OTV  沖縄テレビとは関係ありません
 先日自宅の本棚の奥から「OTV」が出てきた。

 ホイチョイ・プロダクションによる、(当時の)さまざまなテレビ番組に突っ込みを入れた本である(ダイヤモンド社)。
 この本、同じホイチョイの「気まぐれコンセプト」とともに、非常に面白くて何度も読んだ。

 当時っていつかって?
 昭和60年ころのことである。
 「気まぐれコンセプト」は誰かに貸して、それっきり帰らぬ本となってしまった。残念である。

 例えば“企業ドラマ”に対し、ホイチョイ・スタッフはこう指摘する。

  生活感のないマンションの部屋
 企業ドラマにおけるエリート・ビジネスマンの夜の過ごし方のパターン:
 何故か必ずガウンを着て(ジーパンにセーターなどといういでたちであったためしが無い)ブランデーをなめながら、TVを見るでも無く、本を読むでも無く、マンションの窓の外の景色を見つめながら物思いにふける。


 田村正和演じるエリートなんか、まさにこんなんだった。
 私なんかは、誰が洗い物をするのかなと思って観てたけど。

  寝坊じゃサマにならない
 NHKのドキュメンタリー番組だと、

 ・(朝に)出て来るヒトは、何故か例外なく早起きで、白い息を吐き、霜柱を踏みながら、表に出ていく習性がある。
 ・登場人物は、問題が起こると、決まって車座の話し合いで解決する。

 ニュースの場合は、“事故現場を訪れた遺族は、必ず「悲しみを新たに」するし、火事はいつでも「折からの強風に煽られ」る”。“8月の第一日曜日のニュースは、必ず「夏休みに入って最初の日曜日の今日…」で始まり、街のイベントのニュースは、「道行く人も、足をとめて見入っていました」で結ばれる”のである。

 どうです?テレビの制作側もある程度進歩したかもしれないが、今でも当てはまることが少なくないのでは?

 私はニュース、特にNHKので感じるのは、何かが起こり、その件について大学教授や評論家といったその分野の専門家をインタビューする映像のとき、最初は必ずといっていいほどその人がパソコンに向かっているところ。

 変化がないんだよなぁ。
 で、その画面がゲームとかだったら面白いのに……

  うわっ、最新のエアーポットだ。うっれしいなぁ~
 すっかり数が少なくなったクイズ番組。
 芸能人が解答者のクイズ番組に対しては、

 クイズ・ダービーのはらたいら、ヒントでピントのかつての小林亜星のように、ここぞというとき奇跡のように難問を解く解答者が必ず1人いるというのも、共通のパターンだ。一般視聴者参加クイズと違い、勝ちチームに与えられる賞品は、象印ポットくらいがせきの山だが、ふだん派手な生活をしている芸能人たちが、ポットを貰ったくらいであれほど大喜びしてみせるのは、不気味である。

 副賞でもう一つ、やたらと聞くのが、「酒田時計貿易提供のラドーの高級腕時計をペアで差し上げます」というフレーズ。ラドーは、よっぽど、在庫がたまっているのだろうか?

と疑問を呈している。

 確かに出演者は象印賞を貰うときひどく喜んでいた。

 腕時計だと、ラドーと争うように提供されていたのがテクノス。
 ラドーってあまり聞かなくなったけど、テクノスはいまでも輸入小物雑貨の店で売っている。もちろん時計屋でも。それも1万円くらいで。当時の10分の1以下の値段だと思う。

  東家っていってもそば屋じゃありません
 スポーツ根性ドラマの章では、大映テレビの“怪進撃”について紙面を割いている。

 大映テレビというのは、主人公演じる堀ちえみが客室乗務訓練中にいきなり阿波踊りを踊りだす「スチューワーデス物語」や、下に述べるような「少女に何が起ったか」といった、ありえない日常行動を真面目に演じる場面が特徴だった。

OTVkyonkyon ……この独り言は、番組の展開が複雑になるにつれて、状況を説明する修飾語が次々にくっつき、どこまでも長くなる傾向にある。例えば、少女に何が起ったかのキョンキョン。彼女の役は、一流のピアニストを目指す音大生で、ピアノの演奏場面がちょくちょくあるのだが、この娘は、いったんピアノに向かうと、最低、下の台詞くらいは天井に向かって言わないと、弾き始めない。あまり家の中に置いておきたくない性格の娘だが、彼女がこの独り言をやめてしまうと、見ている方は、ストーリーがよくわからなくなってしまう。

 “下の台詞くらいは”ということは、実際の番組のセリフとは異なるのかもしれないが、載せたページのように長々とブツブツ言うわけだ。セリフを覚えるのも大変だったろうに……

 抜海っていうのが、またマニアック。
 抜海は稚内市にある地区名だが、いまの世の中なら、「落ちのびる」なんて表現は街をバカにするなと問題になるかもしれない。

 でもね、雪ちゃんはお熱あるのよ、きっと。
 だから大目に見てあげてね。

ChopnEtudesGav  作り話だったようで……
 そんなわけで、ショパン(Frederic Francois Chopin 1810-49 ポーランド)の練習曲第12番ハ短調Op.10-12「革命」。

 ショパンはピアノのための「練習曲(Etudes)」を27曲残している。
 第1番から第12番までが1833年出版の第1巻(Op.10)。第13番から第24番までは1837年出版の第2巻(Op.25)。第25番から第27番までの3曲は1839年の作である。

 今日は第1巻と第2巻の24曲を収めたガブリーロフの演奏を。

 っていうか、このCD以外、まとまって「練習曲」を聴いたことがないというのが私の実態である(一応、このCDは“レコード芸術”で推薦盤となっていた)。

 1985-87年録音。EMI。

 なお、この「革命」というのは、ポーランドなどで1831年に起こったロシアの支配に対する反乱のこと。
 これに対しロシアはワルシャワに侵攻。革命は失敗に終わった。

 体が弱かったショパンはこの反乱に参加できず、この「革命」のエチュードなどに怒りの感情を込めたとされる。が、現在では、それは作り話だと考えられている。
 なお、「革命」のタイトルは、リストがつけたという。