んっ?書き方が悪いな。
ワルツという言葉は英語という言語の単語である。
んーっ、くどいな。
まあいい。たぶん waltz が“英語”という意味だと思う人は乳児を除けばいないだろうから。
ワルツは日本語では“円舞曲”だが、ドイツ語だと Walzer、フランス語だと valse である。
「ワルツ、ヴァルス、ヴァルツァー」。早口言葉で3回言ってみてほしい。
…………
簡単でしょ?
いえ、アナタをバカにしているわけじゃ、決してありません。
ワルツはオトコとオンナが抱き合って円を描きながら踊るものだが、ご想像のとおりけっこういやらしさが漂う。
うらやましいが、それはさておき、それはクラシック音楽のワルツ作品では、実際に踊るための実用音楽としてではなく演奏会用として書かれた作品も多い。
昨日大絶賛してしまったシュニトケの「ワルツ」。そこで引用されている、ヨハン・シュトラウス2世(Johann Strauss Ⅱ 1825-99 オーストリア)のワルツ「ウィーンの森の物語(Geschichten aus dem Wienewald)」Op.325(1868)もそうで、曲の構成は単純ではない。
「ウィーンの森の物語」はウィーンの緑地帯の自然美に触発されて書かれたとされている。
編成には民族楽器のツィターも加わっているが、ウィーンの街と周辺地域との融合を表現しているという。
ウィンナ・ワルツとしては、全然ベトベトしたところのない、というか、いやらしさを感じさせない、ある意味ユニークなアーノンクール盤を。
「ヨハン・シュトラウスなんでしょ?」という、彼に対する過小評価を打ち消すような演奏だ。
オーケストラはロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団。
1986-87年録音。apex(原盤:テルデック)。
華やかかりし時代を讃えて
ヴァルツァーを紹介したので、ヴァルスも。
ラヴェル(Maurice Ravel 1875-1937 フランス)の「ラ・ヴァルス(La Valse)」(1919-20)。
“ラヴェルのラ・ヴァルス”なんて、ダジャレみたいだが、そのものずばり“円舞曲”(日本語なら)というタイトルである。
でも、この曲はバレエ音楽である。バレエ「ラ・ヴァルス」なのだ。「オーケストラのための舞踏詩(Poeme choreographique pour oechestre)の副題をもつ。
あのディアギレフの依頼によって書かれたが、この偉大なるバレエ団主宰者はこの曲では舞台効果があまり出ないと考えたのか、バレエ上演をしようとしなかった。
そのため、初演はコンサートで1920年に行なわれている。そしてまた、この一件でラヴェルとディアギレフの関係は壊れてしまったのだった。
曲は「バレエの誕生」「ワルツの主要部」「終結部」の3つの部分からなり、19世紀のウィンナ・ワルツを礼賛する意図で書かれた。
ラヴェルは初版の楽譜に次のように記している。
“雲のあいだから、ワルツを踊る男女の姿が見える。雲が散って次第に晴れてくると、踊る群衆で埋めつくされた大広間が現われ、その大広間はだんだんと明るくなりシャンデリアの無数の灯火が輝き始める。それは1855年ごろの宮廷の大舞踏会である。”
ラヴェルは古き良き栄華の時代の大舞踏会を俯瞰したのだった。
ドビュッシーやラヴェルでは最近の私の“お気に”であるブーレーズ盤をご紹介。
オーケストラはベルリン・フィル。
1993年録音。グラモフォン。
今日は土曜日である。
土曜といっても、デパートやスーパーに勤めている人は仕事に行かなければならない。
JRの運転士や車掌さんも非番でない限り仕事だ。
荒涼庵は休みだが、珍宝楼は好評営業中だ。
ぱんちょうの豚丼を食べようと並んでいる人も、ある意味労働中である。
そして私も今日は出番である。
いえ、豚丼を食べに行くんじゃなくて、仕事なのである。