ドドドドン・ドドドドン・ドドドドドドドドドドンと日本太鼓が鳴る
先日、広上淳一/日本フィルハーモニー交響楽団の演奏による伊福部昭(Ifukube,Akira 1914-2006 北海道)の「SF交響ファンタジー」の第1番と第2番を取り上げたが、今日は「SF交響ファンタジー第3番(Symphonic Fantasia No.3)」(1983)と「倭太鼓とオーケストラのためのロンド・イン・ブーレスク(RONDO IN BURLESQUE for Japanese-drum and Orchestra)」。
第3番のファンタジアは第2番同様、第1番に比較すると演奏、録音機会が少ない作品だが、映画の最初、“東宝”のロゴが映し出されるところのタイトルバック音楽で始まるところからいきなりワクワクさせられる。そして、この曲では特に「海底軍艦」の音楽が印象的だ。
広上のタクトは、第1・2番同様、映画音楽の編曲ものとは思えない豊かな表情を描き出す。
「倭太鼓とオーケストラのためのロンド・イン・ブーレスク」も、3曲の「交響ファンタジー」と同じタイミングで発表された作品。
素材として「ゴジラ」、「怪獣大戦争」、「フランケンシュタイン対地底怪獣」、「わんぱく王子の大蛇退治」が用いられている。
実はこの曲のもとになっているのは、東京佼成吹奏楽団の委嘱で1972年に作曲された「ロンド・イン・ブーレスク(ブーレスク風ロンド)」という作品。同年手塚幸紀指揮/同吹奏楽団によって初演されている。
伊福部はそのあとに日本太鼓のパートを書き足して「倭太鼓と吹奏楽のためのロンド・イン・ブーレスク(RONDO IN BURLESQUE for Japanese-drum and Symphonic Band)」(1977)とした。
初演は1977年に汐澤安彦指揮東京音楽大学シンフォニック・ウインド・アンサンブルによって行われた。
そしてこの曲は、1983年の“伊福部昭 SF特撮音楽の夕べ」のために3管編成オーケストラのために書き直されたのである。
初演時ライヴでは倭太鼓は非常に強い音で入ってくるが、それと比べると広上盤はそんな張り切った叩き方をさせていない。むしろ柔らかだ。それは倭太鼓が前半部で最初に登場するときに、より顕著だ。
実は初演の翌年に札響の特別演奏会でこの曲を聴いたときも広上と同じような叩き方だった(指揮は石井眞木)。
初演時ライヴの力のこもった強打が刷り込まれていた私にとっては肩透かしを食らった感じだったが、その後の広上盤も同じように扱っているということは、初演後に作曲者が指示を加えたのかもしれない(あるいは初演時の奏者が張り切りすぎた、もしくはサービスが過ぎたのかもしれない。)。
倭太鼓によって刻まれるオスティナート。
この執拗に繰り返されながらエネルギーを増して進んでいく展開に興奮を抑えずにはいられない。
これは伊福部版の「ボレロ」だ。
ラヴェルの「ボレロ」は都会の一室での秘め事の盛り上がりを連想させるのに対し(映画の影響か?)、伊福部の曲は人間の精神の根元を刺激し血が沸き立つ興奮をもたらす。
広上盤の録音は1995年録音。ファイアバード(キング)。
私は単売のを揃えることにします
ところでこのあいだも書いたように、このCDは今さらながら買ったもの。
そのうち再発売で値段が下がるんじゃないかと買い控えしていたわけではないのだが、聴いたことがある曲ということもあって、やっぱり3000円も出して買うということに躊躇していたのだ。
が、20年経ってもこのCDは珍しくも現役盤のままであり、それはクラシック界では極めて異例で、かつありがたいことなのだが、値段を下げての再発売をやや期待していた身としては、すっかり予定が狂ってしまった。
そしてまた、キングから出ているこの一連の伊福部シリーズ(Vol.12にまでになった)で私が所有していないのは、いつの間にかVol.1とVol.2の2枚だけになった。
と、なんと“【SHM-CD】伊福部昭の芸術 20周年記念プレミアムBOX(仮)<初回限定盤>”が、9月16日に発売される予定だという吉報が入った。
16枚組で27000円。ってことは1枚あたり1687円。
プ、プライス・ダウンだぁ~。
セットの中には初出の音源が2枚あるという情報もあるが、まだよくわからない。
そうだとしたらその2枚、興味津々である。
が、その初出音源の2枚と、単売で買っていないVol.1とVol.2の2枚の計4枚以外は、もう私の手元にCDがあるわけだ。
ってことは、このワクワクBOXを私が買うということは、その4枚のために27000円払うってことになる。私にとってはビール4杯27000円の暴利バーに迷い込むに等しいことだ。吉報じゃなかった。
涙をのんで、レギュラー価格の現行盤のVo.1とVol.2を買うとするか……
