 午後から会議のためちょいと遠出。

 この日も会議後に懇親会があったが、先方のメンバーの1人がすっごい注ぎ上手。というか、ガンガン日本酒を勧めてくる。笑顔で。でも、けっこう目は真剣。
 私はそれを回避したが、若い者はとても断れず不気味な笑顔で襲いかかって来る強姦魔に抵抗できずされるがままに……って感じ。
 急性アルコール中毒が問題となるキョウビ、大学のコンパでもこんな飲ませ方はしないのではないかなと思う。酒はビクビクせずに楽しく、ほどよいペースで紳士的に飲みたい。そうじゃなきゃ、いくら仕事上のお付き合いとはいえ、足が遠のきがちになるかもしれない。
 もちろん、結果としてわが軍の被害甚大。

  3.金曜日
  昼はラーメン。きっぱりとAセットの味噌味を注文。
 内容は説明しないが自分ではBセットを注文したつもりだった。が、運ばれて来るまで自分の勘違いに気づかなかった。Aセットだったら味噌ではなく醤油ラーメンがよかったのに……

 夜は支社の観楓会。
 観楓会という言葉は北海道以外ではなじみのない言葉だろう。道外でいうところの“紅葉狩り”だが、純粋に紅葉を鑑賞しようと思っている人は99.9%いなくて、要するに泊まりがけの秋の慰安旅行である。

 今回も近郊の温泉に1泊することになっていたが、私は翌日早めに札幌へ移動する予定があったので、宴会のみに出席する日帰りとした。
 職場で私の席の近くのアイアイさん(初登場)も宴会だけで泊まらずに帰るという。しかもアイアイさんはお酒がまったく飲めないため、自分の車で行き来するという。そこで、「よろしければ、いや、よろしくなくても乗せてもらえんでしょうか?」とお願いし、乗車許可をいただいた。
 行き帰りに送っていただいたことに対し、この場を借りてひどく感謝したい。

 なお、最近では世間一般の動向として、観楓会も泊まりがけではなく宴会のみというケースが増えてきているようだ。

  4.土曜日
 とはいえ、3日ほど前に急に決まったことだが、この日は夕方に苫小牧の近くに行く用事ができた。
 そのため、早くにではなく、その時間帯に合わせるために出発を昼に遅らせた。

 午前中に時間の余裕ができたので、近くの大型書店“クレタ”に行く。もちろん仮名である。
 この日、村上春樹の新刊「ラオスにいったい何があるというんですか?」が発売されるはずだったからである。

 ところがその本がまったく見当たらない。
 新刊コーナーには「下町ロケット」やら「村上さんのところ」という、新刊と呼べるのか疑問の本も置いてある。なのに、本来の新刊がない。

 店員さんに聞く。
 「今日発売の村上春樹の『ラオスになんたら』という本は入ってますか?」
 「今日ですか?だと、地方は2、3日あとになるんですよね」

 雑誌じゃなくてもそうなのだろうか?
 しかも私が広告を見たのは北海道新聞でだったんだけど……
 レジの店員さんは「あちらのサービスカウンターで問い合わせてみてください」と言ったが、サービスカウンターはなぜか朝っぱらから混んでいて、それに私も書名をはっきり覚えていなかったので、なんだかバカにされたらやだなぁと思ってそのまま帰って来た。
 クレタにはいったい何があるんですか、って気分だった。

 昼にマンションを出発し、ちょっと遅めの昼食は清水町の“三品”というそば屋で。
 何度か店の前を通り気にはなっていたが、ようやく行くことができた。
 そばは細いがコシがありそばの風味も強い。美味しいそばだ。事前に見た口コミを参考に天ぷらそばを頼んだが、確かに上品で重くないなかなかの天ぷらだった。店内も清潔。良いそば屋だ。

 そのあとはnear苫小牧に立ち寄り、その後自宅に向かった。

20151122MHR  5.日曜日
 朝、新聞を買いにセイコーマートへ。
 5:57だったが、雰囲気がいつもと違う。バイトらしき店員がバタバタし、いつもは外に置いてあるゴミ箱を店内から出そうとしていた。
 ピンときて看板を見上げると、営業時間が6:00~24:00になっている。
 これまでは24時間営業だったのに。

 6時過ぎに北海道新聞を買いに行ったものの、すでに品切れだったことが2回ほどあったので6時前には買いに行くようにしていたが、たまたまこの日は行ったのがほぼ6時。早く行っても入れてもらえないことが確認できてよかった。これで5:45とかだったら、新聞を1部買うために15分も暗闇の中で待たねばならないところだった。

 決して暖かい日ではなかったが、まだ冬囲いをし終えていないいくつかのバラの囲い作業、それと落ち葉拾いをする。なんだかんだで4時間かかった。
 ようやく冬に向けての庭仕事を終えることができた。まだ咲いているバラもあったんだけど……(写真は“メニー・ハッピー・リターンズ”)。

MurakamiRaos この日、妻は札幌駅近くの美容室に出かけた。
 そこで、書店で「ラオス」があったら買って来て欲しいと頼んだ。
 そして買って来た。ステラプレイスの三省堂書店に平積みになっていたという。

 ならば、今日この日ならば、クレタ書店にも入荷していたのだろうか?
 ちょいと怪しいかなと思っている。

  五曲
 ショスタコーヴィチの「五日五夜」は以前も取り上げているが、L.O.アルンシタム監督のソヴィエト・東ドイツの合作映画。
 もうどちらの国も地球上に存在しないのが、なんだか不思議な感じがする。

 この映画は第2次世界大戦での連合国軍によるドレスデン空爆を扱ったもので、ショスタコーヴィチは映画の音楽を作るにあたってこの地を訪れた。
 まだ生々しい戦争の傷跡を目の当たりにしたショスタコーヴィチは、映画音楽よりも先に弦楽四重奏曲第8番ハ短調Op.110を書きあげている。
 また映画音楽が書かれた翌年の1961年にL.アトヴィミヤン(アトフミャン)によって5曲からなる組曲が作られている(Op.111a)。アトヴィミヤンはショスタコの友人だったらしい。

 その5曲は〔イントロダクション/廃墟のドレスデン/ドレスデン解放/間奏曲/終曲〕。

 第3曲「ドレスデン解放」で、ベートーヴェンの「第九」の「歓びの歌」っぽいメロディーが現われ(このあたり、シューベルトの「大交響曲」の終楽章を連想させる)、それがニョキニョキと真っ直ぐにではなく成長し「歓びの歌」がモロ出しで高らかに鳴り響く。でも、モロといってもどこか変。あんたのなんて見せる価値がないのよ!みたいな……って、また話がシモの方へ行ってしまってすまない。

 そしてまた、この曲には彼の交響曲第12番ニ短調Op.112「1917年」(1961)の影もちらついている(左のリンク先の記事には、OCNからlivedooorへ記事を移行したときになにかおとがめがあったのか、記事とは関係のない写真もアップされている)。

 ジャッド指揮ベルリン放送交響楽団の演奏は1990年録音。カプリッチョ。
 さて、タバコを1本吸って朝刊を買いに行くとするか……