1  げ~っ!
 春が近づくと気持ちも自然と浮き立つ。

 と同時に、変な人も現われはじめる。

 いや変な人は年がら年中いるんだけど(真冬に下半身をさらけ出す奴だっているのだ)、陽気に誘われて異様スイッチが入る奴が多くなる(ような気がする)。

 こんなメールが届いた。

 初めまして。
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 なりません。
 興味もありません。

 あぁ、萌ゆる春。
 が、変なことに萌えるな。
 少なくとも私を誘うな。

  絶望の春
 ショスタコーヴィチ(Dmitry Shodtakovich 1906-1975)の歌曲、ロマンス「春よ春(Vesna,vesna)」Op.128(1967。管弦楽伴奏版はOp.128a)。
 プーシキンの詩による。

 詩の内容は、しかし、春の喜びをうたったものではない。

 春がやってきても何の喜びもない。春の喜びに満ちて輝いているものは、自分にとっては退屈でつらいもの。冬の季節に戻りたい。

 そんな内容だ。

 プーシキンがニコライ1世への嘆願が認められてペテルスブルクに戻ることができたときに書いた詩。
 だが戻ったものの、処刑された仲間はもう戻らない、失ったものはとり返せないという意味が込められている。
 そして、同じく弾圧され続けたショスタコーヴィチは、この詩に共感し音楽を付けたのだった。

 陰鬱な鳥の歌のようなフルートが印象的。そして実に重い春の到来だ。

 ネステレンコのバス、ロジェストヴェンスキー指揮ソヴィエト国立文化省交響楽団の演奏を。

 私が持っている写真掲載のCDは現在廃盤だが、同じ演奏を含む別なアルバムが入手可能である。

 1985年録音。Venezia(メロディア)。

 なお、この歌曲が初演されたのはショスタコーヴィチが亡くなった後の1979年のことである。