Sante40  中身はそんなに違うのか?
 買いに行くたびに思うのだが、目薬の値段ってなんであんなに幅があるのだろう?


 イチキュッパ-もちろん1980円じゃなく198円-のもあれば、1000円を超えるものもある。
 そしてTVでコマーシャルが流れている、たとえば関根勤が注したあとに瞳を輝かせている目薬のように、すっごく効きそうな商品はたいてい1000円超だ。


 前回ドラッグストアに行ったときにも迷った。
 高価格のものの方が効果があるように思えてならない。

 しかし、ある登録販売士の話によると、値段の違いはあまりないから高いのでなくてもいいと言う。それだけではない。そもそも防腐剤が良くないから目薬はなるべく使わない方がいいとも言う。
 目薬が目に悪いということも起こりうるということだ。

 とはいえ、198円の目薬と1480円の目薬だと、どう考えても1480円の方がズバッ!シャキッ!ボンジュールお目目さん!となりそうな予感がする。
 でもねぇ~、そこまでお金を出す気にもならない。
 
  番組スポンサーの影響力ってすごい
 もう1つ悩むのはメーカーだ。
 むかし、「ロート、ロート製薬ぅ~!」という歌とともに(画面はロート製薬の社屋で鳩の群れが飛んでいた)、“底抜け脱線ゲーム”(古い!)が始まった。その後は“アップダウンクイズ”もそうだった。ということでイメージ的にロート製薬には親しみがある。

 しかし、参天製薬が目薬の本家というイメージもある。赤い目薬サンテウが出たときは衝撃的だった。あれを注すとウサギさんの眼のようになるんじゃないかと、バカなことを考えたものだ。それになんといっても歴史ある大学目薬を作っているのがサンテだ。

 ライオンが出しているスマイルはすっかり安売り商品って感じだし、大正のアイリスは買ったことがないし、マイティアはコンタクトをしている人用ってイメージが強いし……

 悩める子羊状態の私は結局折衷的に600円ほどの商品にした。
 サンテ40という商品だ。これは防腐剤不使用である。
 ということは慌てて使わないと腐ってくるかもしれない。私の場合1つの目薬を使い切るのに最低半年はかかるので極めて危険だ。


Haydn08-11Goberman  防腐剤を使ったのに腐るのはなぜ?
 防腐剤といえば、子どものころ、夏になれば毎年のように昆虫標本作成キットを買っていた。
 息を止める薬がピンクのボトル、緑の方は防腐剤だ。

 
今なら虫を採るという行為自体おぞましくてやる気がない。むしろ逃げ出したくなるくらいだが、あのころは昆虫をつかみ注射を打つこともできたのだ(そんなことができた自分が信じられない)。

 ところが分量がよくわからないから、ついつい薬液を入れ過ぎてしまう。
 だいたいにして殺虫剤を注射してもコロリといかない。逆に針を刺されてイタタタターっと元気に暴れまくる始末だ。

 ようやく動かなくなった昆虫に、絶対腐りませんようにと、防腐剤をたっぷり注入する。注射された昆虫の体からはおねしょをしたようにタラタラと薬が滴り落ち、挙句の果てには水分過多で数日後には腐ってしまう。

 防腐剤を入れて、それが原因で腐るというのもおかしな話だが、納豆が腐るのと同じようなもんだろう(違うって!)。こんなことが何年か続き、私の虫嫌いも急速に進み、そしてまた標本を作りかけても結局一度も自由研究の成果としてまともにできたこともなく、標本作成キットを買うこともなくなった。

 にしても、あのピンクと緑のボトル、安っぽいが何か魅惑に満ちた色だった。
 そしてそれらと目薬の色合いが、けっこう似てるななんて思ってしまう。

  薬関連で…… 
 ハイドン(Franz Joseph Haydn 1732-1809 オーストリア)の歌劇「薬剤師(Lo speziale)」Hob.ⅩⅩⅧ-3(1768)。

 C.ゴルドーニの台本による3幕もののドラマ・ジョコーゾ(一言でいえばドタバタ劇)。エステルハーザ宮廷の歌劇場のこけら落としのために作曲された。


 物語は、薬剤師センプロニーオの養女グリエッタをめぐる薬剤師の弟子と客、そしてもういい歳のくせに養女をモノにしようとたくらんでいるセンブロニーオの愛のかけ引き劇。
 最後は薬剤師の弟子であるメンゴーネとグリエッタが結ばれる。


 今日はその歌劇の序曲を。

 いかにもこれから面白おかしい劇が始まりますよって感じの音楽だ。

 ゴバーマン指揮ウィーン国立歌劇場管弦楽団の演奏で。

 1960-62年録音。ソニークラシカル。

 こんな私は今、庭のバラを蝕む悪い虫たちを退治するために、オルトランやらマラソンやらスミチオンやらアクテリックといった薬を散布している。今年もこれから害虫との戦いが始まる。
 が、コガネムシに効く薬がない。そのことを思うと、あの効きもしないピンクのボトルの薬剤のことを思い出す。
 コガネムシには発見の都度、ゴキブリ退治用のスプレーを噴霧するしかない。

 良い子のみんな。
 昆虫標本を作るときはピンクの液を注射するんじゃなくて、キンチョールとかフマキラーをシュッとひと吹きした方が良いかもよ。